
NFTに対して「やめとけ」といったネガティブな声を耳にする機会が増えています。
背景には、ブーム後の価格暴落や詐欺事件の多発で投資への不安が高まったことが挙げられます。
本記事では、NFTがやめとけと言われる背景や理由、それでもNFTを買う人がいる理由などを解説していきます。
目次
NFTはやめとけと言われる背景
NFT市場は2021年に大きく拡大し、翌年の1月には月間取引高が約60億ドルを突破しました。
しかしその後は急速に取引量が減少し、2022年半ばからは下落トレンドが定着。

2023年以降も取引高は低迷を続け、2025年5月時点ではピーク時の1割以下にまで縮小しています。
この背景には、価格急落により短期的な投機筋が離脱したこと、そして法規制の不透明さから大手企業が参入を見送ったことが挙げられます。
さらに、OpenSeaのフィッシング騒動や有名プロジェクトのハッキング被害が相次いだことで、一般投資家の信頼も揺らぎました。
こうした様々な要因が「NFT=危険」という認識を強め、「NFTはやめとけ」というムードが定着したのです。
実は95%が無価値?NFT市場の厳しい現実
NFT市場では、「95%が無価値」という衝撃的な統計があります。
これはブロックチェーン分析会社 「dappGambl」が発表した調査レポート に基づくもので、約7万3,000件のNFTコレクションを分析した結果、95%以上(69,795件)がフロア価格0ETHだったと報告されています。

また、同調査では全体の79%が完売に至っていないことも判明。
つまり、多くのNFTが売れ残っており、買い手のつかない状態にあるということです。
このデータは、NFT市場において「作品の多くが実際には取引されておらず、価値がついていない」という現状を示しています。ブーム時に参入した人ほど、こうした実態とのギャップに直面するリスクがあるといえるでしょう。
よくあるNFTへの誤解とその実態
NFTが「やめとけ」と言われる背景には、正しい理解が進んでいないことも影響しています。
特に以下のような誤解は非常に多く見られます。
・画像を右クリックで保存できる=無価値 ・所有権ではなく著作権を買うと誤解 ・ロイヤリティ廃止でクリエイター収益が消滅 ・ガス代や環境負荷が高い旧イーサリアム神話 ・税金が複雑で追徴リスクが大きい |
確かに過去の一部のプロジェクトではこのような印象を与えるケースもありましたが、NFTの本質は「唯一性の証明」や「デジタル上の取引可能な資産」としての可能性にあります。
正しく理解すれば、NFTは単なる投機商品ではなく、ゲーム・音楽・不動産など、さまざまな分野に応用可能な技術だと分かるはずです。
NFTはやめとけと言われる5つの理由
多くの専門家や投資家が「NFTはやめとけ」と警鐘を鳴らす背景には、具体的なリスク要因がいくつも存在します。
ここでは代表的な以下5つの理由を解説し、なぜ慎重な判断が求められるのかを見ていきましょう。
・価格の上下が激しすぎるから ・詐欺や盗難のリスクがあるから ・法律の整備がまだ追いついていないから ・税金・確定申告が複雑だから ・NFT市場そのものが縮小しているから |
それぞれ詳しく解説していきます。
価格の上下が激しすぎるから
NFT市場は一度注目を集めると短期間で価格が急上昇しますが、その後すぐに急降下するケースが後を絶ちません。
たとえば、下記はCryptoPunksのフロア価格の推移を表した画像ですが、2022年のベア相場では最高値(約112ETH)から50%以上下落していることがわかります。

これはCryptoPunksに限った話ではなく、ベア相場では多くのコレクションに見られる事例です。
結果、短期的なキャピタルゲインを狙った投機的な買いが多く、需給バランスが崩れると瞬時に価格が崩壊します。
詐欺や盗難のリスクがあるから
NFTに関して最も件数の多いトラブルが「偽サイト」への誘導や「ミント詐欺」です。
公式と似せたURLにアクセスし、MetaMaskを接続した瞬間にウォレットがハッキングされる事例が常態化しています。
ウォレットがハッキングされてしまうと、下記のように購入したNFTを勝手に取引されてしまいます。
1/
— てってぃ│1分で学べるPowerPoint (@tettiblog) February 25, 2023
またNFT盗まれた…😭
パソコンを初期化して安心しきってたけど、バカでした…。勝手に0.7ETHで売られて、いま2ETHで市場に出てる。
大切な #LLAC を失って悔しいですが、同じ被害ができないように対策をまとめます pic.twitter.com/doYSh0W4Kt
過去には、OpenSeaを装った偽サイトが複数確認され、Google検索で公式サイトより上位に表示されるものもありました。
法律の整備がまだ追いついていないから
NFTの売買や保有に関する法律は、国によって異なり、現状では不明確な部分が多いです。
たとえば、著作権の所在や二次流通の権利関係、税金の扱いについてもガイドラインが曖昧な場合があり、トラブルが起きやすい状況です。
日本でもNFTに関するガイドラインは出ていますが、すべてのケースを網羅しているわけではなく、法的なリスクが拭いきれません。
税金・確定申告が複雑だから
NFTの売買益は日本では雑所得、場合によっては譲渡所得として扱われます。
ただし「取得価格」「ガス代」「海外送金手数料」など、必要経費の計算方法が煩雑で、取引履歴を正確に管理しないと申告ミスや脱税疑惑を招く可能性があります。
2025年4月には、米国でCryptoPunksを97体売却して得た1300万ドル以上の利益を申告せず、最大6年の禁錮刑に直面している事例も報道されました(出典:The Block)。
こうした国際的な取り締まりの動きもあり、税務処理をおろそかにすると重いペナルティを受けるリスクがあります。
関連:Web3/NFTに強い税理士おすすめ一覧|選び方や費用相場も紹介
NFT市場そのものが縮小しているから
2021年に大きな盛り上がりを見せたNFT市場ですが、上述した通り2022年以降は取引高・ユーザー数ともに減少傾向にあります。
興味本位で参入した個人投資家が撤退し、注目度も低下。現在では一部の実需型プロジェクトやファンコミュニティで使われる程度に落ち着いています。
そのため「もうオワコンでは?」という声が増えているのも事実なのです。
それでもNFTを買う人がいる3つの理由
NFT市場は縮小傾向にありますが、それでも一定数のユーザーは積極的にNFTを購入しています。
なぜリスクを承知でNFTを買うのか。その理由は、単なる「投資」では語れない価値や体験にあります。
応援や共感が購買動機になっている
近年のNFT購入は「利益目的」よりも、「共感」や「応援」を軸にした動機が目立ちます。
たとえば、アーティストやプロジェクトを応援したいという気持ちでNFTを購入し、保有することでファンとしての一体感を得ている人も少なくありません。
これは、いわば「投げ銭」のデジタル版のようなもので、利益が出なくても満足度が高いという声も多く聞かれます。
限定グッズやイベント招待などの特典がある
NFTは、単なるデジタル所有物にとどまらず、保有者同士の交流を生む“きっかけ”としても機能しています。
たとえば、先行販売の参加権や抽選の応募資格、限定コンテンツへのアクセス権など、ファンにとって嬉しい“優遇”が組み込まれることもあります。
このような仕組みがNFTに対する満足度を高め、単なる資産としてではない価値を生み出しているのです。
コミュニティ活動や体験へのアクセスが得られる
NFTは、単なるデジタル資産ではなく、Web3時代の“参加証”としての役割を果たしています。
特定のNFTを持つことで、DiscordやX(旧Twitter)を中心としたコミュニティに参加でき、「ただの購入」で終わらない体験に価値を見出す人もいます。
2025年現在は、金融的なリターンよりも、こうした人とのつながりや体験に魅力を感じている層も少なくありません。
NFT投資で後悔しないためのポイント
NFTは大きなリターンを狙える一方で、リスクも少なくありません。
購入を検討する際には、以下のポイントを意識しておくことが重要です。
まずは、プロジェクトの信頼性を徹底的に調査すること。
公式X(旧Twitter)の更新頻度やフォロワー数、過去の実績などをチェックし、実在する企業やクリエイターが関与しているかを確認しましょう。
また、「価格が上がりそう」という雰囲気だけで判断しないことも大切です。
購入後に流動性が低く売却できないケースも多く、「損切り」せざるを得ない状況に陥ることがあります。
そして、税金や確定申告の準備も忘れずに。
利益が出た場合の税務処理や経費計上の準備を、取引前から意識しておくことで後悔を防げます。
NFTが向いている人・向いていない人
NFTは誰でも参加できる分、自分に合っているかを見極めることも大切です。
ここでは向いている人・向いていない人の特徴を整理してみましょう。
NFTが向いている人 | ・トレンドやテクノロジーに関心がある ・投資だけでなくカルチャー的な価値も重視する ・自己責任で判断・行動できる |
NFTが向いていない人 | ・リスクを極端に嫌う ・長期保有や市場変動に耐性がない ・投資目的が曖昧で、なんとなく流行に乗ってしまう |
NFTは“買えば儲かる”という世界ではありません。
だからこそ、自分のスタンスと市場の性質を照らし合わせる冷静さが必要です。
「NFTはやめとけ」は本当か?結論と今後の動向
結論から言えば、「NFTはやめとけ」という意見には一理あります。
特に、投機目的だけで参加する場合や、十分なリサーチをしないまま購入する場合は、損失リスクが非常に高いのが現実です。
ただし、それは“すべてのNFTが危険”という意味ではありません。
現実には、プロジェクトの中には着実にファン層を築き、コミュニティ運営やリアルユースを展開しているものも存在します。
2025年以降、企業や自治体がNFTを活用する事例も増えており、カルチャーや資産・ファンビジネスの交差点としての役割が広がっています。
そのため、冷静に情報を見極めながら付き合えば、“NFT=危険”というイメージを超えた活用も可能になるでしょう。
NFTに関してよくある質問(FAQ)
それでは、最後にNFTに関してよくある下記3つの質問に回答していきます。
・NFTを買うだけで税金はかかりますか? ・無料配布(エアドロップ)でも税金がかかるの? ・詐欺プロジェクトや偽サイトの見分け方は? |
これからNFTを始めてみたいという方はぜひご参考にしてください。
Q.NFTを買うだけで税金はかかりますか?
NFTの購入自体には基本的に税金はかかりません。
しかし、NFTを売却して利益が出た場合や、NFT同士の交換で価値の差が生じた場合には、雑所得として課税対象になる可能性があります。
特に、暗号資産でNFTを購入した際にはその時点で含み益が発生していることもあるため、取引履歴は必ず記録しておくことが重要です。
不安な場合は、税理士や専門家に早めに相談することをおすすめします。
関連:Web3/NFTに強い税理士おすすめ一覧|選び方や費用相場も紹介
Q.無料配布(エアドロップ)でも税金がかかるの?
はい。エアドロップによって受け取ったNFTや暗号資産は、受け取った時点の時価で所得とみなされることが多く、課税対象になります。
仮に無料で受け取ったものであっても、日本の税制上はその価値に応じて税務処理が必要です。
エアドロップ後に価格が高騰するケースもあるため、注意深く価値変動を追う必要があります。
参考:エアドロップで得たトークンの確定申告はどうする?利益・税金の計算方法を紹介
Q.詐欺プロジェクトや偽サイトの見分け方は?
詐欺プロジェクトや偽サイトは、実在の人気プロジェクトに似せたURLや画像を使ってユーザーを騙そうとします。
公式X(旧Twitter)やDiscord、OpenSeaの認証マークを確認し、DMや怪しいリンクをむやみに開かないことが基本です。基本的に、自分からアクションを起こさない限り、公式からのDMやメッセージは来ません。
また、ウォレット接続を求められるサイトでは、常にURLを確認する習慣をつけましょう。
まとめ|NFTは「やめとけ」ではなく「慎重に」
NFTは投資としての魅力もありつつ、まだまだ発展途上の分野です。
そのため、過度な期待や流行に流されてしまうと、思わぬ損失やトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
「NFTはやめとけ」という意見には、市場への警戒心を持つべきというメッセージが込められています。
しかし本質的には、“やめる”のではなく、「正しく知って、慎重に判断しよう」いうスタンスが最も大切です。
NFTに興味がある方は、リスクとリターンを冷静に見極め、少額から体験してみるとよいでしょう。
正しい知識と判断力があれば、NFTは新たな可能性を広げる手段にもなり得ます。