2019年度のサブスクリプションサービス国内市場規模は6,835億2,900万円(7市場計)

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のサブスクリプションサービス市場を調査し、主要・注目カテゴリーの市場動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

サブスクリプションサービス国内市場規模推移(7市場計)

矢野経済研究所
(画像=矢野経済研究所)

1.市場概況

2019年度のサブスクリプションサービス国内市場規模(7市場計、食品・化粧品類の定期宅配サービス分野含む)はエンドユーザー(消費者)支払額ベースで、6,835億2,900万円であった。2020年度は前年度比15.2%増の7,873億円を予測する。

サブスクリプションサービス市場は、デジタルコンテンツ分野と食品・化粧品類の定期宅配サービス分野を除くと、まだ小規模な分野が多い。しかしながら、これまでにない商品やサービスの利用形態であることから注目を集めており、市場全体(7市場計)は徐々に拡大している。本調査における7分野のなかには、まだ黎明期で市場が活発化しておらず、小規模な分野もあるが、これからの成長が期待される。

また、これまで消費者(BtoC)向けのサブスクリプションサービスに注目が集まっていたが、昨今では事業者間における受発注業務を中心に継続的な企業間取引を支援するといった、事業者(BtoB)向けサブスクリプションビジネス(継続的な企業間取引)を支援するサービス(システム)が登場しており、様々な業種での導入が進んでいる。なお、当該分野は本調査における市場規模には含まない。

2.注目トピック

衣料品・ファッションレンタル分野では二次流通事業者の参入増えるか

サブスクリプションサービスを先行して行っていた衣料品・ファッションレンタル分野において、2019年度は、新たに時計やバッグといった高額なリユース品を取り扱う二次流通事業者の参入がみられた。これまではITベンチャー企業による市場参入が多かったが、その多くは高額品になるほど商品の仕入れが難しくなり、商品構成(ラインアップ)の拡充が課題であった。こうしたなか、リース事業者や二次流通事業者と提携し、取り扱い点数を増やしたことで、業績を拡大させたITベンチャー企業もあった。

当該市場に参入した二次流通事業者はすでに自社に商品を数百から数千点保有していることが多く、これまでの中古販売にサブスクリプションサービスの仕組みを導入するだけで事業化できることから参入ハードルが低く、今後も多くの二次流通事業者が参入するとみる。

3.将来展望

2018年以降、サブスクリプションサービスを“サブスク”という略語で連想できるほどに、一般的に広く認知されてきているが、従前にはないサービスであるがゆえの課題もある。

サブスクリプションサービスのうち、デジタルコンテンツを除く、物品やサービスにおけるサブスクリプションサービスは、継続利用を前提とした定額サービスであることから、サービス分野によってはこれまでの生活スタイルとはうまく合致しない可能性もある。こうしたことから、ユーザー(利用者)の認知が進んでも実際のサービス利用までには至らず、ユーザーの利用機会が少ないために活発化しきれていない分野が多いという現状がある。

一方で、公共交通機関とサブスクリプションサービスを組み合わせたまちづくりの施策がみられるようになるなど、少しずつサブスクリプションサービスを利用する機会は増えるものと考える。こうした交通インフラと連携させたまちづくり活性化の動きや好調な分野もあることから、2023年度のサブスクリプションサービス国内市場規模(7市場計、食品・化粧品類の定期宅配サービス分野含む)はエンドユーザー(消費者)支払額ベースで、1兆円を超える規模になるものと予測する。