矢野経済研究所
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2019年度の業務用サービスロボット市場は前年度比127.9%の64億6,400万円の見込

~異業種からの参入や新製品の投入が盛んな用途のサービスロボットが市場をけん引~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内の業務用サービスロボット市場を調査し、タイプ別市場規模、用途別動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

業務用サービスロボット市場規模推移と予測

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1.市場概況

業務用途でのサービスを提供するロボット、搬送ロボットや掃除ロボット、パワーアシストスーツ(以下 PAS)、レジロボット、検査・点検ロボット、警備ロボットの6タイプを対象として、市場規模を算出した。
2018年度の業務用サービスロボット市場規模(メーカー出荷金額ベース)を前年度比122.8%の50億5,500万円と推計した。
タイプ別に市場をみると、製品価格が高い搬送ロボット(非ガイド走行式AGV)と低価格だが出荷数量が多いパワーアシストスーツが牽引し、市場が拡大している。また、床掃き・床洗浄・窓拭きなど安定した用途を持つ掃除ロボットも一定の存在感を示す。異業種からの参入や新製品の投入が盛んな用途のロボットが市場を押し上げ、2019年度の業務用サービスロボット市場は64億6,400万円(同127.9%)に成長する見込みである。

2.注目トピック

業務用サービスロボットのメリットは労働力補完、導入検討時の判断材料はコストパフォーマンス

ほとんどの業務用サービスロボットは、人による作業を代替することで肉体的負担や手間を軽減し、作業効率を向上することで、結果的に労働力補完につながる点がメリットとして挙げられる。
唯一、歩行支援目的のPASだけは労働力補完というよりも、使用者の歩行機能回復(維持)にメリットを求めている。リハビリ技師(理学療法士)の作業負担を軽減できるという点で、結果的に肉体的負担を減らすといえなくもないが、主目的が使用者自身の機能回復にある点で医療機器的要素が強く、他の業務用サービスロボットとはやや性格を異にする。

業務用サービスロボットは、使用場面に応じた使いやすさを備えた上で、人の負担を軽減し作業効率を向上させ、労働力を補完できることが期待される。ロボットの機能や効果は、おもに製品価格により判断されることから、コストメリットが導入検討時の大きな判断材料となる。つまり、業務用サーボスロボット導入の判断は、ユーザにより異なる使用場面でメリットが見込めるか、そのメリットが製品価格に見合う内容かが問われることとなる。

3.将来展望

業務用サービスロボット市場は今後も拡大する見通しで、搬送ロボットや掃除ロボット、PASが成長を牽引していく構造に変わりはない。但し、市場全体に与える影響力に、製品価格の差が影響するため、搬送ロボットが一番の牽引役を果たす見込みである。2022年度の業務用サービスロボット市場規模(メーカー出荷金額ベース)は129億1,500万円になると予測する。

業務用サービスロボットは製品化の目途がつくことで話題が先行し、注目を集めることにはなるが、それだけで需要に結びつくものではなく、ユーザの正しい認識と使い方、得られるコストメリットで評価される。市場拡大が期待できるサービスロボットの用途は、これまでの経緯を経て普及の足掛かりを得ているといえる。これから新たな用途で製品化が期待できるサービスロボットもあるが、この課題をどのようにクリアしていくかで、普及度合いが異なってくると考える。