2025年のEC市場を竹内謙礼さんが徹底予測!ネットショップ反撃のキーワードは「推し店」

2025年のEC市場を勝ち抜き、ネットショップの売上を伸ばすには、どのような戦略が必要なのでしょうか。

そのヒントをEC事業者さまにお伝えするため、株式会社フューチャーショップは「2025年を徹底予測 ネットショップ反撃の年 高くても売れる自社ECの戦略」と題するオンラインセミナーを2025年1月に開催しました。

講師を務めてくださったのは、EC業界や小売り業界を中心に幅広い分野で活躍している経営コンサルタントの竹内謙礼さん。10年以上続けている企業取材や市場リサーチなどの知見を踏まえ、2025年の市場動向を予測した上で、「高くても売れる自社ECサイトを作る方法」や「お店のファンを増やすSNS運営のノウハウ」など、これからのEC市場を勝ち抜くための戦略を解説しました。

当日は約300人にご参加いただき、アンケートでも大変ご好評をいただいたオンラインセミナーをレポートします。

この記事は株式会社フューチャーショップが2025年1月23日に開催したオンラインセミナー「2025年を徹底予測 ネットショップ反撃の年 高くても売れる自社ECの戦略」をもとに構成しています。

【講師紹介】

2025年のEC市場を竹内謙礼さんが徹底予測!ネットショップ反撃のキーワードは「推し店」
有限会社いろは
代表取締役 経営コンサルタント
竹内謙礼 氏
ネットショップを中心にマーケティングの指導を行う経営コンサルタント。大学卒業後、雑誌編集者を経て観光施設の企画広報に携わり、楽天市場等で数多くの優秀賞を受賞。独立後、日経MJで「竹内謙礼の顧客をキャッチ」を10年以上連載。取材した企業は600社を超える。Eコマースや小売業の次年度の消費トレンドをまとめた「予測カレンダー」は18年目を迎え、累計7400本以上を販売。精度の高い流通業界の予測情報として各業界から注目を集める。楽天市場やAmazonをはじめ、Eコマース関連の企業でセミナーやコンサルティングの実績を多数持つ。「ネットショップ運営攻略大全」「Amazonに勝てる絶対ルール」「簡単攻略SEO」など著書は60冊を超える。

目次

  1. 2025年のEC消費のポイントは「推しのお店、推しの商品」
  2. 高くても売れる自社ECサイトを作る方法
    1. 「トップ店舗」を狙う戦略
    2. 「推し店」になる方法と心構え
  3. ネットショップに向いているSNSとは?
    1. Instagram運用のコツ
  4. 「負け組店舗」から脱却する方法
  5. 販促のアイデアやSEOの最新情報も解説
  6. 質疑応答で鋭い回答を連発
    1. SNSの投稿・運用について
    2. YouTubeの投稿・運用について
    3. Instagram・インスタライブの活用法
    4. EC戦略・ビジネス戦略
    5. Google検索・GoogleマップのSEO
  7. 参加者の皆さまからいただいた熱い感想
    1. 【アンケート一部抜粋】
  8. まとめ

2025年のEC消費のポイントは「推しのお店、推しの商品」

セミナーの冒頭、竹内さんは「ECの正しい戦略を考えるには、EC市場の現状を正しく認識した上で、2025年の動向を予測することが大切」と話し、各種経済統計などに言及しながらEC市場の現状と見通しを解説しました。

竹内さんはEC市場の現状について「数年前と比べて市場環境が大きく変わった」と指摘。コロナ禍が明けたことで“コト消費”が盛り上がり、反動でECの成長率がやや鈍化したことや、日本が過去数十年に経験したことがない物価上昇によって消費者の節約思考が高まっていることなどを挙げ、「2024年は苦しかったネットショップも多かったと思う」との認識を示しました。

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海外資本の激安ECサイトが台頭していることや、大企業がネット販促に莫大な投資を行っていることなど、近年のEC市場動向について解説した

続いて竹内さんは、近年の日本では物価上昇率に所得の上昇が追いついていないことに触れ、「節約意識の高まりで価格を厳しく比較する消費者が増えている」ことを指摘しました。消費動向に関する各種調査データにも言及しながら、「可処分所得が増えない中で、お金の使い道をこれまで以上に厳しく見極めようとする消費者がさらに増えていく」(竹内さん)との予測も披露しました。

その上で、「買うものと買わないもののメリハリが両極端になっている。消費の二極化は加速していく」と強調し、こうした市場環境でネットショップが売上を伸ばすには「推しのお店になることが重要」(竹内さん)と指摘しました。

一生懸命節約して貯めたお金は、本当に欲しいものに使いたいと考える消費者が増えています。ネットショップを運営している方は、自分たちのお店が、お客さまにとって「買う理由があるお店」になれているのか、それを見極めることが2025年を反撃の年にする第一歩です“(竹内さん)

2025年のEC市場を竹内謙礼さんが徹底予測!ネットショップ反撃のキーワードは「推し店」

高くても売れる自社ECサイトを作る方法

こうしたEC市場動向に関する現状認識を踏まえ、竹内さんは“高くても売れる自社ECサイト”を作る方法を解説しました。具体的には、ネットショップを「トップ店舗」「推し店」「負け組店舗」に分類した上で、中小規模のネットショップが売上を伸ばすには「『トップ店舗』か『推し店』になる必要がある」と指摘。それぞれの特徴を説明するとともに「トップ店舗」や「推し店」になる方法を解説しました。

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ネットショップを「トップ店舗」「推し店」「負け組店舗」に分類した上で、ネットショップが生き残るには「トップ店舗」か「推し店」になる必要があると指摘した

「トップ店舗」を狙う戦略

竹内さんが定義する「トップ店舗」とは、品質が良い商品を手頃な価格で売ることができるネットショップです。資金力を武器に集客できる大手企業や、オンリーワンの商品を扱っているメーカー公式店などが採る戦略ですが、竹内さんは「やり方次第で小さなネットショップでもトップ店舗のポジションを狙える」と強調しました。

商品とサービスを組み合わせて、値段の相場が分かりにくく、かつ、顧客の悩みを解決できるような商品を作れば、小さなネットショップでもトップ店舗のポジションを狙えます(竹内さん)

オンリーワンの商品を作るコツ

値段の相場が分かりにくく、お客さまの悩みを解決できるネットショップの例として竹内さんは「オーダーメードのイヤホン」「60代のお母さん専用のお花屋さん」「外壁塗装のDIYキット」などを挙げました。また、「70歳代〜80歳代に特化したレンタル着物のネットショップ」も例として示し、「晩婚化で新郎新婦の親が高齢化した結果、高齢者向けのレンタル着物のニーズが高まっているが、高齢者に特化したレンタル着物のお店が少ないためオンリーワンのポジションを狙える」と説明しました。

こうした戦略を成功させるポイントは、消費トレンドに独自サービスを掛け合わせてオンリーワンの商品を作ること。そのためには、最新の消費トレンドをリサーチし続けることが欠かせません(竹内さん)

続けて竹内さんは、消費のトレンドを掴むには、お客さまのニーズを深く理解することが必要であると強調し、ヒット商品を生み出した企業の成功事例も挙げながら、「座談会を実施して顧客の本音をヒアリングしたり、検索キーワードから潜在層の心理を分析したりすることも必要」と訴えかけました。

コロナ禍を経て、消費者の思考は大きく変わりました。そのことを知らずに、これまでの経験則で商品やキャッチコピーを考えても売上は伸びません。座談会や検索キーワードの分析などを行い、消費者心理を理解した上で、商品やECサイトのコンテンツを柔軟に変えていくことが必要です(竹内さん)

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竹内さんが注目している2025年の消費トレンドも解説した

「推し店」になる方法と心構え

高くても売れる自社ECサイトになる方法の2つ目は、「推し店」になること。「推し店」とは、お客さまから愛され、応援されるお店であり、リピーターによって支えられているネットショップです。

竹内さんは「顧客が商品やお店のことをSNSなどで自発的に広めてくれる」「値段が多少高くてもブランドや店主に惚れ込んだ顧客がリピートしてくれる」といった強みがあると説明した上で、推し店になるには「事業者は自分たちの思いをSNSや動画で顧客に伝える努力が必要」と強調しました。

「推し店」になるには、お店のコンセプトや店主の考えをSNSなどで発信し、顧客に共感してもらうことが欠かせません。ストーリーを伝える方法は、心が動きやすい動画やライブが向いています。共感を生むストーリーに必要なことは「意外性」と「誠実さ」。自分たちのお店にどのようなストーリーがあるか、一度深掘りしてみてください(竹内さん)

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SNSは“毎日投稿”の覚悟が必要

「推し店」になるにはSNSやブログなどでの情報発信が欠かせません。竹内さんは「小さなネットショップがSNSで勝負するなら毎日投稿する覚悟が必要」と指摘し、日経MJの連載で数多くの企業を取材してきた経験を踏まえ、「SNSやブログで成功している企業の多くは毎日投稿している」と説明しました。

SNSを片手間で、たまに投稿しているようでは絶対にうまくいきません。お客さまは、お店が発信する情報を「見続ける」ことによって、お店のことが「気になる存在」になり、やがて「好き」になってくれるからです(竹内さん)

【SNS投稿を見続けてもらうポイント】

・ほぼ毎日、面白くて役に立つ情報を発信する
・ほぼ毎日、商品やサービスへの「思い」を発信する
・競合他社よりも優れたコンテンツを発信する

【このような考えはNG】

・SNSに投稿するのはタダだから、とりあえずやってみよう
・投稿していたら、いつか誰かが見てくれるかもしれない
・若い人が見ているから、やってみよう
・隙間時間に気が向いたら投稿しよう
・少しだけお客さんが来てくれればいいだけだから、やってみよう

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人生を賭けなければ「推し店」にはなれない

竹内さんはSNSなどでの情報発信について「不向きな人もいる」と指摘し、情報発信を毎日続けている経営者の事例も紹介しながら、「情報発信がうまい人は顧客に伝えたいことを常に考えている」と説明しました。

その上で、「SNSの投稿を毎日続けることが苦痛で長続きしないなら、無理にやらない方がいいかもしれない」と述べ、「思いを伝えることに重きを置ける人でなければSNSは成功しない。それができないなら、お客さんから愛される権利もない」と厳しくも熱い言葉で叱咤激励しました。

SNSの情報発信を続けている人は、普段から「お客さまに喜んでもらうには何を伝えるべきか」を本気で考えています。本気でお客さまのことを考えているから、伝えたいことが溢れてきて、ネタが尽きることはありません。お客さまに対する愛情が強いからこそ、お客さまからも愛されます。SNSで成功するのは簡単ではありません。人生を賭けるくらいの覚悟がなければ「推し店」にはなれないでしょう(竹内さん)

【竹内さんが解説したSNS運営のヒント】

・同業者や同規模の会社・お店のSNSの運用を真似る
・SNSが好きな従業員、アルバイトに運営してもらう
・運営代行企業に委託するのもありだが月額2~5万円まで。効果が出るまで時間がかかるため、これ以上費用がかかると投資を回収しにくい

2025年のEC市場を竹内謙礼さんが徹底予測!ネットショップ反撃のキーワードは「推し店」
「推し店」になるには、自分たちの思いを伝えることに重きを置く必要があると強調した

ネットショップに向いているSNSとは?

情報発信を行っていく上で、どのSNSを使えば良いか悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。竹内さんは「まずは、自分がユーザーとしてよく使っているSNSや、得意なものを選ぶと長続きしやすい」とアドバイスしました。

その上で、竹内さんはネットショップ運営に向いているSNSとしてInstagramを推奨しました。

お店のストーリーを伝えるには動画が有効です。特に近年は、新規顧客にリーチする手段としてショート動画が効果的です。ショート動画のプラットフォームは、さまざまなものがありますが、コンテンツ配信のアルゴリズムや、アカウントからECサイトに誘導できる機能などを踏まえると、現時点ではInstagramがベターだと思います(竹内さん)

Instagram運用のコツ

竹内さんはInstagramアカウントを運営するコツとして、「店舗や商品に関する投稿を、お客さまが頻繁に目にする状況を作り、お客さまにとって第一想起のお店になることを目指すべき」と強調しました。

投稿がお客さまの目に触れやすくするには「自社のコンテンツがお客さまの発見タブの上位に出やすくする必要がある」(竹内さん)と説明し、そのためのポイントとして次の点を挙げました。

【発見タブの上位に出やすくするためのポイント】

・ユーザーのエンゲージメントを高めて、レコメンドを上昇させる(発見タブを開いた時のトップ25に入ることが重要)
・エンゲージメントには「保存」「いいね」「コメント」「滞在時間」「投稿頻度」などが影響する
・ユーザーが保存したりコメントしたりしたくなるコンテンツを作る(この投稿を誰かに伝えたいという「共感」を呼ぶコンテンツを作る)
・他のバズっている投稿を研究する
・セールの告知ばかり載せるのはNG

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店舗や商品に関する投稿がお客さまの目に触れやすくするには「発見タブ」のトップ25に入ることが重要になる

このほか、竹内さんはInstagramアカウントを運用するコツとして、アカウントのコンセプト作りの方法論や、代表的な運営パターンなどについて事例を挙げながら解説しました。

【ファンがつくアカウントのコンセプト】

・店主の思い×購入後をイメージさせる写真や動画×商品力=ファンがつく(+友達に自慢したい+レア感+店主に会いたい)
・役に立つ×強いメッセージ×カリスマ性=ファンがつく

【代表的な運営パターン】

自分ゴト化・・・「身長150cmの女子が着て可愛いく見えるニット5選」「男性が異性にモテる香水ベスト10」といった問題解決型のコンテンツ
ビジュアル訴求型・・・美味しそうな食べ物や、かわいいコスメなどビジュアル重視の写真
カタログ型・・・商品を一覧で紹介する商品カタログのような見せ方
写真ストーリー型・・・ブランドのストーリーやお店のこだわりなどをビジュアルで伝える

「負け組店舗」から脱却する方法

竹内さんは、これからのEC市場で生き残りが厳しくなるであろうネットショップについて「負け組店舗」という言葉を使い、その特徴と、「負け組店舗」から脱却するための対策を解説しました。

「負け組店舗」の1つ目は、品質が低い商品を、安売りしている店舗です。消費者からは常に価格で比較されるため、セール依存になり、通常時はポイントやクーポンなどで大幅に値引きしないと売れません。海外の安売りサイトとの競争にもさらされ「生き残るのは非常に厳しい」(竹内さん)と指摘しました。

「負け組店舗」の2つ目は、主に仕入れ商品や型番商品を扱っており、価格が他社よりも高いネットショップです。こうした店舗について竹内さんは「セール依存のお店と比べれば生き残れる可能性はあるが、今後さらに厳しくなっていくだろう」と指摘。打開策として「古い型番商品など、他店が扱っていない商品を仕入れる」「オリジナルの長期保証を設定する」「福袋などパッケージで独自性を出す」「オプション品をつける」といった施策を説明しました。

また、仕入れ商品や型番商品は価格で比較されやすいため、ECモールでの販売が厳しくなっていることも指摘しました。ECモールは「商品を安く、数を売らなければ露出が上がらない仕組みになっている」ことや「広告費が高騰し続けている」ことなどを挙げ、「モール依存から早急に脱却することが必要」と強調しました。

2025年のEC市場を竹内謙礼さんが徹底予測!ネットショップ反撃のキーワードは「推し店」

販促のアイデアやSEOの最新情報も解説

今回のセミナーではこのほか、竹内さんが毎年制作している「売れる販促企画・キャッチコピー予測カレンダー」2025年版の内容を踏まえ、2025年のイベントスケジュールに合わせた販促のアイデアも披露してくださいました。

【2025年のイベントスケジュールに合わせた販促のアイデア】

・ゴールデンウィークが飛び石連休で旅行に行く人が減る可能性があり、通販・ECはチャンス
・ハロウィーン(10/31)の翌日から3連休なので、パーティの規模が大きくなる可能性があり、コスプレグッズやお菓子、料理などが売れる可能性がある
・令和7年7月7日の「スリーセブン」にちなんだイベントを開催できる可能性がある

また、Google検索におけるSEOの最新情報や、ネットショップの採用における「タイミー」の活用法、スタッフを離職させない人材育成のコツなど、実務に役立つさまざまなノウハウも解説しました。

2025年のEC市場を竹内謙礼さんが徹底予測!ネットショップ反撃のキーワードは「推し店」
「予測カレンダー」を踏まえ、販促のアイデアやSEOの最新情報など実務に役立つノウハウを解説した
竹内謙礼さんの「売れる販促企画・キャッチコピー予測カレンダー」2025年版の詳細は下記サイトをご覧ください

「売れる販促企画・キャッチコピー予測カレンダー」販売ページ

質疑応答で鋭い回答を連発

セミナーの最後は、経営コンサルタントである竹内さんの本領発揮とも言える質疑応答です。

参加者の皆さまから数十件の質問が寄せられ、モデレーターのフューチャーショップ駒井が質問を読み上げるたびに、竹内さんは的確なアドバイスを即座に回答。できる限り多くの質問に答えたいという竹内さんの意向もあり、終了予定時刻を30分以上オーバーしましたが、200人以上が最後まで視聴してくださいました。大いに盛り上がった質疑応答の一部を紹介します。

2025年のEC市場を竹内謙礼さんが徹底予測!ネットショップ反撃のキーワードは「推し店」
次々と寄せられる質問に「ドンとこい」と応じた竹内さん

SNSの投稿・運用について

【質問】SNSで情報発信する際、投稿者のプライベートな情報を織り交ぜることに賛否両論あるようです。店主のファンを増やすには、プライベートな情報も投稿した方が良いでしょうか。

【回答】プライベートな情報も、どんどん投稿してください。プライベートな投稿が混じっていた方が、投稿者やお店への親近感が湧きやすくなります。SNSでファンを増やすのは簡単ではありません。ある程度、プライベートを出す覚悟も必要だと思います(竹内さん)

【質問】メーカー公式店が今後、SNSを運用する上で注力すべきことは何でしょうか。

【回答】商材にもよりますが、まずは「メーカーのファンを作る」ことを意識してください。SNSの担当者のキャラクターが立つとファンがつきやすいため、例えば、物流スタッフが倉庫を背景にライブ配信を行うなど、仕事ぶりや人となりが伝わりやすいコンテンツを作ると良いでしょう(竹内さん)

【質問】自社製品のストーリーを語る上で、安っぽくならない切り口を探しています。会社からは好感度を優先するように指示されています。

【回答】 好感度を優先するなら、例えば環境保護やSDGsを切り口にするのも1つの方法だと思います。ただし、好感度と売上は比例しにくいことには注意が必要です(竹内さん)

【質問】LINEでお客さまに対してコンテンツを発信する場合、どのくらいの頻度が適切でしょうか。

【回答】商材によりますが、一般論として週1回くらいが良いと言われています(竹内さん)

【質問】富裕層向けにLINEで接客するとしたら、LINEグループを作るのと、個別対応のどちらが良いでしょうか。

【回答】個別対応の方が良いと思います。富裕層は特別待遇に慣れているため、LINEでの接客においてもオンリーワンの対応を行った方が効果的でしょう(竹内さん)

YouTubeの投稿・運用について

【質問】YouTubeの動画制作が面倒で、チャンネルの更新が止まってしまっています。動画投稿を継続するコツはあるでしょうか。

【回答】動画の編集は手間がかかるため、負担を減らすために、編集作業を外部に委託しても良いと思います。その上で、ゆくゆくは外注コストを削減できるように、編集があまり必要ないくらいまでトーク力を磨いてください。トークが上手くなって、商品やブランドのストーリーなどを語っているだけで動画が成立するようになると、動画制作の負担が減って続けやすくなると思います(竹内さん)

【質問】YouTubeを始めました。毎週1本の動画を投稿していますが、週1回では効果が出ないでしょうか。

【回答】私もYouTubeアカウントを運営しているので断言できますが、週1回では圧倒的に足りません。YouTubeで良質な顧客を獲得するには、最低でも週2〜3本は投稿する必要があるでしょう。YouTubeはワンクリックで手軽にチャンネル登録できるため、チャンネル登録者のコンバージョン率はメルマガ購読者などと比べて圧倒的に低いというのが私の実感です。YouTubeから売上につなげたいなら、チャンネル登録者をメルマガ購読者の何倍も獲得する必要があると思います(竹内さん)

Instagram・インスタライブの活用法

【質問】自社商品のバッグや財布、雑貨を販売しています。現在のユーザー層は40〜50代がメインです。若年層の新規獲得を目標にInstagramを運用しており、なるべく若い人向けの商品をピックアップしたり、若い人が見てくれそうなサムネイルを意識したりしていますが、価格が高いこともあり20代のフォロワーが増えません。実際のユーザー層とターゲット層がチグハグな場合、Instagramは不向きでしょうか。

【回答】20代のフォロワーが増えない理由は、そもそも商品コンセプトがターゲット層とずれている可能性があります。サムネイルなどを若い人向けに作ったとしても、商品コンセプトが年配向けだと若年層には刺さりません。本気で20代のフォロワーを増やしたいなら、20代の消費者を集めて座談会などを行い、生の意見を聞いて、商品コンセプトから作り直す方が良いかもしれません(竹内さん)

【質問】仕入れ商品をメインに販売しています。Instagramでメーカーのコンセプトやこだわり、商品の特徴などを紹介する投稿を行うと、お店のファン化につながるでしょうか。

【回答】残念ながらつながりません。それらの情報はネット上に溢れているからです。もしInstagramでファンを作りたいなら、自分たちならではの視点を打ち出すことが必要です。例えば、「プロが選ぶ○○な商品5選」といったテーマでオリジナルコンテンツを作ってください。メーカーの説明をそのまま発信するのではなく、その商材の目利きができる店主が独自の視点で情報発信すれば、仕入れ商品でもファン化は可能です。ただし、そういった情報発信を行うことを嫌がるメーカーがいる可能性には注意が必要でしょう(竹内さん)

【質問】Instagramショッピングの効果的な使い方を教えてください。

【回答】インスタライブと組み合わせるのがお薦めです。インスタライブで商品を紹介する際、その商品の写真をアカウントに投稿してInstagramショッピングを設定しておきましょう。その上で、ライブ配信中に、商品写真から購入ページにダイレクトに飛べることを視聴者に案内すると、購入意欲の高い視聴者をInstagramからECサイトに誘導できます(竹内さん)

【質問】Instagramアカウントのフォロワーが約2万人おり、インスタライブを行うと30人ほどが見に来てくれます。この規模の集客力ではインスタライブで成果を出すのは難しいでしょうか。

【回答】2万人のフォロワーがいて、30人が見に来てくれているのであれば、見込みがあると思います。これからも視聴者を増やす努力を続けてください。最初のうちは、視聴者を増やすきっかけとして視聴者プレゼントなどのインセンティブをつけても良いと思います(竹内さん)

futureshopは自社ECサイト内でライブコマースを実施できる「Live cottage」を提供しております。futureshopご利用企業さまでなくともお使いいただけます。詳しくはLive cottageのご紹介ページをご覧ください。

EC戦略・ビジネス戦略

【質問】相手の住所がわからなくてもギフトを贈ることができる「Eギフト」の導入を検討しています。Eギフトは売上向上につながるでしょうか。

【回答】Eギフトはすごく伸びている分野なので、ぜひ取り入れてください。Eギフトを使う人は買う商品が具体的に決まっていないことが多いため、どのような商品にもチャンスがあります。特に2000〜3000円ほどの価格帯で、郵便ポストに入るサイズで、パッケージデザインが可愛い商品が向いています。ギフトを選ぶ消費者が商品の特徴をイメージしやすいように、キャッチコピーや商品名には五感に訴えるフレーズを入れると良いでしょう(竹内さん)

futureshopはEギフトサービス「AnyGift(エニーギフト)」と連携しており、オプション機能でご利用いただけます。詳しくはオプション機能紹介のAnyGiftのページをご覧ください。

【質問】海外の独立系スキンケアブランドの日本法人です。価格改定を考えているのですが、安価な並行輸入品の影響で、なかなか実行できません。価格改定の実現に向けて何か実行した方が良いことや、取り入れた方が良いことはありますか。

【回答】値上げで大事なことは「集客力が上がる前に値段を上げてはいけない」ということです。一般的に、値上げをすれば客数は減ります。価格を上げることと、集客力を上げることはセットです。客数が増えていないなら価格を上げられないし、価格を上げたいなら、その前に集客を強化してください(竹内さん)

【質問】中国輸入雑貨の勝ちパターンを教えてください。

【回答】申し訳ないですが、勝ちパターンはないです。すでに多くの人が手がけているビジネスを後発で行っても勝てません。うまくいく人もいますが、それにはハイレベルな目利きの力、動物的な嗅覚とも言えるようなセンスが必要です。特に近年は中国系の超低価格ECサイトが日本にどんどん入ってきているので、今から中国輸入雑貨に参入するのはお薦めしません(竹内さん)

Google検索・GoogleマップのSEO

【質問】生成AIで作った文章を使うとGoogleからペナルティを受けるでしょうか。全文をAIで作るのではなく、必要なキーワードを盛り込んで、自然な文章を作るために一部に使用しています。

【回答】生成AIの文章をGoogleが見抜いているか分かりませんが、生成AIが書く文章の特徴を察知している可能性はあります。そもそも、生成AIが出力した文章を手直しして使うよりも、最初から自分で書いた方がユーザーにとって読みやすいコンテンツになるのではないでしょうか。一般的に生成AIは人間にとって読みにくい文章を出力しますし、不正確な情報が含まれていることもあります。厳しいことを言いますが、生成AIが出力した文章を少し手直しした程度で良しとしているなら、それは文章のセンスがないと言わざるを得ません(竹内さん)

【質問】実店舗の集客対策でGoogleマップを使用しています。口コミ対策のほかに、効果的な施策はありますか。

ビジネスプロフィールの最新情報と口コミに含まれる単語がキーワード検索にヒットするため、うまくキーワードを埋め込めれば集客につながります。また、動画や写真の内容がキーワードと整合性があっているとGoogleマップの検索結果の上位に表示されやすいと言われています。スタッフなど人物が写っている写真を使った方がコンバージョン率は高い傾向にあります(竹内さん)

参加者の皆さまからいただいた熱い感想

質疑応答は大いに盛り上がり、終了予定時刻を30分ほどオーバーしたにもかかわらず200人近くの方々が最後まで残ってくださいました。終了予定時刻を過ぎても質問が止まらないなか、熱量の高い参加者の方々に向けて「超嬉しいよ」「俺、大好きだよ」と笑顔を見せた竹内さん。参加者・講師ともにECに熱い思いを持った方々にお集まりいただけたことは、セミナーを企画した株式会社フューチャーショップとしても大変喜ばしいことでした。

2025年のEC市場を竹内謙礼さんが徹底予測!ネットショップ反撃のキーワードは「推し店」
終了予定時刻を過ぎても質問が止まらず、できる限り多くの質問に回答してくださった

今回のセミナーで竹内さんは、2025年のEC市場をシビアな視点で捉えながらも、前向きで建設的なEC戦略を解説してくださいました。そのお話は、竹内さんが日々実施しているコンサルティングや市場調査、日経MJの連載取材などにもとづくものであり、書籍やWebサイトでは得られない貴重な情報でした。セミナー参加者の皆さまからも大変ご好評をいただきました。セミナーレポートの最後に、参加者アンケートの一部を抜粋してご紹介します。

【アンケート一部抜粋】

お店のコンセプトに共感してリピーターになってもらえる推し店舗は、弊社でも目指しているポジションになりますので、SNSの活用方法など非常に参考になりました

熱量のある講演で大変参考になりました。よく推されるショップになりましょう、というセミナーを聞きますが、そこに対してここまで解説いただいているセミナーは初めてでした

顔が直接見えないネットショップで、どうやってファンを作るのかという部分がとても参考になりました。相変わらず竹内先生はバッサリ斬ってくれるので楽しく聞けました

「愛される権利」「人生を賭けなければ推し店にならない」などワイルドな金言が並び、メモが止まらなかったです。とても勉強になりました!このような企画をありがとうございました

新規顧客の獲得に苦慮しており、今後の対応策に悩んでいました。SNS(Instagram)を始めてみたものの投稿頻度が少なく、活用できていませんでした。”毎日投稿するぐらい本気でやらないといけないと”ガツンと言っていただけてすっきりしました。当社の強み、ストーリーを見直し、当社サイトが何をしたいのか再考します

2025年の動向が凄く分かりやすかったです。正直売上が伸び悩んでいますが、その中でもどのように自社の商品を位置付けてお客さまに選んで頂けるようにするのかを考えていこうと思います。目指すは「絶対的な推し店」です

竹内謙礼さん、毎回素晴らしいです。ずっとファンです。これを無料で開催するfutureshopも素晴らしいです

まとめ

株式会社フューチャーショップは、EC事業者さま向けのセミナーをオンライン・オフライン問わず随時開催しています。futureshopをご利用中の店舗さまはもちろんのこと、利用していない事業者さまにもご参加いただけます。

脱皮を繰り返すヘビにちなみ「大きな変化が起こり、新たに生まれ変わる年」とも言われる巳年の2025年。EC事業を飛躍させるため、フューチャーショップのセミナーをぜひご活用ください。

開催予定のセミナーを下記ページに掲載しています。ぜひご覧ください。

今後のセミナー情報はこちら!
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