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“チャレンジを至高の概念とする”
何よりも至高な概念を「チャレンジ」とし、シード/アーリーステージの起業家を支援するベンチャーキャピタル(以下、VC)、株式会社ANOBAKA。
最終章の【後編】では、長野さんの起業家に対する想いや日本のスタートアップエコシステムに対して感じていることを伺いました。
前編・中編をご覧になっていない方は是非以下のリンクからご覧ください!
前編はこちら:https://startuplog.com/n/n3d36913cc164
中編はこちら:https://startuplog.com/n/ne4c38a1a8cb3
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長野さんの考える「活躍する起業家」とは?
ー長野さんは活躍する起業家はどんな方だと捉えていますか?
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長野氏:さまざまな要素が必要だと思います。まずタイミングは非常に重要です。例えば、生成AIの場合、ChatGPTが登場する前の時代に取り組んでいても、早すぎてうまくいかなかったかもしれません。
それから、人間的な魅力も欠かせないと思います。人を引きつけられる力がないと、仲間も集まらないし、投資家の支持も得られない。起業は一人じゃできないから、信頼できるチームがいるかどうかは、成功の大きな要因になると思います。
もちろん競合や市場の状況も関係してきますし、そういった要素が全部組み合わさって、数百億規模の企業が生まれてくるんだと思います。
ただやっぱり一番大事な要素は「24時間365日、その事業に本気で集中してるかどうか」だと思います。どんなに環境が良くても、本気で向き合えない人にはやっぱり難しい。本気でやれるかどうかっていうのが、結局一番大きな差を生むんじゃないかなって感じます。
ーそれは所謂「バカ」であるかどうかということですよね
長野氏:そうですね。自分の成功を信じて、それに向かって努力を惜しまないことが一番大事だと思います。起業家って聞くと、みんな「ものすごく努力してる人」っていうイメージを持っていると思いますけど、実際はそうじゃないケースも結構あるんです。中には、せっかく投資を受けても、そのお金を遊びに使っちゃう人とか、怠惰に飲み歩いちゃうような人もいますから。
でも、本当に成功する人っていうのは、自分の成功のために24時間365日を費やせる人なんです。それくらいの本気さが、最低限必要な要素なんじゃないかなと思っています。
長野さんの印象に色濃く残る起業家
ー長野さんが接してきた起業家の方で、一番印象的なのはどなたですか?
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長野氏:KLab社元社長の真田さんは、僕にとって最も影響を与えた起業家の1人です。当時、iモード事業を手掛け、売上の6〜7割は受託事業でした。僕もフジテレビとiモードのサイト運営を行い、国内の大手エンタメ企業をクライアントにした受託ビジネスで一定の規模を築いていました。
そんな中、真田さんはアメリカの「Zynga(ジンガ)」がFacebook上で成功している情報をキャッチし、SNSプラットフォーム上のアプリ事業の可能性を確信しました。まだ「ソーシャルゲーム」という言葉がない時代に既存事業を整理し、この分野に一点突破するという大幅なピボットを実施したんです。
猛反対を受けながらも、その決断が大成功を収め、最終的に時価総額800億円に達しました。この大胆な判断力と行動力は本当に印象的でした。
ーやはり稀有な成果をあげる起業家は踏むべきタイミングでアクセルを踏み込めるんですね
長野氏:そうですね。勝負どころというのは経営者にとって非常に重要な瞬間だと思います。それを逃さないことが、大きな成長につながるか、中途半端に終わるかの分かれ道です。例えば、ソフトバンクの孫さんも、あのタイミングでジャック・マーに投資を決断したからこそ、今のソフトバンクがあるわけです。サイバーエージェントの藤田さんも、アメーバを絶対に成功させるという覚悟で自らプロデューサーとしてアメーバを軌道に乗せました。これもまた、勝負どころを見極め、それを逃さなかった例です。
経営者にはそれぞれに勝負のタイミングがあります。その一瞬を捉えられるかどうかが、その後の成長を大きく左右するのだと思います。
ANOBAKA社の投資先への支援について
ーANOBAKAさんの投資先への支援について教えてください
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長野氏:VCと戦略コンサルの支援は一見似ています。どちらも会社の経営を支援する点では共通していますが、大きく異なる部分はフィービジネスか、オール・オア・ナッシングかという点です。
コンサルはクライアントの成功失敗は関係なく、フィーを得るビジネスモデルです。一方でVCは失敗したらリターンはゼロ。しかし、成功すれば大きなリターンを得られる。だからこそ、「成功のためにできることはすべてやらなければならない」というのがVCの本質だと思っています。
「代表的な支援は何ですか?」と聞かれたら、間違いなく「ファイナンス支援」と答えます。ただ、実際にはそれだけではありません。例えば、投資先の社長がプライベートなどで問題があった時、話を聞いて飲みに行って慰めることもあります。そういった人間的なサポートも含めて、「やれることは全部やる」というのが、僕らの伴走支援のスタンスだと思っています。
ー起業家と同等の熱量を持って取り組んでいるということですね
長野氏:それくらい本気で向き合わないと、経営者の方々も納得してくれないと思うんです。VCだからといって「資金を入れてくれればそれでいい」と思われるだけでは、信頼関係は築けません。僕らが本気で投資先の成功のために全力を尽くすという姿勢を見せてこそ、初めてその信頼が生まれるんだと思います。真剣さがなければ、そうした関係は築けないです。
日本企業の海外進出について
ー日本の企業が海外展開するうえでの課題は何だと捉えていますか?
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長野氏:この話は非常に難しく、いろんな意見があるので一概に答えを出すのは難しいですが、「世界に出ていこう」と簡単に言えても、この30年間でそれを本当に達成した例はほとんどありません。例えば、メルカリも海外事業で苦戦しました。GREEやDNAも何百億円もの投資をして海外進出を試みましたが、簡単にはいきませんでした。
戦後の日立やソニー、パナソニックといった企業が海外で成功した実績を引き合いに出して、「今でもできるはずだ」と言う人もいますが、それは「言うは易し行うは難し」で、現実として実現できていないのが正直なところだと思います。
ーそういった現状が続いている原因は、何にあると捉えていますか?
長野氏:インターネットサービスにおいては、文化や言語の壁が非常に大きな課題になっていると考えています。たとえ英語を話せる人でも、アメリカのトップティアのVCのような「超インナーサークルクラブディール」と言われる世界に入り込むのは難しい。そこには人種や文化的背景に根ざしたインナーサークルが存在していて、アジア人がその中で資金調達をすることは難しいのが現状です。
そういった人種的な壁や文化的なハードルを考えると、インターネットセクターで世界的に成功するのはかなり難しいテーマだと思います。簡単に「世界に出よう」とは言えないです。
ー世界ではなく、現在は日本国内で戦うのが先決ということですか?
長野氏:日本国内にはまだまだ多くの課題が山積しているのは事実です。課題先進国と言われる日本において、スタートアップが果たすべき役割は非常に大きい。硬直化し、疲弊している大企業に代わって、新しいサービスを提供し、社会をより良くしていくことが求められています。海外展開に無理に挑んで失敗するよりも、まずは日本国内で実るビジネスをしっかり成功させ、少なくともIPOまでたどり着くことが一つの理想形だと考えています。
「世界で成功する方法はありますか?」と聞かれたら、正直「わからない」というのが答えです。ただ、国内での成功からスタートするのが現実的なステップだと思います。
ANOBAKAの今後の展望について
ーそれでは最後に、ANOBAKAさんの今後の展望を教えてください。
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長野氏:僕らのミッションは「チャレンジを至高の概念とする」ことです。過去の仕事を振り返ると、自分には少し難しいかもしれないとか、本当にできるのかなと感じるようなチャレンジングな目標に取り組んで、それを達成するプロセスにこそ、大きな幸せや充実感を感じてきました。
たとえば、KLab時代に難しいプロジェクトを1人でプロデュースしたり、MBOの目標を達成するまでのプロセスに多幸感を覚えたことを今でも鮮明に覚えています。人間は仕事とプライベートが密接に絡み合った生き物ですので、仕事の中で充実感を得られると、人生全体が豊かに感じられるんです。だからこそ、何かにチャレンジして、そのプロセスを通じて多幸感を得られる人を1人でも増やしたい。そんな想いで、この仕事に取り組んでいます。
そして、その想いを形にする最良の手段が、VCという仕事なんです。
起業に挑む人たちを支え、彼らが目標に向かって頑張る姿を見るのは、本当に意義深いことだと思います。また、僕らのメンバーにも「年間1つは過去にやったことがない新しいチャレンジをしてね」と伝えています。
今後も、チャレンジする人を増やす活動をどんどん広げていきたいと思っています。
―長野さん、本日は貴重なお話をありがとうございました!ANOBAKAさんがチャレンジする人を増やし、多幸感に溢れる人が世の中に増えることを、陰ながら応援させていただきます!
ANOBAKAの方のお話を聞いてみたい!という起業家・投資家の方は以下のCONTACTページからご連絡をお願いします。
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