住友化学、欧州の農薬販売会社2社の子会社化に向け基本合意

住友化学株式会社(4005)は、連結子会社である販売会社Philagro Holding, S.A.(フランス・リヨン、以下:フィラグロ社)の全株式、また、同じく連結子会社である販売会社Kenogard, S.A.(スペイン・バルセロナ、以下:ケノガード社)の全株式を取得することについて、他株主と基本合意に至ったことを発表した。24年度中に契約締結の予定。

住友化学は、総合化学メーカー。石油化学品、機能材料、光学製品などの製造・販売を行っている。
フィラグロ社とケノガード社はともに、販売会社で、農薬を中心とした農業用資材を扱っている。

背景・目的

住友化学は、フィラグロ社とケノガード社を、世界有数の農業大国であるフランスおよびスペイン※1における重要な販売拠点として位置付けてきた。

欧州は、中南米・アジアに次ぎ、北米を凌しのぐ農薬の巨大市場※2。同地域では厳しい環境規制が強化されており、今後の農業生産を支える柱としてバイオラショナル※3への期待が高まっている。こうした中で、住友化学は、環境負荷の低い化学農薬に加え、バイオラショナルの幅広いラインアップを有することで、同地域における強固なプレゼンスを構築してきた。

住友化学は、本件M&Aを皮切りに、欧州におけるフットプリント(自社事業拠点)、ポートフォリオの強化へ向けた取り組みを加速させる狙い。

欧州・中近東・アフリカ地域の農薬事業を統括するSumitomo Chemical Agro Europe, S.A.S.(フランス・リヨン)とフィラグロ社の一体運営を進めるとともに、再編やM&Aも視野に、事業の拡充を図る。

また、現在開発を進めている複数の大型殺菌剤などの化学農薬事業およびバイオラショナル事業のシナジー拡大にも取り組み、同地域における農薬関連事業全体で、2030年に現在の2倍以上の売上収益を目指す。

※1:フランスは世界7位、スペインは14位。2カ国の農薬市場規模を合算すると、世界4位のアルゼンチンに並ぶ(AgbioCrop Market Review 2023より)
※2:欧州は中南米、アジアに次ぐ第3位。次いで北米、中近東アフリカ(AgbioInvestorより)
※3:住友化学グループでは、天然物由来などの微生物農薬、植物成長調整剤、根圏微生物資材などや、それらを用いて作物を病害虫から保護したり、作物の品質や収量を向上させたりするソリューションをバイオラショナルと定義。
(提供:日本M&Aセンター

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