近年では、コロナウイルスの流行やスマートフォンの普及などにより、インターネット経由によるショッピングが人気を集めています。そのような流れもあり、ECサイトの立ち上げを検討している方や企業も多いのではないでしょうか。
本記事では、ECサイトにおける事業計画を詳しく解説します。事業計画を策定する流れやサイト開設時に利用できる補助金なども紹介しているので、EC事業を始めようとしている方はぜひ最後までご覧ください。
目次
ECにおける事業計画とは
事業を立ち上げる際には、事業計画(ビジネスプラン)を策定するのが一般的です。事業計画書として書類にまとめ、銀行からの資金融資などの際にも提出します。
EC事業も同様に、自社ECサイトの構築やECモール出店の際には、事業計画書を作成します。事業計画書には、主に下記のような項目を記載します。
・ECサイトの目的
・事業内容
・収支計画
・販売戦略
・運用体制
・スケジュール
事業計画がないと、ECサイト運営においてやるべきことや達成すべき目標が曖昧になってしまいます。効率的に目標を達成するためにも、必ず事業計画書を作成しましょう。
EC運営において必要な業務
ECサイトを運営する際に必要となる業務は、主に下記があげられます。
業務 | 業務内容 |
商品企画 | どのような商品を販売するか検討する業務 |
仕入れや発注、製造 | 販売数や在庫回転率などを踏まえて過剰在庫などが生じないように仕入れや発注、製造を行う業務 |
商品登録やサイト更新 | 商品ページのデザインや撮影などを行う業務 |
集客 | 各種施策を用いて集客を行う業務 |
受注管理 | 顧客から注文を受け、出荷指示までを行う業務 |
在庫管理 | 仕入れた商品の数や在庫を正確に管理する業務 |
梱包や配送 | 注文を受けた後に梱包を行い、配送業者に引き渡す業務 |
アフターフォロー | 購入後のサンクスメールやクレーム対応などの業務 |
分析や改善 | サイト訪問者の行動パターンや離脱率などを分析し、より良いサイトを作るため改善を行う業務 |
EC運営は在庫管理や梱包などのバックエンド作業も多くあります。効率的に業務を進めるためにも、管理システムなどを導入するのがおすすめです。
EC事業計画を策定する流れ
ECサイトの運営において、事業計画を策定する流れは、下記の通りです。
- 現状分析
- フレームワークを用いた目標設定
- EC事業の戦略を立案
- 広告会社・制作会社を選ぶ
- 事業計画書の作成
- 事業計画をもとに実行
それぞれの流れについて詳しく見ていきましょう。
現状分析
まずは自社の強みや特徴、課題などを洗い出し、現状分析を行います。ターゲット顧客や市場における自社の立ち位置、競合他社などを明確にすることで、EC事業の目標や戦略を立てやすくなります。
環境・自社・競合他社の3つを軸にして市場環境を分析する3C分析を活用する方法が代表的です。
フレームワークを用いた目標設定
次にEC事業の目標を設定しましょう。目標を設定することで、目標達成に必要な課題やそこまでたどり着くための戦略を明確化できます。目標達成には「SMARTの法則」を用いるのがおすすめです。
SMARTの法則とは、下記の頭文字を取ったフレームワークを指します。
・Specific(具体的)
・Measurable(測定可能)
・Achievable(達成可能)
・Relevant(関連性がある)
・Time-bound(期限がある)
5つの要素に沿って目標を設定することで、現実的かつ効果的な目標設定が可能です。この設定には、目標を達成するのに必要な指標の因果関係を可視化したKPIツリーなどと、あわせて作成するとよいでしょう。
EC事業の戦略を立案
目標設定後は、EC事業の具体的な戦略を立案しましょう。例えば自社ECまたはECモールを利用するのか、社内体制はどうするかなど具体的な戦略が必要です。
戦略立案には、ペルソナを設定しカスタマージャーニーマップを作成する方法があります。カスタマージャーニーマップとは、顧客が自社の商品を知ってから購入に至るまでの過程を時系列でまとめた図を指します。
情報が整理できたら、自社の予算やリソースを含めたうえで、以下のようなポイントを決めていきましょう。
・自社ECサイト or ECモール
・マーケティング・ブランディング施策
・集客およびリピーターを獲得する施策
・予算および社内体制の整備
・制作会社の選定など
広告会社・制作会社を選ぶ
具体的な戦略が決まったら、広告会社や制作会社を選定します。広告会社や制作会社を利用する場合は、下記のポイントを踏まえて選びましょう。
・実績と専門性は高いか
・対応範囲は希望と合っているか
・サポート体制は充実しているか
広告会社のサービスや質は、ECサイトの売り上げに直結します。安さだけで選んでしまうと、思うようなサポートを受けられなかったり、自社で担当しなくてはならない業務が増えてしまったりするため、総合的に判断しましょう。
事業計画書の作成
現状分析や目標、戦略などを踏まえて事業計画書を作成します。事業計画書を作成する際は、誰でもわかりやすい内容に仕上げるように意識しましょう。
事業計画は、金融機関や協力会社などにも共有するため、社外の人でもわかりやすい内容にしなくてはなりません。目標や戦略以外にも、商品供給リスクや集客がうまく行かない場合のリスク対策なども記載しておきましょう。
事業計画をもとに実行
事業計画書が完成後は、それらをもとに事業を実行します。しかし、EC市場は常に変化しているため、全てが計画通りに進むとは限りません。計画通りに進まなかったり、施策に問題が生じたりした場合は、要因を分析し、新たな計画を立てることが大切です。
他にもECサイト開設時には、下記のポイントを押さえることでより成功に近づきます。
・固定費を抑える
・在庫をストックし過ぎない
・リピーターの集客に注力する
・商品説明を充実させる
・キャンセルや返品などの情報を記載する
・創業者の思い・覚悟
ECサイトを開設する際のポイントについて、より詳しく知りたい方は下記ページもご覧ください。
EC事業計画を立てる際のポイント
明確な事業計画を立てるためのポイントは次のとおりです。
・わかりやすく説明できる
・目標や計画が明確になっている
・ロジカルな仮説を立てられている
1つずつ詳しく解説していきます。
わかりやすく説明できる
EC事業計画書は、社外の人にもわかりやすく説明できるかが大切です。なぜなら、制作会社や金融機関などに事業計画を提出したり、説明したりする可能性があるためです。できるだけ専門用語は使わず、社外の人間でもわかりやすいような内容を意識しましょう。
他にも、短時間で説明できるように内容を要約したり、専門用語を使いたい場合は簡潔にわかりやすい説明ができるようにしておいたりすることも大切です。
目的や計画が明確になっている
事業計画書がぼんやりとした内容にならないよう、事業目的や内容、目標などを一つひとつ明確にしましょう。明確になっていないと「何がいいたいの?」「どうしたいの?」となってしまい、説得力を失います。事業計画書を明確にすることで、事業の方向性がぶれたり、社内の認識がズレたりするリスクを防げるでしょう。
ロジカルな仮説を立てられている
事業計画書は仮説に基づいて作成されます。そのため、信憑性を持たせるには、できる限りの数字や分析結果などを用いて仮説を立てることが大切です。
例えば、EC市場や競合他社に関する市場調査結果、経済産業省が出している調査結果などを踏まえて作成することで説得力が向上します。
ECサイト運営開始時に申請できる補助金
ECサイト運営開始時には、いくつかの補助金を利用できる可能性があります。代表的な補助金は下記があげられます。
・事業再構築補助金
・IT導入補助金
・ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
・小規模事業者持続化補助金
それぞれの補助金について詳しく解説します。他にもECサイト運営を検討している方は、下記ページも合わせてご覧ください。
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、小企業が新しい事業に参入する際にかかった経費の一部(補助率⅔)を補助する制度です。補助金額は最大1億円、小規模事業者でも最大2000万円に設定されています。ECサイトの構築にかかる費用などの一部を補助金として受け取れるため、事業計画を立てる1つの目的になります。
事業再構築補助金について詳しく知りたい方は、下記ページもご覧ください。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金とは、生産性向上を実現するための商品開発や生産過程の改善のための設備投資をサポートする制度です。「ものづくり」と名前が付いていますが、生産性の向上につながる設備の導入であれば補助対象になります。補助額は事業の内容や規模により異なり、最大で1,000万円以上の補助が支給されるケースもあります。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が経営の安定や業務の改善、販路拡大を目指すための支援を目的とした制度です。従業員人数が20人以下の小規模事業者が対象となり、最大50万円、特定の取り組みに対しては追加で補助を受けられる可能性があります。
IT導入補助金(2024年度以降EC適用不可)
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者がECサイト構築や運営に必要なITツールやシステムを導入する際に利用できる制度でしたが、2024年度からはECサイト制作は適用外となりました。
IT導入補助金について詳しく知りたい方は、下記ページもご覧ください。
EC事業を立ち上げるならfutureshopへご相談ください
EC事業を立ち上げるならfutureshopへご相談ください。
futureshopでは、ECサイト立ち上げからご相談に乗っており、Webミーティングも対応可能です。futureshopに関する説明会も開催しているので、興味がある方はぜひ一度ご相談ください。
まとめ
ECにおける事業計画は、効率的にECサイトを運営していくために欠かせません。事業計画書は、現状分析やフレームワークを用いた目標設定、戦略立案などの下準備をしてから作成します。さらに事業計画書は、社外の人にもわかるよう、わかりやすく作成することが大切です。
futureshopでは、これから事業計画を立てようとしている方も対象に様々なご相談を受け付けています。EC事業を検討している方は、ぜひ一度問い合わせフォームからご相談ください。