オムニチャネルなど実店舗とECが連携してマーケティングを推進する上で、スマホアプリは顧客との接点を作る重要なツールです。ECや実店舗の販促にスマホアプリを活用し、顧客エンゲージメントの向上や売上アップに成功する事業者さまも目立ち始めました。株式会社フューチャーショップが2024年2月にリリースしたアプリサービス「future M-App」の導入企業さまがアプリマーケティングで成果を上げた事例も出てきています。
その一方で、「アプリを導入したいけれど、何から始めれば良いか分からない」「アプリに実装すべき機能や、UI・UXの最適解を知りたい」といった課題を感じているEC事業者さまも多いようです。
そこで株式会社フューチャーショップはこのほど、自社ECサイトや実店舗を運営している事業者さまを対象に、スマホアプリの活用法や効果を解説するオンラインセミナー「アプリからECへのアクセス数が1年で2倍!成長ブランドが実践するEC×店舗のためのアプリ最適解」を開催しました。
アプリ開発プラットフォーム「MGRe(メグリ)」を提供しているメグリ株式会社の鯨岡さんをゲストスピーカーとしてお招きし、アプリマーケティングで成果を上げるポイントについて「MGRe」の成功事例を踏まえて解説していただきました。
成長ブランドが実践しているアプリ活用法など、具体的な施策を多数紹介した今回のオンラインセミナー。その内容を詳しくお伝えしますので、次のような事業者さまは本稿をぜひ参考にしてください。
このセミナーレポートは次のような方にオススメです
・アプリを活用してECと実店舗の売上を伸ばしたい ・アプリを使ってワン・トゥ・ワン・マーケティングを目指したい ・アプリで顧客体験を高めたい ・アプリマーケティングの成功事例を知りたい |
【スピーカー】
セールスチーム シニアアカウントマネージャー
アライアンス推進室 室長 兼 サービスプロデュース部 ビジネスアナリスト
この記事は株式会社フューチャーショップが2024年10月16日に開催したオンラインセミナー「アプリからECへのアクセス数が1年で2倍!成長ブランドが実践するEC×店舗のためのアプリ最適解」をもとに構成しています。 |
目次
ECにおけるアプリの役割とメリットとは?
セミナーの冒頭、株式会社フューチャーショップの水岩が登壇し、ECにおけるスマホアプリの役割や導入メリットを解説しました。
スマホアプリを導入するメリットの1つは「ブランドと顧客の距離が縮まる」(水岩)こと。EC事業者さまがお客さまとコミュニケーションを取る場合、スマホアプリならプッシュ通知でダイレクトにリーチできます。メールやLINEといった送信手段を挟まず、スマホのホーム画面からワンタップでアプリにアクセスできるため、「ブランドへのアクセス距離が短い」(水岩)と説明しました。
買い物の利便性が向上してブランディング強化につながる
ECにスマホアプリを導入すると、ユーザーにとって買い物の利便性が高まります。Webブラウザを立ち上げることなくスマホのホーム画面からワンタップでアクセスし、スマホネイティブなUIでサクサク操作できるなど「ユーザーがストレスを感じることなくブランドにアクセスできる環境が整う」(水岩)ためです。
アプリを導入すると、お客さまにとって買い物の利便性が高まり、お客さまから選ばれるお店を作ることにつながります。ECサイトの主な役割は「商品を売ること」ですが、アプリはお店の「ブランディング」にも貢献するツールです(水岩)
アプリ会員はLTVが高い
スマホアプリはECの売上に、どのような効果があるのでしょうか。メグリ株式会社の鯨岡さんはアプリ構築プラットフォーム「MGRe」のデータを紹介し、「アプリ利用者は購入単価や年間購入金額などが高い傾向にある」と説明しました。
ECサイトにおける売上単価や購入頻度について、アプリ登録者と非登録者を比較した結果、アプリ登録者の方が顕著に高い傾向が見られました。アプリの利用者はエンゲージメントが高いため、アプリ会員を増やすことで、ECサイトのロイヤルカスタマーを増やすことができます(鯨岡さん)
EC・店舗で顧客エンゲージメントを高めるアプリマーケティング7つのポイント
続いて鯨岡さんは、ECや実店舗でのアプリマーケティングで成果を上げるポイントを解説してくださいました。「MGRe」の成功事例から導き出した知見です。本稿では、その一部を紹介します。
【アプリマーケティング 7つのポイント】
- パーソナライズされた顧客体験
- プッシュ通知のセグメント配信
- 簡便な購入プロセス(ECサイトの自動ログイン)
- スマホに最適化されたUI
- データ分析とフィードバック
- アプリ専用のマーケティング
- アクティブ率の向上(ゲーミフィケーション)
1.パーソナライズされた顧客体験
アプリマーケティングで成果を上げるポイントの1つ目は、セグメント配信によってパーソナライズされた顧客体験を提供すること。「購買履歴や閲覧履歴などで会員を絞り込み、届けるコンテンツの内容や、配信するタイミングを最適化することが重要」(鯨岡さん)と強調しました。
スマホアプリでコンテンツを届ける方法は、プッシュ通知、アプリ内でのポップアップ、レコメンド、マイページ、新着ニュースなど多岐にわたります。鯨岡さんは「パーソナライズされた顧客体験を実現するには『誰に、何を届けるか』と『どのような方法で届けるか』の掛け算で考えるべき」と指摘し、「会員ごとにコンテンツの出し分けを行えるスマホアプリを構築することが必須」と説明しました。
2.プッシュ通知のセグメント配信
パーソナライズされた顧客体験を実現する上で、「プッシュ通知のセグメント配信は特に重要」(鯨岡さん)です。プッシュ通知の開封率を上げるポイントについて「セグメント配信を活用し、お客さまが『自分のためのコンテンツが届いた』と実感できるようにすることが重要」と説明。「MGRe」の導入事業者さまのアプリデータを例に挙げ、セグメント配信を行うことでプッシュ通知の開封率が上がることを説明しました。
3.簡便な購入プロセス(ECサイトの自動ログイン)
スマホアプリを活用してECサイトの売上を伸ばすには、ユーザーにとって簡便な購入プロセスを設計することが重要です。簡便な購入プロセスを実現する方法の1つは、スマホアプリからECサイトに遷移した際に、ECサイトに自動的にログインできるようにすることです。
ECサイトをWebビュー(WebのECサイトをアプリ内で表示する方法)で運用する場合、アプリからECサイトに遷移するたびにIDとパスワードを入力する必要があると、ユーザーにとって不便であり、買い物の途中で離脱する原因になります。
快適な買い物体験を実現するには、アプリに一度ログインしたら、その後はログイン状態が継続し、アプリとECをシームレスに行き来できるようなる「自動ログイン機能」が不可欠です。
自動ログイン機能を実装すると、買い物の途中での離脱が減り、コンバージョン率の向上が期待できます。なお、自動ログイン機能がないアプリプラットフォームもあるため、アプリを導入する際は注意してください(鯨岡さん)
4.スマホに最適化されたUI
ECサイトをWebビューで表示する場合でも、アプリ内の特集ページやアイテムリスト、会員証などのコンテンツはスマホに最適化されたUIを作り込むことが必要です。「見やすく、サクサク操作できるように制作すると、ユーザー体験が向上し、アプリのアクティブ率の向上が期待できる」(鯨岡さん)と指摘しました。
5.データ分析とフィードバック
アプリマーケティングの効果を高めるには、アプリ利用者の行動データを分析し、コンテンツや施策の改善につなげることも重要です。鯨岡さんは「アプリを作ることがゴールではなく、日々の運用が本番」と指摘した上で、「データ分析にもとづいてPDCAサイクルを回すことが必要」と強調しました。
アプリマーケティングで成果を上げるには、アプリ利用者の閲覧履歴や購買履歴などを分析し、コンテンツの内容、見せ方、セグメントの切り方、ユーザー導線などのPDCAサイクルを回す必要があります。そのためには、分析機能を備えたアプリを構築することが必須です(鯨岡さん)
6.アプリならではのマーケティング
スマホアプリを導入するとECやオムニチャネルにおけるマーケティングの幅が広がります。例えば、NFCタグを仕込んだポスターを実店舗に設置し、アプリ会員がポスターにスマホをかざすとクーポンを獲得できるなど、オンラインと実店舗が連動した施策を打つことも可能です。
7.アクティブ率の向上(ゲーミフィケーション)
スマホアプリのアクティブ率を高めるには、アプリ内にゲーム要素を取り入れる「ゲーミフィケーション」も効果的です。例えば、アプリを開くとルーレットが回ってポイントが貯まるようにすると、ユーザーがアプリを開く動機づけになります。
アプリのアクティブ率を上げるには、ユーザーにとって有益なコンテンツを提供し、定期的にアップデートを行うなど、さまざまな施策を複合的に打つことが必要です。その一環として、ゲームを通じてポイントやクーポンなどを提供するのも効果的です(鯨岡さん)
アプリからECサイトへのアクセス数が2倍になった成功事例
今回のオンラインセミナーでは、こうした7つのポイントを含めて、さまざまな施策を実施してアプリマーケティングで成果を挙げたブランドの成功事例も多数紹介しました。本稿ではその中で、アプリからECサイトへのアクセス数が1年で2倍に増えた株式会社フリーインターナショナルさまの取り組みをお伝えします。
フリーインターナショナルさまは2022年3月に「MGRe」を導入してスマホアプリをリニューアルしました。リニューアルを機にコーディネート投稿ツール「STAFF START」を導入したほか、リニューアル後はプッシュ通知を週4〜5回の頻度で配信するなど、アプリ会員とのコミュニケーションを強化しています。また、GA4でアプリのデータを分析し、アプリ内のコンテンツやUI/UXを継続的に改善してきました。
同社はスマホアプリのダウンロードを促進する手段の1つとして、実店舗での活動にも力を注いでいます。スマホアプリに新規登録した会員に500円クーポンを付与するキャンペーンを実施するとともに、店舗スタッフが顧客にスマホアプリを案内するなど、実店舗とECが連動した取り組みによってダウンロード数を伸ばしました。
こうした施策の結果、2024年8月にはアプリからECサイトへの月間アクセス数が前年同月比192%(1.92倍)に増加するなど、さまざまな成果を上げています。
フリーインターナショナルさまは、アプリを通じてユーザーに有益な情報を発信し続けるとともに、店舗スタッフさんがコーディネートを投稿し、アプリダウンロードにも貢献するなど、オンラインと実店舗が連携してアプリマーケティングを推進しています。そういった全社的な取り組みが成果につながったのだと思います(鯨岡さん)
オムニチャネルに最適なアプリのシステム構成
オムニチャネルを推進する上で、アプリは欠かせないツールです。鯨岡さんは、オムニチャネルを推進する企業がアプリを導入する際の注意点についても解説してくださいました。
鯨岡さんが注意点の1つに挙げたのは、先々を見据えてアプリのシステム構成を設計すること。「将来的な事業の広がりに対応できるように、拡張性のあるシステム構成にしておくと都合が良い」と指摘し、「EC・実店舗・会員データベース・アプリがそれぞれ独立した状態で、データをつないで運用する仕組みが最適解だと考えている」と説明しました。
拡張性のあるシステム構成にしておくと、企業の成長フェーズに合わせてオムニチャネルのあり方を柔軟に変えていくことができます(鯨岡さん)
ECサイトや実店舗とシームレスにつながるアプリ「future M-App」
今回のオンラインセミナーでは、株式会社フューチャーショップが2024年2月にリリースしたアプリ構築サービス「future M-App」も紹介しました。「future M-App」はメグリ株式会社が開発を手がけ、ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」とシームレスに連携できるように設計されたアプリサービスです。
「future M-App」でスマホアプリを開発すると、ECサイトに溜まった顧客情報をアプリの販促にそのまま利用することができます。例えば、会員IDに紐づいた属性プロフィールや購買履歴などにもとづき、アプリのプッシュ通知でクーポンやコンテンツをセグメント配信することが可能です。
既存のECサイトをWebビューでアプリ内に表示するため、ECサイトをネイティブアプリで構築する必要はありません。ECサイトの自動ログイン機能も備えているため、初回にログインすれば、それ以降はID・パスワードを入力することなく買い物ができます。
分析機能も備わっており、アプリユーザーの利用状況を管理画面で確認し、PDCAサイクルやプロモーションに活かすことが可能です。また、オムニチャネルプラットフォーム「futureshop omni-channel」をご利用の店舗さまは、ポイントや会員証を「future M-App」に連携して運用することができます。
ECシステムと連携済みのアプリだからスムーズに導入
「future M-App」は「futureshop」に最適なシステム仕様で開発されたアプリプラットフォームですので、futureshopをご利用中の店舗さまは、最短3ヶ月ほどでスムーズに導入することが可能です。アプリの開発費用についても、EC事業者さまがアプリとECサイトのシステム連携を個別開発で行う場合と比べて、大幅なコストダウンを実現しました。
オムニチャネルを推進している事業者さまをはじめ、EC専業の事業者さまにもご活用いただくことが可能です。アプリマーケティングを通じて、ECや実店舗の顧客エンゲージメントを高め、売上アップを目指したい事業者さまは、下記フォームからお気軽にお問い合わせください。
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「future M-App」の導入企業さまがオムニチャネルで成果を上げた成功事例を紹介したインタビュー記事も公開しています。こちらもぜひご覧ください。