とりあえず投資を「始める事」の重要性
・人口減少
・社会保障費の増加
・長寿化
・終身雇用制度の崩壊
・円の信用下落
・上がらない給与
など
今後の日本経済の見通しを考えると豊かな人生を歩むために資産形成としての投資は外せないものになってきています。
これについては個人だけではなく企業の資産においても同じことが言えます。
今日本はかつてないほど企業の内部留保がほぼ預金で貯まっています。この資産を運用する事によって企業の体力が向上し永続性を高める事に繋がります。
※誤解が無いようにお伝えしておくと、上記のような事、自身や自社の将来の事を検証した上で投資をしない選択をする事は自由です。
今回は「何となく怖い」等の理由で投資が出来ていない方に是非参考にしていただきたい。
おぼろげながらも「投資を始めた方が良い」と考えている方は増えてきてはいますが、日本においては学校で投資について学ぶ機会がなく、多くの人が投資に対して高いハードルを感じています。
「難しそう」という固定概念が強すぎて自主的に勉強を始める方は本当にごくわずか。
そのため多くの人が投資を始めれずにいます。
現に国が1人1口座のみ開設を認めている非課税制度であるNISA口座の開設数(2019年12月時点)は1,365万口座※1、20歳以上の人口である1億506万人※2と比較すると、人口の約13%しかNISA口座を開設していないことが分かります。
※1 引用「金融庁NISA口座の利用状況調査(2019年12月末時点(速報値))」
※2 引用「総務省統計局人口推計-2020年(令和2年)2月報)
そんな中、「とりあえず投資を始める」ことの重要性について解説します。
投資における絶対的な注意点
まずは解説の前に注意して頂きたい事。
それは投資をするにあたって学ぶことは必須という事です。
投資を学ぶことなく始めてしまうと、昨今流行の投資初心者を対象としたセミナーやライフプランニング、投資商品など、手数料収入を目的としたマーケティングに引っかかってしまう可能性が高く、実際に自分に合った効率の良い投資を行えていない方が数多くいらっしゃいます。
「自主的に学んでいく事を前提」にとりあえずこの投資だったら始めて良いのではないか、というものをご紹介させて頂きます。
すべての手法にはメリットデメリット、賛否両論があります。
投資において大切なのはその時その瞬間において自分に適切な投資をする事です。繰り返しになりますが、「とりあえず」始めるには良い投資という事を念頭において下さい。
とりあえず始めた方がいい投資 = 「長期・積立・分散投資」
とりあえず投資を始める方は、長期・積立・分散投資のみ推奨できます。
この投資方法は金融庁の金融審議会 「市場ワーキング・グループ」報告書でも推奨されている方法です。
どのような投資かというと、
①長期間にわたって。(人によりますが目安は10年以上)
②毎月「一定額」の投資信託(インデックスファンド)を買い続ける。購入金額は預金口座から自動引落。
③投資対象は世界に分散。自分のリスク許容度に応じたアセットアロケーションを組む。
という方法です。これにより
・詳しい知識はあまり必要なく
・一度設定すれば放置でOKで
・詳しい知識はあまり必要なく
・日々の値動きを気にしなくてよい
投資が可能となります。
そして何より先取り貯蓄を習慣化出来る点が優れています。
「毎月余ったお金を貯金しよう」のように、消費してから投資だとなかなかお金は貯まりません。
「毎月30,000円投資した後の残額でどうすれば幸せに生きていけるか」のように、消費の前に投資を考えることが資産形成においては大事になります。
それでは前述の①②③について順番に解説します。
①長期間にわたって。(人によりますが目安は10年以上)
投資のリターンは元金×利率×時間で計算されます。これから投資を始める方にとっていきなりまとまった元金は用意することは難しく、また投資初心者がリスクの高い高利率の投資を始めても失敗する可能性が高い。となれば誰しもが平等に持っている時間を見方につけた投資をするのが現実的です。
そして投資するにあたって誰もが恐れている値下りリスクについても、分散した投資においては期間を長く取れば取るほどそのリスクが低下していきます。1950年~2017年のS&P500のデータを見ると、どの時点で購入したとしても15年以上投資を続けていれば
リターンはマイナスに振れることはなかったのです。※
※引用「書籍:ウォール街のランダム・ウォーカー」
②毎月「一定額」の投資信託(インデックスファンド)を買い続ける。
これはドルコスト平均法という方法になります。
これから資産を形成していく投資初心者にとって一時金を拠出するのは難しいため、毎月
一定金額を拠出していくこの方法が現実的です。
国が整備している積立NISAやiDeCoもこの手法に則った投資になります。
また投資の世界は価格が波打ちます。経済が成長すれば価格は上がりますし、逆に衰退したり、金融ショックのような事が起きれば暴落することもあります。
毎月一定額を買い続ける事によって、高い時には少なく、安い時には多く買い続ける事が出来ます。金融商品自体のリスクを下げる効果があるわけではないですが、投資を続けるにあたっての精神的な安定をもたらしてくれます。
また購入対象はインデックスファンドを強く推奨します。
理由は、2つあります。
・多くのアクティブファンドがインデックスファンドに運用成績で劣後している事。
・手数料が圧倒的に安い事。
毎月積立てて長期にわたって投資を続けていく場合、購入手数料や信託報酬は将来の運用成績に大きな影響を及ぼします。
昨今のインデックスファンドは健全な価格競争により手数料が極めて安くなってきています。購入手数料はゼロ(ノーロード)が一般的となっており、信託報酬も0.5%を切るファンドが増えてきました。
手数料を多く払えばより大きなリターンを約束されている訳ではありません。
少しでも経費は削りましょう。
③投資対象は世界に分散。自分のリスク許容度に応じたアセットアロケーションを組む。
長期積立投資を始めるにあたって非常に重要な事は、この先何十年にもわたって成長するであろうと期待される国に投資をする、という事です。
つまり個別の企業や運用会社を期待して投資する訳ではなく、その国の経済成長を期待して投資をする、という事です。
したがって投資先の国の選定は重要です。
基本的には人口が増加傾向だったり、国際的な競争力を持っていたり、法整備がきちんとされているような先進国を中心に世界に分散すると投資のリスクを抑える事が出来ます。
また自身の投資可能年数や毎月の給与などのインカム、ライフイベント等からリスク許容度を測り、適正な資産クラス(株や債券や不動産)に分配していく必要があります。
前述したようにリスクは年数の経過とともに低下していき、過去のデータで見るかぎりでは高リスクの株ですら15年以上持てばマイナスに振れる事はありませんでした。
期間を長く取れる間は株を中心とした運用を行い、ターゲットイヤーが近づくにつれ債券などの安全資産の割合を増やしていくようなリスクコントロールが重要になります。
最後に
まだ投資を始めていない方は是非今回ご紹介した長期・積立・分散投資を「とりあえず」始めてみてください。手数料の関係や操作性、視認性からネット証券をおすすめします。
そしてとりあえず始めてみる中で、経済的な面で本当に成したい事を考えるきっかけになったり、銘柄の選定等を行う中で投資に興味を持てたり、勉強が出来たり、値動きを通じて世界の経済状況に興味を持てたり、と目に見えない所でも投資は必ず自分にとっていいものとして返ってくるでしょう。
(提供:税理士法人M&Tグループ)