SDGs
(画像=Mameraman/Shutterstock.com)

SDGsは大企業のもの?いや、中小企業にこそ必須です

SDGsをよく知らないという方でも、丸い虹色の襟章をスーツに付けているサラリーマンなら見たことがある方も多いのではないでしょうか。

SDGsとは2015年に国連サミットにより採択された、2030年までに解決しようという世界の17の社会課題解決のゴールをまとめたものです。

社会課題を皆で解決しようという目標であるはずなのですが、日本においてはどこか、SDGsは大企業がCSRによるブランディングとして活用するもので、中小企業には縁遠いものだと考えている経営者の方も多いのではないでしょうか。

しかし、世の中の変化によってSDGsのような社会課題が生まれ、そういった社会課題を解決しようとするのがビジネスの原理であり、企業の存在意義のはずです。

それを是とすると、中小企業が世の中の変化に対応し、どんな時代も社会に必要とされながら、自社のビジネスを存続させるには、SDGsのような社会課題を無視できないのは当然です。

例えば、日本における少子高齢化という社会の変化、これによる人手不足という社会課題、これらを敏感にキャッチアップし、それを解決するRPAや人材紹介等といったビジネスにつなげられるかどうか、ということが企業の存続の鍵なのです。

SDGsを大企業のブランディングと捉えるのではなく、社会のどんな課題をどのように解決するかということに事業を通じて向き合い、自社のビジネスを突き詰めるという捉え方の方が本質であり、世の中の変化に、いち早く対応が求められる中小企業こそ注目すべきものです。

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中小企業こそ経営理念が必要、というより必然

前途のように、企業は社会の課題を自社の事業で解決するという大前提があります。それをどんな形で行うかは三者三様ですが、事業を行っている全ての企業には、「こういう人(やモノゴト)の、こんな課題を、こういう風に解決し、世の中の役に立っています」と表せるものがあります。それを、多くの企業は、経営理念やそれに類する形で社内外に示しています。

とすると、経営理念はあったほうが良いというより、標榜のいかんを問わず、事業をしている企業の中に必ず存在している、必然のものではないでしょうか。

また、それをわかりやすく掲げ、従業員やお客様、その他のステークホルダーの納得と共感を得ながら、課題の解決を行うことで存続していく企業経営の在り方は、これもまた必然的といえます。

例えば、「低所得者層にも健康的な食事を」という社会課題に対して、「栄養価が高くて美味しい食事をたくさんの人に提供する」という経営理念を掲げ、そこに従業員の納得と共感を得ながら売上●●万円などの目標へと導き、安価で栄養バランスのとれた食事という自社の商品を提供していく、というものです。

もし、経営理念が抜け落ちたまま、売上拡大や生産性向上などの目標を掲げても、達成に向けて人を動かすことは困難でしょう。

社会課題という背景、それをなぜ自社が解決したいのか、どうなりたいのか、そこに納得と共感が無い場合、たとえ目標が明確であっても、やらされ感・懐疑的・目標に自信を持てない等の理由で、思うように行動してくれないのです。

特に中小企業は、少ない経営資源で効率よく市場競争に勝ち抜くため、いかに従業員の自律的でエネルギッシュな行動を引き出せるかどうかが重要になりますので、経営理念を無視できるはずがありません。

では、経営理念が浸透されていて、行動が伴っていれば、その理念が金儲けでも何でも良いのかと言われると、そういう訳ではありません。

世の中の課題解決という社会的な存在意義も必要です。存在意義のない会社は、一時的に利益を上げることができたとしても、自然淘汰されるからです。

ですが、世の中の中小企業には、経営理念を掲げていなかったり、あったとしても形骸化している企業も珍しくありません。そのような場合、たまたま時代にマッチして事業が上手く行ったとしても、世の中の変化についていけず短命であったり、やはり、従業員が目的に即した動きをしてくれない、というような組織運営の問題が起こります。

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では経営理念をいかに作るか?【タイミング編】

前途のように、中小企業には経営理念を掲げていないことは珍しくありません。それでは、いつ経営理念を作り始めれば良いのでしょうか。

経営理念を掲げるタイミングに正解はありませんが、事業ドメインが明確になり、顧客が存在し、従業員がついている、振り返るとこれまでやってきた歴史がそこにある、企業の成長ライフサイクルの中では、成長期から成熟期、そんな時期が頃合いです。

創業期から作ることが悪いというわけではありませんが、事業も形づかず顧客不在の中で作った場合、深淵な経営理念にならず、お飾りとなってしまうケースも見受けられます。

また、事業ドメインが流動的な時期は、その変化によって経営理念を変更する可能性も十分にあるため、例えそれが必要な変更であったとしても、従業員や顧客等に朝令暮改のような印象を与えることがあります。

経営理念をいかに作るか?【作り方編】

上記の時期において経営理念を初めて掲げる場合は、既に従業員がいるはずです。その場合、経営者の独り相撲にならないように、従業員と役割分担しながら、時間をかけて共に作り上げるというプロセスが重要です。

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とはいえ、土台部分は経営者が作る方が良いでしょう。経営理念は経営者のモチベーションの源泉であり、経営者の自己実現の要でもあり、経営者自身にとって特別な意味を持つものであるからです。

作る際は、いきなり経営理念を考え始めるのではなく、過去を棚卸して自分自身を振り返り、現在はどうか、未来はどうありたいかを考えていきます。この作業を一人で行うことも出来ますが、効率よく棚卸をしたり、より深い気付きを得るために、経営者向けのコーチングを受けながら進めるのがお勧めです。

魂を込める作業というのは、経営者が考えた土台を、どのように表現すれば的確か、どんな言葉を使えば誰にでもわかりやすいものになるか、それらを考え選定していく作業です。

このプロセスのポイントは、経営理念が従業員に浸透しやすくなるだけではなく、経営者の考え・自社の価値や社会的な影響等の理解を深められるところにあります。またそれにより、自分の仕事に意義を感じたり、これまでよりも会社に愛着を持つ等、エンゲージメントが高まるような効果も期待できます。

経営理念をいかに作るか?【内容編】

経営理念の内容に正解はありませんが、経営理念としての機能を有し、納得感が高く共感を生む、そんな経営理念にするために、盛り込むと良い3つの構成要素と、3つの視点を紹介します。

経営理念の3つの構成要素
・自社の社会的な存在意義は何か、社会にどんな影響を与えたいか
・その結果、どうなりたいか
・そのために、どんな価値観を大切にしていきたいか

経理理念の3つの視点
・誰にでもわかりやすいものか
・合理的で納得できるものか
・人の心をつかみ共感されるものか

また、どのような経営理念にしたいかイメージ作りのために、他社の経営理念からインスピレーションを受けることもお勧めです。

人は正しさだけでは動けない生き物。経営理念には合理性+共感を。

明確な目標を掲げることは従業員の行動を促すための大切な要素です。誰もが納得する合理的な内容なのに、なぜか肝心の行動が伴わず絵に描いた餅に…こんな場面はありませんか?

その要因はどこにあるのでしょうか。能力不足?リソース不足?従業員のやる気がないだけ?それらも要因としてあると思いますが、もしかすると原動力となる共感が足りていない可能性があります。

昨今、組織運営においても行動経済学からのアプローチの有用性が定着しつつありますが、そこには、人間の脳は合理性や納得だけ動かない不合理な構造をしているという大前提があります。そんな人を動かすために必要なのは、共感による動機付け、「私がやりたい」と思わせることなのです。

中小企業の多くが経営理念を掲げていないと前述しましたが、逆に、経営理念を浸透させることによって共感が伴えば、今のリソースでも経営目標が達成される可能性を十分に秘めている企業が多くあるということです。

SDGsを始めとする社会課題を解決するという存在意義、それを自社がどのように解決して、どうなりたいかという経営理念、中小企業の経営者こそ、それらを真摯に浸透させ、納得と共感を得ながら、必要な変革を遂げ存続できる会社を目指していきましょう。

(提供:税理士法人M&Tグループ