100年企業を目指し、今後のオフィスビル建築の道標となる新社屋建設 地域企業支援のためDX、GX拠点としても活動を開始 仲本工業-2(沖縄県)

目次

  1. 本社・工場の敷地内に地上4階建ての新社屋「ナカモトキャンパス」が2023年11月に完成 これからのオフィスビルの道標となる建物へ
  2. 新社屋は開放的でデザインされた空間の中で、従業員同士のコミュニケーションを活性化する様々な仕掛けを導入した
  3. 各階のオフィスには大型モニターを設置し、本社と離れた現場や塗装ヤードに設置したWebカメラを通じて安全管理を行う
  4. セキュリティ機能重視の無線ネットワークを完備。スマートフォンを内線電話に ゲスト用の無線ネットワークで取引先が外部アクセス可能に
  5. 新社屋は省エネ効果の高いネットゼロエネルギービル 屋上には144枚の太陽光パネルを設置 駐車場は電気自動車の充電スペースを設置
  6. 取引先企業と共に成長するため、デジタルによる情報武装と働き方改革をテーマにしたイベントを開催 地域の中小企業のDXも推進する
  7. 100年企業となることを見据え、DXとGXを重視して新たな成長戦略を描く
中小企業応援サイト 編集部
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ICTやデジタル機器をはじめとする設備と人材に積極投資することで事業を拡大している沖縄県沖縄市の株式会社仲本工業は、2023年、最新のICT、通信ネットワークと省エネルギー機能を完備した新社屋を完成させた。新社屋は、世界の先進企業に倣って、従業員に新しい価値を与える「コーポレートキャンパス」として運営。自社のみならず地域のDXとGX(グリーントランスフォーメーション)を推進する上での拠点となることが期待されている。(TOP写真:通信ネットワークと省エネルギー機能を完備した仲本工業の新社屋。別名「ナカモトキャンパス」)

仲本工業の「時代の変化を注視し新鋭設備への転換とデジタル投資を決断 沖縄有数の総合建設会社へ 従業員福祉に奨学金返済支援制度も」については、仲本工業-1を参照ください。

本社・工場の敷地内に地上4階建ての新社屋「ナカモトキャンパス」が2023年11月に完成 これからのオフィスビルの道標となる建物へ

100年企業を目指し、今後のオフィスビル建築の道標となる新社屋建設 地域企業支援のためDX、GX拠点としても活動を開始 仲本工業-2(沖縄県)
仲本工業の仲本豊代表取締役社長

約2万3000平方メートルの敷地内に鉄製品を生産する五つの工場群が並ぶ仲本工業の本社・工場。地上4階建ての新社屋は、2023年11月、その敷地の一角に完成した。企業のイメージカラーであるNK BLUEを配色したデザイン性が高い外観を備えた新社屋は、沖縄市美里地区の新たなランドマークになっている。

世界の先進企業が、本社とその敷地を従業員に新しい価値を提供する「コーポレートキャンパス」として運営していることに倣い、新社屋は「ナカモトキャンパス」と名付けた。1966年に創業した仲本工業が、100年企業を目指す上での新たな象徴と位置付けている。「新社屋を通じて、創業から常に未来志向で取り組んできた先進性と時代の変化に迅速に対応する企業力を発信していきたいと考えています」と仲本工業の仲本豊代表取締役社長は説明した。

これからのオフィスビルの道標となるべく、新社屋の企画、設計、施工にあたり、仲本工業は、若手、中堅の従業員を中心に15人のプロジェクトチームを結成してコンセプトをまとめていったという。「多彩なコミュニケーションを通じて新しいアイディアがどんどん生まれるオフィスにすることを目指しました」と総務経理部の外間政哉さんは話した。

新社屋は開放的でデザインされた空間の中で、従業員同士のコミュニケーションを活性化する様々な仕掛けを導入した

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2階からエントラスを見る。仲本工業の特徴である鉄鋼が鮮やかなデザインで使われている

新社屋のエントランスをくぐると、1階から2階にかけて吹き抜けの空間が広がっているのが目に入る。1階のエントランス部分は大きなガラスカーテンウォールで囲われ、都会的で開放的な雰囲気。床面では掃除ロボットが自在に動き回っている。また、オフィシャルスポンサーを務めるFC琉球などのユニフォームが飾られ、応接室にはユニフォームをモチーフにしたクッションが置かれている。

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部門間の連携を考えたミーティングデスクを配置したフリースペース

2階の鉄構部、子会社の仲本ファブテック、3階の建築部、土木部、営業部が入る業務エリアは、それぞれの部署の間仕切りがない開放的なレイアウトになっている。

フリースペースにはカウンターやミーティングデスクを配置し、従業員の「コラボレーションエリア」として活用できるようにしている。各階の執務ゾーンはOAフロアとすることでレイアウトの変更も容易に行えるという。4階には大規模な会議を行うことができる天井に追尾カメラを備えた大ホールや、トレーニングマシンを備えた福利厚生室を設けている。

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トレーニングマシンを備えたリフレッシュルーム

各階のオフィスには大型モニターを設置し、本社と離れた現場や塗装ヤードに設置したWebカメラを通じて安全管理を行う

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オフィスに設置した遠隔で安全管理を行うための大型モニター

セキュリティ機能重視の無線ネットワークを完備。スマートフォンを内線電話に ゲスト用の無線ネットワークで取引先が外部アクセス可能に

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快適なネットワーク環境の改善に努めた総務経理部の外間政哉さん

仲本工業は新社屋建設にあたり、全館内にセキュリティ機能を重視した無線ネットワークを完備した。ゲスト用の無線ネットワークも構築し、協力会社や取引先の関係者が仲本工業を訪問した際、その場で会社と連絡を取りながら商談ができるようにしている。役員や現場職員には自席の固定電話に加えスマートフォンを支給し、総務部門の従業員や既にスマートフォンを利用している職員の席には固定電話は設置しなかったため、スマートフォンを内線代わりにして使用することで、固定電話の数を三分の一に減らすことができた。無線ネットワークの整備と同時に、従業員がそれぞれの自席で使うデスクトップ型のパソコンに加え、タブレット端末の導入も進めた。「無線ネットワークのおかげでこれまで以上に機動的に仕事ができるようになりました。タブレット端末は、自席から持ち出しやすいので会議の時には本当に重宝しています」と総務経理部の外間政哉さんは語った。

新社屋は省エネ効果の高いネットゼロエネルギービル 屋上には144枚の太陽光パネルを設置 駐車場は電気自動車の充電スペースを設置

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これからのビル建築の道標となるネットゼロエネルギービルとして全体の室内環境を管理
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3階エントランス部分では太陽光の発電量をモニターで確認できるようにしています
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ネットゼロエネルギービル(ZEB Ready)の見える化(3階エントランス部分)
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駐車場に設けた電気自動車の充電スペース

新社屋は省エネ効果が高いネットゼロエネルギービルとして建設した。国土交通省による建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)の認証を取得している。すべての照明に環境負荷が少ないLEDを導入。屋上には144枚の太陽光発電パネルを設置して年間電力使用量の約20%をまかない、蓄電池ユニットも配置している。太陽光発電パネルは、沖縄の強い日差しからの遮熱効果を、4階部分にもたらしており、建物の空調負荷低減にも貢献している。駐車場の一角には電気自動車の充電スペースを設け、災害や停電の発生時には、電気自動車から社屋内に電力の供給を行えるようにしている。さらに、災害時の一時避難施設としての受け入れや応援に関する協定を沖縄市と締結したり、事業継続のためのBCP(事業継続計画)の認定取得を行い、地域の防災・減災対策の協力体制を整えている。

また、エントランス前のシーサーの台座やベンチ外構の縁石、駐車場のライン、社屋内の案内板には2019年10月の火災で焼失した首里城の破損石材などを活用し、首里城復興への思いを込めている。

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首里城の破損石材などを活用した社屋内の案内板

「少子高齢化を乗り切るためには、従業員に活躍してもらわなければなりません。働きやすい環境を作るために通信ネットワークをはじめ、新しい時代のDXとGX(Green Transformation)に対応しやすい設備を整えました」と仲本社長はその思いを話した。

取引先企業と共に成長するため、デジタルによる情報武装と働き方改革をテーマにしたイベントを開催 地域の中小企業のDXも推進する

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2024年7月24日に仲本工業の本社で開催されたデジタルによる働き方改革をテーマに したイベント

仲本工業は、県内の建設系中小企業にICTやデジタル機器について「見て、聞いて、触れる」機会を提供することで、地域の建設DXを推進していきたいと考えている。2024年7月24日には、約80社の協力企業を対象に社屋4階講堂で、デジタルによる働き方改革をテーマにしたイベントを企画・開催した。DX化を進めるためのIT導入補助金のセミナーも同時に開催。業界紙が取材に訪れるなどイベントは地域に大きな反響を呼んだ。

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イベントと同時に開かれたIT導入補助金のセミナー

仲本工業はイベントの企画にあたり、ICTやデジタル機器をテーマにした展示会の豊富な開催実績を持つリコージャパン株式会社の沖縄支社の協力を受けた。

会場では、クラウド型原価管理システム、土木積算システム、安全管理業務を効率化するソフトウェア、3Dによる住宅向けプレゼンテーションシステム、レーザー測量機、空間データ作成用のAIソリューションといった建設業向けのデジタル技術を紹介した。販売、勤怠、給与会計などのクラウド型システム、請求書管理のクラウドサービス、ホームページ作成システム、帳票電子保存サービス、AI-OCRシステムといった事務部門向けのデジタル技術も合わせて紹介。参加した企業は、ICTやデジタル機器を扱う事業者から直接、説明を聞いて操作を体験し、導入した際の効果を実感することができたという。

「自社だけでDXを進めても協力企業との連携が進まなければ、導入したICTやデジタル機器は機能を存分に発揮できません。人手不足に悩む協力企業が多い中、新しい技術を積極的に導入してもらうためのきっかけを元請け企業として作りたいと思ったんです」と仲本社長はイベントを企画した背景を説明した。今後は、地域の企業へのICTやデジタル機器の導入をサポートするため、イベントを継続したいという。

100年企業となることを見据え、DXとGXを重視して新たな成長戦略を描く

DXとGXを重視し、設備と人材に積極的な投資を行っている仲本工業。今後、旧社屋のあった場所に新しい工場を建設するなど敷地内の工場群を再編する計画を打ち出している。未来を切り開く姿勢が、地域のDXとGXの推進拠点となる新社屋の発信効果とも相まって、独自のブランドイメージの形成につながっている。100年企業を目指す仲本工業が、沖縄県の建設業界にもたらす挑戦的活動にこれからも注目したい。

企業概要

会社名株式会社仲本工業
本社沖縄県沖縄市美里6丁目5番1号
HPhttps://www.nakamoto-k.co.jp
電話098-938-8086
設立1966年4月
従業員数235人
事業内容   建設工事業、土木工事業、鋼構造物工事業、大工工事業、とび・土工工事業、石工事業、屋根工事業、ほ装工事業、しゅんせつ工事業、塗装工事業、防水工事業、内装仕上工事業、水道施設工事業、管工事業、造園工事業、解体工事業