>第1話『 DXで地方創生に挑んだ3年の日々。戸惑いながら歩んだ1年目の記録』
>第2話(本記事)
>第3話『 DXで地方創生に挑んだ3年の日々。最終年の記録』
デジタルテクノロジーを駆使して地域課題の解決と地方創生にも取り組むCAC。雲仙市との間でデジタル化推進および観光振興に向けた協定を2021年に締結。現地に事業開発本部の中村星斗を派遣。本記事は、中村の雲仙市での3年に渡る取り組みを纏めた記事である。
雲仙に派遣され、2年目が始まった。
前年に纏めたデジタル化推進計画が採択され、「デジタル活用プロジェクト」が立ち上がる。
これにより中村は、政策企画課から行革推進課へと配置転換。
行革推進課は、企業でいう情報システム部門にあたる。
今後は、行革課の一員として、雲仙のデジタル化を具体的に進めていく。
まず、中村が行ったのは、庁内の様々な課へのヒアリング。
各課の業務に詳しいCACメンバーにもオンラインで参加してもらい、
当該部署で困っていることを聞き出していく。
ヒアリングで課題の抽出をしながら、定例のプロジェクト会議も実施。
これには、十数もの課から職員が参加。縦割りと言われる役所にあって、
横断的にプロジェクトは進んでいった。
中村は、プロジェクトの中心となり、全体方針を作成。
各課へと方針を共有し、どんな施策をするべきかを整理していく。
一方、準備を進めていた雲仙観光局は、無事に設立が完了。新たなメンバーも加わる。
その一人に、前年に雲仙市役所に入庁し、雲仙観光局へ出向となった黒原廉さんがいる。
観光局のデジタル環境について、黒原さんはこう当時を振り返る。
「僕が加わった時にはデジタル環境は整備されていて、定例会議はリモートですし、スタッフ同士のコミュニケーションはSlackです」
観光局が運営するキャンプ場や自然公園は市内に何カ所もあり、
様々な場所で働くスタッフがいるため、中村は完全リモートでも業務が止まらない仕組みを作った。
もちろん中村も、市役所の業務をしながらリモートで観光局の会議に参加。
スタッフたちが仕事をしやすいよう、デジタル環境をさらに改善し、整えていった。
そして、黒原さんとは、雲仙の魅力を色んな角度から届けようと様々なプロジェクトにも取り組んだ。多くの企業でワーケーションを実施。東京大学とは産学連携で、関係人口の創出を目指すプロジェクトを行った。
>> 雲仙市が考える“ワーケーション”
>> 雲仙大学東京キャンパス@SHIBUYA QWS
黒原さんは言う。
「年齢は僕の6つ下なんですけど、アイデアの壁打ちをよくしましたね。中村君は、課題をどう解決するかを常に考えてくれて、心強かったです」
黒原さんと共に行ったプロジェクトは、中村にとっても、未知の領域だったオープンイノベーションなど、大いに刺激となった。
小浜温泉街にある「BAR Lion- J」。
黒原さんは、折を見て中村を誘い、お酒を飲みながらあれこれ語り合った。
「僕が異業種の人たちと飲む時に誘うんです。フットワークよく来てくれましたし、途中からは僕よりも友達が多くて、色んなコミュニティに参加してましたよ」
生産者、飲食店経営者、デザイナー…積極的に雲仙の人たちと関わり、言葉を交わした。
交流を深めていく中で、出逢った人がいる。
新鮮な野菜を皮ごと茹でる「まるゆで野菜」を手掛ける、生産者の西田真由美さん。
事業所の一画に、築100年の古民家をリノベーションした『集い処えんがわ』を運営。
古民家を改装した趣のある空間に、子どもからお年寄りまでが集い、自由に会話を楽しんでいる。
中村も『えんがわ』を気に入り、折を見て足を運ぶようになる。
何度か言葉を交わし、親しくなった頃、西田さんは中村にこう呟いた。
「ITの相談窓口があったらいいんだけどね。パソコン救急隊っておらんとかな?」
西田さんは、『えんがわ』を利用するお年寄りや事業者の仲間から、
デジタルに関する悩みをよく聞いていたのだ。
中村のミッションは、雲仙市のデジタル化を推進すること。
それは、雲仙で暮らす人たちのデジタル環境を整えるということだ。
市役所と観光局、2足のわらじで業務に励み、あっという間に2年目が過ぎ去ろうとしている。
「雲仙市のデジタル化推進」という大きなテーマに、どう向き合えばよいのだろう?
どんな風に貢献できるのだろう?いよいよ、雲仙での生活も最終年を迎えることになる。
(第3話へと続く)
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(提供:CAC Innovation Hub)