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岡山県中南部の総社市に本社を構える有限会社守安ハウジングパークは、エクステリアや外構の設計、施工を中心に土木、建築、不動産事業も手掛ける地域密着型の工事会社だ。創業から半世紀を超える歴史の中で、建物の外部空間の困りごとに真摯(しんし)に対応し、地域に住む人々との間で強い信頼関係を構築してきた。きめ細かなアナログでの対応を大事にする一方で、より充実したサービスにつなげるためにエクステリア専用の3D-CADの導入に踏み切るなど、デジタル技術の活用にも積極的に取り組んでいる。(TOP写真:エクステリアや外構の設計に特化した3D-CADシステムを活用する様子)
あらゆる依頼に、真摯かつ迅速に対応 技術開発にも積極的
1971年に創業した守安ハウジングパークの本社は、総社市内の幹線道路沿いにある。事務所棟に隣接した敷地にブロックや砂などを保管する資材置場を設け、工事で使用するショベルカーやフォークリフトを駐車している。事務所棟の商談スペースでは、落ち着いたデザインの木製の応接セットを配置するなど、リラックスした雰囲気で打ち合わせができるように空間を設計している。
技術開発にも積極的だ。古紙を用いたコンクリートのヒビ割れ防止溝の形成体を自社開発した実績を持つ。この型枠素材は、省資源、省力化施工に効果が高く、岡山県倉敷市に拠点を置く公益社団法人山陽技術振興会から2011年に表彰を受けた。
「あらゆる依頼に、真摯かつ迅速に対応することをモットーに、お客様に笑顔と感動を届けることを大事にしています。エクステリアや外構は公共施設や住居の印象を左右する大事な構造物です。品質を保つため責任施工を徹底し、メンテナンスにも末永く対応しています」と守安克治代表取締役は、守安ハウジングパークの経営姿勢について話した。
長年にわたって育んできた地域からの信頼と強固なネットワークが競争力の源
守安社長の妻は、守安ハウジングパーク創業者の次女にあたる。橋梁(きょうりょう)メーカーに勤めていた守安社長は、2003年、結婚を機に守安家と養子縁組をして同社に入社。創業者の薫陶を受けて施工職人や管理者としての経験を積み、2014年に社長に就任した。一級土木施工管理技士、一級エクステリアプランナーの資格を所有している。社長として経営業務をこなす一方、施工職人として現場でも活躍し、忙しい日々を過ごしている。
守安ハウジングパークの競争力の源となっているのが、長年にわたって育んできた地域との強固なネットワークだ。「エクステリアや外構で困りごとがあった時に寄せていただく相談が、そのまま仕事につながるケースが多いですね。困った時に真っ先に頼っていただけることを、何よりうれしく思っています」と守安社長は笑顔で話した。
バラエティに富んだ依頼を少数精鋭でこなす 地域への恩返しとともに被災地ボランティアにも取り組む
倉庫の扉の修繕、自転車置場の拡張、物置の設置、グラウンドでの防球ネットの設置、ブロックフェンスの撤去、ドッグランの設置など、守安ハウジングパークに寄せられる依頼はバラエティに富んでいる。新築住宅のブロック、カーポート、アプローチ、ポストなどの外構部分をまとめて依頼されることも多い。専門分野でない水道の漏水についての相談が寄せられることもある。市役所、学校、公共施設、企業、個人などから寄せられる年間100件以上の工事を、守安社長を含めた3人でこなしている。
「会社が歴史を積み重ねることができるのは、地域の皆様に支えていただいているおかげです。しっかりと地域に恩返しをしていきたい」と守安社長。地域の消防活動や防災活動で大きな役割を担う消防団の班長を務めている。また、被災地に対する建設分野のボランティア活動にも取り組む。2024年1月に地震で大きな被害を受けた石川県・能登半島の被災地にも複数回赴き、ボランティアが滞在する仮設の宿泊設備の建設に携わった。
3D-CADシステムを導入してCGパースを作成 デジタル技術を活用して依頼主への提案力を強化
会社員時代も含め30年以上建設の世界に携わってきた実績を持つ守安社長は、施工対象となる現場を自ら測定した上で、CADを使って図面を作成している。依頼主の予算に合わせて、できる限り要望を反映した提案をするよう心掛けているという。
守安社長はデジタル技術を活用して依頼主への提案力を強化していきたいと考えている。現在、エクステリアや外構の設計に特化した3D-CADシステムを導入し、本格的な活用に向けて準備を進めている。
導入した3D-CADシステムは門扉、フェンス、カーポートなどのエクステリア商品や組積・舗装・仕上げ材などのデータを3万点以上搭載しており、リアルなCGパースを短時間で作成することができる。CGパースに連動した図面の変更や修正も時間をかけずに行うことが可能だ。CGパースは、エクステリアや外構のイメージを依頼主にわかりやすく伝えることに活用していきたいという。
これまで依頼主からCGパースの作成を要請された際は外部に委託するしかなかったが、3D-CADシステムを自在に活用できるようになれば、自社で作成できるので細かい要望にも機動的に対応できる。「プレゼンテーションの準備も効率化できるので、これから先の活用を楽しみにしています」と守安社長。サービス向上を通じてこれまで以上に顧客満足度を高めていきたいという。
会社のデータを保存するために容量無制限のクラウドストレージを活用
守安ハウジングパークは、2019年から、顧客情報とこれまで手掛けてきた工事の図面、現場写真をはじめとする様々な資料を保存するために容量(※ですよね?容量です)無制限のクラウドストレージを活用している。
「クラウドストレージを導入する前はパソコン本体やDVDなどの記録媒体に資料を保存していたのですが、保存しなければならないデータは増えることはあっても減ることはありません。パソコンの調子が悪くなった時や破損した時に備えて、問題が起こらないうちに情報のバックアップ体制の強化に踏み切りました。オンプレミスのサーバーと比較すると初期費用や管理費用を抑えることができたのもありがたかったですね」と守安社長は話した。
クラウドストレージを活用すれば、社外にいる時でもスマートフォンなどの端末からインターネット回線を通じて会社の様々なデータにアクセスできる。現場は総社市内が多いこともあって、工事の資料を確認しなければならない時は本社に戻るようにしているが、クラウドストレージを活用して更に時間を有効活用することも考えていきたいという。
セキュリティ機能を強化するため、UTM機器を活用 情報保護で余計な心配をせずに本業に集中できる
クラウドストレージの導入に伴ってセキュリティ機能も強化した。様々な情報セキュリティ機能を備えたUTM(統合脅威管理)機器を活用している。UTM機器は、アンチウイルスをはじめ、第三者からの不正侵入を防ぐファイアウォール、不正侵入を検知して除去するIDS/IPS、危険性があるサイトへのアクセスを遮断するWebフィルタリングなどの機能を備えている。
「多層防御の機能は常に更新されるので安心して活用することができます。UTM機器のおかげで、情報保護で余計な心配をせずに本業に集中できるのはありがたいですね」と守安社長は話した。
地域に根差した事業の継続性を大事にしていく
「お客様のためになるデジタル技術があれば積極的に導入していきたい」と前向きな姿勢を示す守安社長。次々に寄せられる依頼に迅速に対応するために、新しい人材の採用も検討していきたいという。いたずらに規模を追うのではなく、地域に根差した事業の継続性を大事にしている守安ハウジングパーク。明るく堅実な経営姿勢でこれからも地域を支え続ける。
企業概要
会社名 | 有限会社守安ハウジングパーク |
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本社 | 岡山県総社市井手964 |
電話 | 0866-93-1030 |
設立 | 1978年1月(創業1971年) |
従業員数 | 2人 |
事業内容 | エクステリア、建築、土木、不動産業 |