リコージャパンと連携して取引先企業のDX、GXを推進 地元密着の金融機関が目指す新しい地方創生モデル 共同で展示会開催 多くの相談を受ける 観音寺信用金庫(香川県)

目次

  1. 100年を超える歴史を持つ地域密着型の金融機関 全国でも屈指の財務体質を誇る
  2. 困った時に真っ先に相談してもらえる信用金庫であり続けたい
  3. DX、GX、SDGsへの対応を中小企業が成長する上での最重要テーマと位置付け、機構改革を実施
  4. 対応力を強化するため様々な企業、団体、自治体と積極的に連携
  5. 2024年2月には、リコージャパン香川支社と基本契約を締結 DX、GXの具体的なアドバイスの提供を図る
  6. DXとGXの推進をテーマにしたICT、デジタル機器の展示会を企画して幅広い情報や具体的なノウハウを取引先企業に提供
  7. 参加者はICTやSDGsの専門家やアドバイザーからていねいな説明を受け、導入のプロセスや活用方法を熱心に質問
  8. 地域へのDX、GXの浸透はこれからが勝負 ICTやデジタル機器の導入と活用が円滑に進むようしっかりとサポート
  9. 中小企業の成長にデジタル分野の設備投資は必要不可欠
  10. 2024年4月にホームページをリニューアルして積極的に情報発信
  11. 金融の枠を超えた地域活性化の取り組みにも尽力 2019年、まちおこし団体「どっかーん!!と観音寺を盛り上げ隊」を立ち上げる
  12. 地域の食材を使った創作料理「天空の七宝シリーズ」を生み出し、地域の食の魅力を発信
  13. 若い世代の移住促進に取り組む観音寺市や三豊市と連携 デジタル技術を活用することでより暮らしやすく魅力的な地域に
中小企業応援サイト 編集部
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香川県西南部の西讃地域を事業領域とする協同組織金融機関、観音寺信用金庫が、中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)、GX(グリーントランスフォーメーション)支援に実績を持つリコージャパン株式会社と基本契約を締結し、取引先のDX、GX推進に力を入れている。DXとGXをこれから企業が生き残っていく上で欠かせない重要テーマと位置付け、ICTやデジタル機器を導入するきっかけとなる展示会やセミナーを共同で企画。地元自治体との連携も進め、地域のデジタル化の先導役として様々な取り組みを進めている。(TOP写真:展示会場で参加者からの質問に対応する光景)

100年を超える歴史を持つ地域密着型の金融機関 全国でも屈指の財務体質を誇る

リコージャパンと連携して取引先企業のDX、GXを推進 地元密着の金融機関が目指す新しい地方創生モデル 共同で展示会開催 多くの相談を受ける 観音寺信用金庫(香川県)
観音寺信用金庫本店

香川県観音寺市に本店を構え、同市、三豊市を中心に17の営業店を持つ観音寺信用金庫は、100年を超える歴史を持つ地域密着型の金融機関だ。金利を競い合う従来型のビジネスモデルから脱却した課題解決型金融の実践を掲げる。2024年3月末の預金残高は3737億円、貸出金は1751億円、自己資本比率は国内基準の約5倍に相当する21.08%であり創業以来、赤字なしの堅実経営を貫き、全国でも屈指の財務体質を誇っている。特に、顧客先数主義に徹する訪問営業体制は強力で、顧客先との深い関係性のもと2024年8月末時点での両市域における金融機関シェアは預金38.81%、貸出金34.72%となっており、有力地銀を抑えて域内トップを走っている。

困った時に真っ先に相談してもらえる信用金庫であり続けたい

リコージャパンと連携して取引先企業のDX、GXを推進 地元密着の金融機関が目指す新しい地方創生モデル 共同で展示会開催 多くの相談を受ける 観音寺信用金庫(香川県)
観音寺信用金庫の須田雅夫理事長

「地域の中小企業に本当に必要な支援策を現場目線で実行し、困ったことがあれば真っ先に相談していただける信用金庫であり続けたいと思っています。歴代理事長をはじめ、役職員が築いてきた健全な財務基盤をしっかりと守り、前向きに取り組むことで地元に密着した信用金庫にしかできない役割を果たしていきたい」。観音寺信用金庫本店で取材に応じた須田雅夫理事長は、このように地域に対する思いを語った。

須田理事長は2015年6月に第7代理事長として就任した。1973年に同金庫に入行して以来、支店長、本店営業部長、専務理事を歴任し、地域経済の活性化に尽力してきた。これまでの取り組みは各界から高い評価を受け、2020年秋に黄綬褒章を受章した。

須田理事長は行動力と実行力を大事にしている。理事長就任以来、地域金融の円滑化、人材力の強化、内部体制の強化に邁進してきた。「経済構造の変化や既存事業の業態変化をもたらしたコロナ禍によって、取引先の中小企業が事業の再構築に迫られている現状を日々の営業活動の中で痛いほど目にしてきました。地域経済の中で、金融機関の役割はこれまで以上に重くなっていることを実感しています」と須田理事長。

DX、GX、SDGsへの対応を中小企業が成長する上での最重要テーマと位置付け、機構改革を実施

ポストコロナの時代、観音寺信用金庫が、中小企業が成長する上での最重要テーマと位置付けているのが、DX、GX、国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)への対応だ。これらのテーマに対する企業の支援体制を構築するため、2021年から着々と準備を進めてきたという。

その集大成として2024年2月にDX、GX、SDGsの関連業務を担う経営支援課を経営支援部に昇格させ、部内にSDGs支援室、デジタル支援室、脱炭素支援室、創業・承継M & A支援室、海外展開支援室を設けた。各室の専門性を高めるために職員の資格取得を奨励し、デジタル支援室には経済産業省推進のITコーディネータ認定者、脱炭素支援室には環境省の脱炭素アドバイザー認定者を配置して相談業務に対応している。

対応力を強化するため様々な企業、団体、自治体と積極的に連携

DX、GX、SDGsへの対応力を強化するため、観音寺信用金庫は、様々な企業、団体、自治体との連携に積極的に取り組んでいる。「お客様の多様なニーズにいかに応えていくかを重視しています。様々な提携先を持つことで対応力を高めることにつなげています」と須田理事長。

2024年2月には、リコージャパン香川支社と基本契約を締結 DX、GXの具体的なアドバイスの提供を図る

リコージャパンと連携して取引先企業のDX、GXを推進 地元密着の金融機関が目指す新しい地方創生モデル 共同で展示会開催 多くの相談を受ける 観音寺信用金庫(香川県)
2024年2月に行われた観音寺信用金庫とリコージャパン香川支社とのDXとGXに関連するビジネスマッチングサービスの基本契約締結式

2024年2月には、リコージャパン香川支社とDXとGXに関連するビジネスマッチングサービスの基本契約を締結した。複合機をはじめとするデジタル機器を製造する大企業で、中小企業のDX、GX支援に豊富な実績を持つリコーグループとの連携を通じて、取引先企業に実効性が高いDX、GXのアドバイスを提供していきたいという。観音寺信用金庫が中心となって地域全体でDX、GXを推進する基盤を構築することも視野に入れている。

「ICTやデジタル機器を活用して業務の効率化を進めることで、中小企業は、限られた人的リソースをより利益につながる業務に向けることができるようになります。経営改善に役立つだけでなく、将来を見据えたビジネスモデルを構築する上でもICTやデジタル機器は大きな役割を果たしてくれるでしょう。リコージャパン香川支社にサポートいただくことで、このような好循環を生み出していきたい」と須田理事長は話した。

DXとGXの推進をテーマにしたICT、デジタル機器の展示会を企画して幅広い情報や具体的なノウハウを取引先企業に提供

リコージャパンと連携して取引先企業のDX、GXを推進 地元密着の金融機関が目指す新しい地方創生モデル 共同で展示会開催 多くの相談を受ける 観音寺信用金庫(香川県)
2024年8月7日に開催した「Value Presentation in観音寺信用金庫」の会場の様子

基本契約締結による連携の成果は着々と生まれている。その一つがDXとGXの推進をテーマにしたICT、デジタル機器の展示会だ。会場では最先端の機器の展示やデジタルサービスの実演を行うだけでなく、各事業者が参加者にマンツーマンで対応して使い方を体験してもらっている。DXについてわかりやすく解説するセミナーや公的なIT導入補助金の活用についてのセミナーも同時開催している。展示会の参加者は、DXやGXについて「見て、聞いて、触れる」ことでの幅広い情報や具体的なノウハウを手に入れることができる。

香川県観音寺市と三豊市の後援を受けて、2024年8月7日に観音寺信用金庫本店6階ホールで開催した2回目の展示会「Value Presentation in観音寺信用金庫」では当初の見込みを上回る約70社の経営者らが参加し、会場は終日、活気に沸いた。

参加者はICTやSDGsの専門家やアドバイザーからていねいな説明を受け、導入のプロセスや活用方法を熱心に質問

リコージャパンと連携して取引先企業のDX、GXを推進 地元密着の金融機関が目指す新しい地方創生モデル 共同で展示会開催 多くの相談を受ける 観音寺信用金庫(香川県)
会場では建設、製造、福祉、環境の分野ごとに個別のブースが設けられ、様々なICTやデジタル機器が展示された

展示会では、生成AIを実装した業務支援システムや接客型のMA(マーケティングオートメーション)システム、在庫管理システム、建設業向けの自動積算システムや原価管理システム、AI連動のOCR(光学文字認識)を活用した帳票の電子化システム、次世代型の太陽電池を備えた環境センサー、節電システム、介護支援システム、電子黒板といった様々なICT、デジタル機器が紹介された。

会場では建設、製造、福祉、環境の分野ごとに個別のブースが設けられ、参加者は各ブースで事業者からICT、デジタル機器の詳しい説明を受け、実演を見ながら導入のプロセスや活用方法を熱心に質問していた。

また、この日の展示会では、プログラミングの知識や技術がなくても日報や顧客管理といった様々な業務ソフトを作成できるクラウド型の業務支援システムの体験セミナーも開催。参加者は実際にパソコンで業務支援システムを操作しながらソフト作成のノウハウを学んだ。

リコージャパンと連携して取引先企業のDX、GXを推進 地元密着の金融機関が目指す新しい地方創生モデル 共同で展示会開催 多くの相談を受ける 観音寺信用金庫(香川県)
業務ソフトの作成を体験するクラウド型の業務支援システムのセミナー

地域へのDX、GXの浸透はこれからが勝負 ICTやデジタル機器の導入と活用が円滑に進むようしっかりとサポート

2回の展示会の開催を通じて、デジタル分野の設備投資に関心を示す企業は着実に増加している。観音寺信用金庫は今後、リコージャパン香川支社と連携して個別の相談体制の充実を図り、設備投資への負担が重い規模の小さな企業でもICT、デジタル機器を導入しやすい仕組みを作っていきたいという。「地域のDX、GXへの関心の高まりに大きな手応えを感じていますが、実際に地域に浸透させていく取り組みはこれからが勝負と思っています。会社を成長させたいという取引先企業の強い気持ちに応えていきたい」と須田理事長は気を引き締めた。

「展示会は、観音寺信用金庫の取引先の皆様にDXやGXに関心を持つきっかけにしていただくことを念頭に構成を考えました。リコージャパンだからこそできる様々なサービスの提供を通じて、西讃地域をDX、GXの先進地にするためのお手伝いをしていきたい。企業の皆様のICTやデジタル機器の導入と活用が円滑に進むようにしっかりとサポートさせていただきます」とリコージャパン香川支社の藤原晋治支社長は話した。

中小企業の成長にデジタル分野の設備投資は必要不可欠

「変化の激しい厳しい時代ですが、デジタル技術の進化のおかげで、中小企業は新しい取り組みに挑戦しやすくなりました。これから先、昔からの仕事の進め方やビジネスモデルに固執したままでは、競争相手との差はどんどん広がっていくでしょう。売上や利益を増やし、若い人材の採用を進めていく上でデジタル分野の設備投資は必要不可欠です。DX、GXに前向きに取り組むことで、中小企業は活路を切り開いていかなければなりません」と須田理事長は力を込めて話した。

2024年4月にホームページをリニューアルして積極的に情報発信

リコージャパンと連携して取引先企業のDX、GXを推進 地元密着の金融機関が目指す新しい地方創生モデル 共同で展示会開催 多くの相談を受ける 観音寺信用金庫(香川県)
観音寺信用金庫のホームページのリクルート専用ページ

観音寺信用金庫は、2024年4月にホームページをリニューアルするなどデジタルを活用した情報発信に力を入れている。個人や法人向けの金融サービスや観音寺信用金庫が関わるイベントなどのニュースを積極的に掲載し、若者を対象にリクルートのための専用ページを設けて仕事の魅力を伝えている。議事録をはじめとする業務用文書の作成を効率化するために生成AIの活用も検討中だ。インターネットに接続して活用するクラウドAIと比較して情報セキュリティ機能が高い端末組み込み型のエッジAIに着目し、現在、情報を収集しているという。

金融の枠を超えた地域活性化の取り組みにも尽力 2019年、まちおこし団体「どっかーん!!と観音寺を盛り上げ隊」を立ち上げる

リコージャパンと連携して取引先企業のDX、GXを推進 地元密着の金融機関が目指す新しい地方創生モデル 共同で展示会開催 多くの相談を受ける 観音寺信用金庫(香川県)
毎年開催の「おいしいかんおんじ物産展」会場の様子(観音寺市民会館:ハイスタッフホールにて)2024年度は第7回を11月24日(日)に開催予定。

観音寺信用金庫は金融の枠を超えた地域活性化の取り組みにも力を入れている。設立100周年を前にした2019年には、観音寺信用金庫が旗振り役となって地域の企業に呼び掛け、まちおこし団体「どっかーん!!と観音寺を盛り上げ隊(どっかんおんじ)」を立ち上げた。グルメ情報の発信や毎年恒例の物産展をはじめとするイベントの開催を通じて地域ブランドの創造と育成に取り組んでいる。活動は年々活発になり、会員数は設立時から2倍以上の60社・団体を数える。

地域の食材を使った創作料理「天空の七宝シリーズ」を生み出し、地域の食の魅力を発信

リコージャパンと連携して取引先企業のDX、GXを推進 地元密着の金融機関が目指す新しい地方創生モデル 共同で展示会開催 多くの相談を受ける 観音寺信用金庫(香川県)
伊吹いりこ、讃岐白みそ、ロメインレタスなど7つの観音寺産お宝食材を使って創作する天空の七宝鍋

活動から生まれた名物が、弘法大師伝説の残る七宝山にちなんで観音寺市の7種類の食材を使って創作した「天空の七宝シリーズ」だ。その一環として、「天空の七宝鍋」「天空の七宝うどん」が創作された。「ブランド料理を生み出すことで、地域の食材の魅力を多くの人に発信することができるようになりました」と須田理事長。この取り組みがきっかけとなって、地域の飲食店や食品製造会社が、餃子、うどんカップ麺、ラーメン、そうめん、チーズサンド、スープの素など様々なオリジナル商品を開発することにつながったという。一連の取り組みは幅広い注目を集め、「どっかんおんじ」は2022年、全国の地方新聞などが主催する地域再生大賞の第12回優秀賞を受賞した。

若い世代の移住促進に取り組む観音寺市や三豊市と連携 デジタル技術を活用することでより暮らしやすく魅力的な地域に

リコージャパンと連携して取引先企業のDX、GXを推進 地元密着の金融機関が目指す新しい地方創生モデル 共同で展示会開催 多くの相談を受ける 観音寺信用金庫(香川県)
観音寺信用金庫のイメージキャラクターの「観信ちゃん」と「みらいちゃん」

須田理事長は、若い世代の移住促進に取り組む観音寺市や三豊市と連携して、西讃地域の定住人口を増やすことに貢献していきたいと考えている。「瀬戸内海に面し、自然に恵まれた西讃地域は暮らしやすく子育てに適した環境を備えています。デジタル技術を活用してより暮らしやすい環境を作ることで、多くの人に選んでいただける地域にしていきたい。簡単ではありませんが、少子化の進行に歯止めをかけるモデルの一つを作っていくことができればと考えています」と須田理事長は話した。

地域に密着した金融機関、観音寺信用金庫とDX、GXの知見を備えた企業、リコージャパンが連携することでスタートした新たな地域創生への挑戦。地域ぐるみでDX、GXを浸透させる取り組みに引き続き注目したい。

企業概要

会社名観音寺信用金庫
本社観音寺市観音寺町甲3377番地の3
HPhttp://www.kanshin.co.jp
電話0875-25-2181
設立1920年3月
従業員数161人
事業内容  預金業務、融資業務、為替業務、その他付随業務、政府系金融機関の代理業務、国債の窓口販売、証券投資信託の窓口販売、生命保険及び損害保険の窓口販売等