矢野経済研究所
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2018年度の床材(9分野)市場規模は前年度比1.4%減の4,065億円

~横ばい傾向が続く床材市場、市場拡大に向けて新たな用途開拓や提案が急務へ~

株式会社 矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内の床材市場を調査し、市場規模、分野別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

床材(9分野)市場規模推移・予測

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1.市場概況

2018年度の国内床材(複合フローリング、カーペット、建材畳、塩ビ系床材、フリーアクセスフロア、乾式遮音二重床、床タイル、塗り床材、住宅用床暖房システムの9分野合計)市場規模を前年度比1.4%減の4,064億80百万円と推計する。近年、床材市場は4,000億円規模でほぼ横ばいで推移しているが、2017年度は微増したものの2018年度は減少に転じている。

分野別に市場をみると、戸建住宅やマンションなど住宅向けを主な用途とする複合フローリング、カーペット、建材畳、塩ビ系床材、床タイル、住宅用床暖房システムの6分野では、新築住宅着工戸数の長期的な減少傾向を背景に市場は横ばいから減少傾向が続いている。オフィスビルや工場、商業施設、医療施設など非住宅向けを主な用途とするフリーアクセスフロア、塗り床材は、都市部の再開発案件や工場向けなどは堅調であるが、新たな用途開拓が進んでおらず、年度毎で増減を繰り返しながら横ばいで推移している。一方、乾式遮音二重床はこれまでマンション向けを主要な用途としてきたが、近年はフリーアクセスフロア代替など非住宅向けの用途開拓に成功していることで市場拡大を続けている。

2.注目トピック

床材の販売戦略は“モノ”の販売から“空間”の提案へシフト

各種床材メーカーでは、床材の提案に関して “モノ” の提案から “空間” の提案へのシフトを進めている。
複合フローリングでは、大手メーカーは木質建材の総合メーカーであるケースが多く、床材のみならず建具・収納、キッチン、サニタリーも含めたデザイン統一など空間のトータルコーディネート志向を強めている。床タイルでは、タイルは床以外にも内装壁・外装壁、玄関回りなど幅広く使われる建材であることから、各タイルメーカーでは住宅一戸における総合的なタイル活用の提案が進められている。また、タイルの使用部位だけでなく、住宅・非住宅用途に捉われない多角的な展開が図られている。

3.将来展望

2019年度の国内床材市場規模は、前年度比1.6%減の4,001億50百万円の見込みである。
フリーアクセスフロアや塗り床材、乾式遮音二重床は都市部再開発や工場向け需要などから微増するものの、住宅向けを主とする床材などは今後も減少が見込まれ、床材市場全体では減少の見通しである。