矢野経済研究所
(画像=PIXTA)

機能性のある化粧品が好調に推移したことや通販品流通が好調に推移したことにより市場は拡大

~2018年度の敏感肌化粧品市場は前年度比108.7%の778億円~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内敏感肌化粧品市場を調査し、市場の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

敏感肌化粧品市場規模推移・予測

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1.市場概況

アトピーやアレルギー、季節の変わり目、ストレス等を要因とした敏感肌に悩む人は増えており、敏感肌化粧品は不可欠な商品となってきている。2018年度の国内敏感肌市場はブランドメーカー出荷金額ベースで、前年度比108.7%の778億円となった。
これまで地肌に負担の少ないスキンケア製品を中心としてきた敏感肌化粧品であるが、エイジングケアや美白ケアといった機能性を付加した商品の発売が続き、売上が拡大している。また、敏感肌を自覚する女性が増えていると言われる中で、通販を主力とするブランドによる通販品流通チャネルでの販売も増加基調にあり、敏感肌化粧品市場は順調に推移している。

2.注目トピック

商品/コンセプトの細分化

敏感肌化粧品は、従来、洗顔料やクレンジング、化粧水、美容液などシンプルな商品構成での展開が中心であった。第一三共ヘルスケアの「ミノン」から発売したシートマスクや、資生堂の「dプログラム」のスキンケア×ベースメイクアイテム、ピエール ファーブル ジャポンのオールインワンジェル「アベンヌ ミルキージェル」など、従来の敏感肌化粧品ではあまり見られ無かったコンセプト・機能を持つアイテムで新規顧客を獲得しており、商品の細分化が進んでいる。
また、コーセー「カルテ クリニティ」が一時的に敏感になる肌に向けてアプローチした導入液や美容液を、DECENCIAの「ディセンシア」が睡眠不足による肌荒れに着目した商品を、日本ロレアルの「ラ ロッシュ ポゼ」が紫外線や大気中微粒子から肌を守ることを謳った商品を発売しており、今後はさまざまな内的・外的ストレスに個別に対応した新しいコンセプトの商品が登場する見込みである。

3.将来展望

2019年度の敏感肌化粧品市場はブランドメーカー出荷金額ベースで、前年度比104.9%の816億円になると予測する。
敏感肌などに悩む人にとって不可欠な製品となっているだけでなく、敏感肌になる要因に対して個別に対応した新コンセプト商品の上市が続き、市場は堅調に推移する見通しである。また、ドラッグストアや百貨店などで取扱のあるブランドに関しては、インバウンド(訪日外国人客)需要の取り込みも継続して拡大していく見込みである。