
法人が法人税の申告を行う際に、作成するのが申告書である。法人税の申告書は構造が複雑で、作成に手間がかかる。ここでその法人税申告書の書き方の流れを説明して、作成の手助けになればと考えている。
目次

法人税申告書の入手方法
法人税の申告に際しては申告書を入手する必要がある。では、どうやって入手するのか。
通常、法人税の申告書は税務署に備え置いており、税務署に直接請求するなどすることによって入手できる。ただし、将来税務署から紙の様式の配布が終了するため注意が必要だ。
また、インターネット上でも様式を取得することが可能だ。これは国税庁のサイトに法人税申告書の様式が一通り揃っていていつでもダウンロードすることができる。
いずれにしても決算期ごとに様式が変わるため誤った様式を使わないようにすることが肝心だ。
一番おススメなのが、税金の申告書作成ソフトを利用することだ。申告書作成ソフトには法人税の申告様式が入っており、使うことによって申告書を自動的に作成することが可能だ。
法人税申告書の書き方の流れ
法人税申告書の作成方法は、およそ以下の流れで作成することとなる。
STEP1.まずは別表6以降の表を完成させる
まず、減価償却費、交際費など個々の事項に関する計算書である別表6以降の文書を作成し、会計上の損益と税務上の損益との金額との差に関する情報や税務上の特例に関する情報についてまとめる。
STEP2.別表4に集約する
STEP1で作成した別表6以降の表について、主に会計上の損益と税務上の損益の差についてまとめる。別表4は、会計上の損益と税務上の損益について調整を行った内容について書くものである。
STEP3.別表7に記載する
過去や現在の損失の処理を行うため、別表7の記載を行う。具体的には、まず、過去に損失が発生していて、それと当期に出た利益と相殺する場合に記載を行う。また、当期以前に損失が発生しており、青色申告の適用を受けているか、それが災害損失である場合は、それを翌期に繰り越して将来の利益との相殺を行うために記載する。
なお、別表7で過去の欠損金と当期の利益とを相殺した場合は別表4上で調整する。
STEP4.別表5(1)に記載する
別表5(1)は、別表4に記載された会計と税務の内容の違いとして調整されたもののうち、将来解消されるものについて記載するものである。
STEP5.別表1に記載して法人税額などを確定する
別表4で最終的に確定した所得の金額を別表1に記載し、税額控除を考慮した上で法人税等の金額を計算して最終的に納付すべき金額を決定する。
STEP6.地方税の申告書もこれを元にして作成する
法人税の金額を算出したら、地方税(法人住民税、事業税など)についても計算により税額を確定し、申告書を作成する。
STEP7.別表5(1)、5(2)に税額を記載する
別表5(1)、別表5(2)に税金を記載する欄があるのでそこに税額を記載する。
STEP8.これとは別に別表2を作成する
株式会社の株主の構成や合同会社などの持分会社の社員の内訳を記載して、会社がいわゆる身内のみからなっているかどうかについて判断するものが別表2である。申告時には必ず作成するが、ここでの記述がどこかで役立つ場面はここ最近ではほとんどない。銀行などが株主の構成を判断する際に利用する程度である。
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別表6(1)の書き方
ここからは具体的にどのような申告書を作成するのか、一般的に多く用いられている申告書をいくつか挙げ、記載方法を説明する。
預金利息や株式の配当、信用金庫などの出資金に対する配当金などにより源泉所得税が控除された場合に作成する法人税申告書の様式が、この別表6(1)である。源泉所得税が控除されたとき、それは支払う法人税と相殺することができるため、相殺すべき金額を算定するためにこの表を作成する。なお、源泉所得税は費用とすることができるが、この場合別表6(1)は作成する必要はない。
具体的な書き方(預金利息)

まず、ここでは別表6(1)のうち預金利息が発生する場合の書き方について示す。預金利息は一番上の欄で、区分が「公社債及び預貯金の利息…」となっているところに記載する。まず、①の欄には期中に発生した預金利息の源泉所得税の控除がある前の金額について記す。
次に、②の欄にはそれに対して控除された源泉所得税の金額について記載する。最後に、③の欄にはこの内、控除の対象となる金額を書くが、預金利息にたいする源泉所得税は全額控除の対象となるため②に書いた金額をそのまま書く。
具体的な書き方(株式の配当金、出資の配当金)

株式の配当金や(信用金庫などの)出資の配当金についての書き方を示す。株式の配当金等に関するものは上から2番目の区分が「剰余金の配当、利益の配当、…」となっている欄について記載する。まず、①には源泉所得税控除前の株式の配当金を書く。
次に、②の欄には控除された源泉所得税の金額を、最後に③の欄には控除の対象となる所得税額を記載する。これは株式の配当金については配当期間中保有していた期間に応じて控除の対象となる金額が異なるためである。
実際には、上の図の下方に位置するこの表を用いて計算する。

株式の配当金等の源泉所得税は、必ずしも全額法人税から控除できるとは限らない。対象となる株式などを配当の基準日間際に購入して、権利を得られたらすぐに売ることによって税額の免除を狙うことを防ぐ(後述するが配当金の一部も税務上の利益にはならない)ため、配当の対象となる期間(配当計算期間)の全体に渡って所有していない株式の配当金等の源泉所得税の一部は法人税から控除できないこととなっている。
配当計算期間全体に渡って所有している場合は問題ないが、そうでない場合はどうなるか。方法は2つあり、個別法と銘柄別簡便法がある。どちらを選ぶかは任意である。例を挙げて説明する。
例:配当計算期間が前年4月から3月までの株式を、全く持ったことがない状態で、2月に1,000株買い、その後1,000円の配当を受け、204円の所得税の源泉を受けたとする。
(1)個別法の場合
まず、銘柄の欄にその株式の銘柄を、収入金額の欄(7。項目名の下に書かれている数字。以下同じ)に源泉所得税を引く前の配当金の金額を書く。ここでは1,000円 ついで、所得税額(8)に源泉徴収された金額を書く。ここでは204円となる。
配当などの計算期間(9)には配当計算期間を記載する。ここでは4月から3月なので12月。
9のうち元本所有期間(10)には配当計算期間のうち株式を持っていた期間を書く。ここでは2月から3月なので2月。
所有期間割合(11)には10で記載した元本所有期間を9で記載した配当計算期間を割った結果を書く。ここでは2÷12=0.1666→0.167(小数点3位未満四捨五入)。
最後に控除を受ける所得税額(12)には源泉税額(8)を所有期間割合(11)で掛けた金額を記載する。ここでは204×0.167=34となり、これが法人税から控除できる源泉徴収税額となる。
(2) 銘柄別簡便法の場合
まず、個別法と同樣に銘柄の欄にその株式の銘柄を、収入金額の欄(13)に源泉所得税を引く前の配当金の金額を書く。ここでは1,000円と記載する。また、所得税額(14)に源泉徴収された金額を書く。ここでは204円となる。
ついで、配当などの計算期間期末の所有元本数(15)には、配当計算期間の期末時点での株式数を書く。ここでは3月時点での株式数である1,000株と記載する。
配当などの計算期間期首の所有元本数(16)には配当計算期間の期首時点での株式数を書く。ここでは昨年4月時点での株式数である0株と記載する。
その横の17と書かれた数字の上に数式が書いている欄には、15で記載した期末の株式数から16で記載した期首の株式数を引いた数を2(配当計算期間が1年以下)か12(1年超)で割った結果を記載する。ここでは(1,000-0)÷2=500となる。
そのまた横の所有元本割合(18)には、上の式の結果と計算期間期首時点での株式数の合計を足したものを計算期間期末時点での株式数で割る。なお、1を超えたときは1となる。ここでは(500+0)÷1,000=0.500となる。
最後に控除を受ける所得税額(19)には14で記した源泉所得税額を先程計算した所有元本割合に掛けて求める。ここでは204×0.500=102。となり、102円が法人税と相殺できる源泉税額となる。
別表8の書き方
企業の中には、株式や信用金庫などの出資金を持っていて、毎年配当を受けているケースもある。配当を受けた場合は、別表8の指定項目に記載することで、配当金の一部を益金(税金を計算する上での利益)に算入させないことができる。
配当はいくつかの種類に分けられるが、ほとんどの場合、持っている株式や出資金は持分割合が5%未満のものと低い非支配目的の株式である。そのため、ここではそれしか保有していない条件のもとで記載する。
まず、別表8付表1に下記の部分があるので、法人名、基準日など配当があった会社などの情報を記載し、「受取配当等の額:31」に実際に受け取った源泉徴収前の配当金を書く。

何らかの事情で益金に必ず算入される金額がある場合は、「同上のうち益金の額に参入される金額:32」に記載して控除し、残りを「益金不算入の対象となる金額:33」を求める。

これらを合計した金額を、別表8の「非支配目的株式等に係る受取配当等の額:12」に記載し、その20%の金額を「受取配当等の益金不算入額:13」に記載する。
別表15の書き方
事業を円滑に行うために取引先や得意先と食事に行ったり、お中元やお歳暮を贈ったりした費用を交際費として処理する。別表15は交際費の金額を記載するものである。
別表15は交際費について記載する
交際費は無限に認められるわけではなく、ルールが定められている。交際費は企業の規模によるが
・全額(大企業の場合)または年間800万円(中小企業の場合)を超える部分について税務上の費用として認められない
・ただし、外部との接待については半額が認められる場合がある
とする規定がある。
そこで、この法人税申告書の一部である別表15では交際費について
・該当するものはいくら計上されたか
・そのうち税務上の費用として計上できるものはどれだけあるか
について記載するものである。
具体的な書き方
まず、科目ごとに集計を取る。

勘定科目ごとに、
・いくら支出されるのか(6に記載する)
・税務上の交際費とならないものはいくらか(7に記載する)
・税務上の交際費となるのはいくらか(8に記載する)
・税務上の交際費のうち接待に使ったものはいくらか(9に記載する)
を記す。
次に、勘定科目ごとに行った記載を集計して、

「支出交際費等の額(1)」に税務上交際費になる金額(8に記載した金額の合計)を記載し、「支出接待飲食費損金算入金額(2)」に接待に使ったものの金額(9に記載した金額の合計)の半額を記載する。
「支出交際費等の額(1)」に記載した金額は中小企業では年間800万まで認められる。ほとんどの会社は800万を超えていれば800万を、800万以下ならばその金額を「中小法人などの定期控除限度額(3)」の欄に記載する。「損金算入限度額(4)」には「支出接待飲食費損金算入金額(2)」または「中小法人などの定期控除限度額(3)」のうち大きいほうの金額を選択すればよい。
一方で税務上の費用として認められない金額を「損金不算入額(5)」に記載する。この金額は後に別表4を作成する際に使う。
別表16(1)、16(2)の書き方
別表16は固定資産の減価償却について計算した結果を記載する表である。
別表16(1)、16(2)は減価償却について書く
別表16(1)は定額法(旧定額法も含む)、別表16(2)は定率法(旧定率法も含む)について記載するものである。
この別表は原則として、個々の資産ごとに、資産の内容、資産の取得費、償却年数、取得時期等減価償却に関連する事項を記載するものである。ただし、別表16(1)、16(2)には合計額のみ書いておき、別途明細書を作成して保存する方法で提出しても差し支えない。
具体的な書き方
ここでは別表16(1)の書き方について説明する。
記載はほとんどの場合以下の流れで行う。
・資産の内容、取得価額を記載する
・当該資産の期首時点での税務上の価額を計算する
・当該資産の税務上の減価償却費を計算する
・減価償却で前期以前の超過額と当期の償却超過額、償却不足額の調整を行う

まず、上の1~9の番号が振られた部分について説明する。「種類」、「構造」、「細目」はどのような資産であるか、種類などを記載する欄である。通常、記載するものは減価償却資産の耐用年数等に関する省令(耐用年数省令)に従って書くことになっている。
4および5「取得年月日」はその資産を取得した日を、事業の用に供した年月は実際に事業に使い始めた時期を記載する。
6「耐用年数」にはその資産の法定耐用年数を記載する。これは、新品の場合は耐用年数省令に記載された年数を、中古品の場合は見積もった年数等を記載する。
7「取得価額又は制作価額」には固定資産を購入したときは取得したとき支払った金額を、自社で制作した場合は制作費を記載する。
通常は8には記載せず9「差引取得価額」に「取得価額又は制作価額」に記載した金額と同額を記載する。

次に、10~16の番号が振られた部分について説明する。この部分に記載するのは、税務上の固定資産の期首時点での価額を計算した結果である。17以降の部分で税務上の減価償却費を計算するために必要となる。
10「償却額計算の対象となる期末現在の帳簿記載金額」はその資産について期末現在の帳簿価格、つまり減価償却後の金額を記載する。その間の2つの欄(11、12)は記載せず、「償却額計算の対象となる期末現在の帳簿記載金額」と同額を13「差引帳簿記載金額」に記入するのが一般的である。
14「損金に計上した当期償却額」にはその資産について当期減価償却した金額を記載する。
15「前期から繰り越した償却超過額」には前期までで税務上償却額と認められなかった分がどれだけあるかを記載する。通常この欄は空欄となるが、税務調査で償却額が過大と認められた場合はここに金額が記載されることがある。
「差引帳簿記載金額」、「損金に計上した当期償却額」、「前期から繰り越した償却超過額」を足し合わせた金額の合計を最後の16「合計」に記載することによって税務上の固定遺産の期首時点の価額を計算する。

次は、17~29の番号が振られた箇所について説明する。17~24については平成19年3月31日までに取得した資産、つまり旧定額法が適用される資産について、25~29については平成19年4月1日以降に取得した資産、定額法が適用される資産について記載する。
ここでは定額法の計算についてのみ説明する。
25「定額法の償却額計算の基礎となる金額」には先程、「差引取得価額」に書かれた金額をそのまま書く。この金額を元にして減価償却費の金額を計算する。
26「定額法の償却率」はその資産の耐用年数に応じた償却率を記載する。例えば10年の場合は0.100と記載する。
27「算出償却額」は固定資産の取得価額と償却率を元にして計算する。
28「増加償却額」には何らかの制度を利用して償却額の追加分が生じた場合、その金額を記載する。
29「計」には「算出償却額」、「増加償却額」の合計額を記載して、当期の税務上の減価償却費を求める。

最後に35~41の番号が振られた部分について説明する。
35「当期償却額」には14で計算した税務上の減価償却費の金額を記載する。
その下の「差引」の欄に帳簿上減価償却費として計上した金額(「損金に計上した当期償却額」に記載した金額である)との差額について、帳簿上の減価償却費が税務上の減価償却費よりも少ない場合は36「償却不足額」の欄に、逆に多い場合は37「償却超過額」の欄に記載する。
最後に償却超過額でくくられた部分(38~40)には現時点でその資産について期末時点で帳簿上の減価償却費の累計が税務上の減価償却費の累計よりも多くなっているもの、償却超過額の金額を計算する。
38「前期からの繰越額」には前期の当該資産について償却超過額を記載する。
39「償却不足によるもの」には通常、当期の減価償却不足となった金額について記載する。その金額が38「前期からの繰越額」を超えた場合は38「前期からの繰越額」の金額を記載する。
通常は「償却超過額」、「前期からの繰越額」、「償却不足によるもの」の3つを使い、当期末における償却超過額を求める。
別表4の書き方
これまでの別表では収益や費用の記載を通じて、帳簿上の収益、費用と税務上の収益、費用との差がどれだけあるかについて計算してきた。別表4ではこれらをまとめて税務上の当期の利益を求める。
具体的な書き方
ここでは別表4について書き方を説明する。なお、別表4の様式には通常のものと簡易様式があるが、中小企業で多く用いられている簡易様式について解説している。

まず、1「当期利益又は当期欠損の額」の欄には決算書上の当期純利益(純損失)の金額を記載する。また、同じ行の右側の欄にある「社外流出」のうち「配当」には配当金として支出した金額を、「留保」には最初に「当期利益又は当期欠損の額」の金額から「社外流出」の「配当」、「その他」に書かれた金額を引いた金額記載する。
その下の欄には、会計上の利益、費用と税務上の利益、費用との差額を記載する。差額を調整した結果、利益が増加するものについては加算の欄に、そうでないものは減算の欄に記載する。差額のうち将来税務上の利益や費用になりうるものは留保の列に、そうでないものは社外流出の列に同じ金額を記載する。
22仮計の欄には加算減算を経た後、当期の純利益金額がどのように増減したかを記載する。
そのあとも、当期の純利益の調整を行うが、主だったものとしては、27「寄附金の損金不算入額」、40「欠損金又は災害損失金等の当期控除額」がある。

「寄附金の損金不算入額」については寄附金について、過大なものとして税務上の費用としない金額を記載する。「欠損金又は災害損失金等の当期控除額」は青色申告などのもとで前期以前に繰り越した損失について当期の利益と相殺するものである。
最後に一番下の欄52に調整を終えた後の税務上の利益または損失の金額を記載する。
別表1の書き方
別表4で記載した税務上の利益又は損失の金額を元に、当期の法人税の金額及び納付する(又は還付される)税額を計算するのが別表1である。
具体的な書き方
別表1の書き方は以下の通りとなる

まず、1「所得の金額又は欠損金額」に、別表4で計算された税務上の利益または損失の金額を記載する。次に法人税額を計算し、控除があればそれを引いた上で、今期のあるべき法人税額を計算し、その法人税額は別表1の次葉で求める。

この欄に当期の利益の金額を記載して税額を計算する。

次に、「差引法人税額」と同じ金額を10「法人税額計」の欄にそのまま書く。また、控除税額の計算結果を13「控除税額」の欄に、「法人税額計」から控除した金額を14「差引所得に対する法人税額」に記載する。中間申告をして納税した場合15「中間申告分の法人税額」の欄に記載し、「差引所得に対する法人税額」からこの金額を控除して16「差引確定法人税額」の欄に記載する。

「控除税額」の金額は別表1右側の部分で計算する。源泉税のうち別表6で計算して税金から直接控除できるものを16「所得税」の欄に記載する。その結果を18「計」の欄に記載して全額控除できる場合は19「控除した金額」にその金額を記載して、しきれなかった場合は残った金額を20「控除しきれなかった金額」に記載する。

還付がある場合は、「この申告による還付金額」のところに21「所得税額の還付金額」、22「中間納付額」を記載して24「計」にその還付される金額を記載する。また、還付がある場合は別表1の下部に口座を記載する。

また、過去の欠損金と当期の利益を相殺したときは27「欠損金又は災害損失金などの当期控除額」に相殺した金額を書き、欠損金が残っているときには28「翌期へ繰り越す欠損金又は災害損失金」の欄にその金額を書く。
また、別表1では地方法人税の計算も行う。

まず、当期の法人税額を29「所得の金額に対する法人税額」に記載して、地方法人税を計算するもととなる法人税額を求め、31「課税標準法人税額」に記載する。
ここで、別表1次葉にて地方法人税額を計算して「地方法人税額」を算出する。通常、同額を35「所得地方法人税額」、39「差引地方法人税額」に記載し、中間申告分があれば40「中間申告分の地方法人税額」に記載し、「差引地方法人税額」から「中間申告分の地方法人税額」を差し引いた結果を41「差引確定地方法人税額」に記載して納付する税額を決定する。


ままた、控除した結果還付となる場合は「この申告による還付金額」の計の欄(44)に還付金額を記載する。
別表2の書き方
会社の出資者構成を記載して会社が同族会社かどうかを判定するのが別表2である。
具体的な書き方

まず、個々の株主について住所、氏名、株式数・出資の金額、議決権数を記載する。なお、順位も書くことになるが、これは個人で見るのではなく、親族間でグループを作り、そのグループごとに順位を付ける。そのため、実際に書くときは、そのグループ内の人であれば株式数が違っていても同じ順位がついたり、株式数は一緒でも別々のグループの場合は、グループごとに異なる順位をつけたりすることとなる。

次に、同族会社かの判定を行う。株式数又は出資の金額、議決権(株式会社)、社員数(合同会社など)で先述したグループ上位3つが占める割合を計算する。最後にそのうち最も高い数値を「同族会社の判定割合」に記載する。

最後に、それを元に同族会社か否かを判定して、判定結果の欄に記載する。
法人税申告の基本的な流れと内容をおさえ、早めに準備
法人が納めるべき法人税の計算をするための書類が法人税申告書であるが、記載事項が多岐にわたり、専門用語も多い。そのため、申告書の作成は煩雑である。効率よく申告を済ませるには、申告書の内容を理解して早めに準備をはじめるとともに、専門家に相談するとよいだろう。
法人税申告書に関するQ&A
Q1.法人税申告書はいつ届く?
A.法人税の申告書の用紙はたいてい期末の翌月に、管轄する税務署から送られることが多い。
ただし、前期に電子申告を行った場合には用紙は送られない。また、2023年4月決算分以降は申告用紙の送付自体取りやめとなる。
今後、申告書は送られることがなくなるため会計ソフトを利用したりインターネット上で公表されている様式を利用したりすることとなる。
Q2.法人税の申告書はどこでもらえるか
当面は税務署で入手できる。ただし、将来的には入手自体できなくなる可能性もある。その他の方法としてはインターネット上で様式が手に入ることができる。なお、いずれの方法であっても決算時期によって使う様式が異なるため入手する際は注意していただきたい。
Q3.法人税の確定申告はどこで行うのか
法人税の確定申告は、通常、管轄する税務署で申告を行う。申告方法には直接持ち込む、税務署が開いていないときは文書収受箱に投函する、郵便で送る(税務署以外のところに送ることもある)といった方法がある。
その他には、電子申告で行うこともできる。
Q4.法人税と一緒に申告すべき税金はあるか
A.法人税と一緒に申告すべき税金は、税務署に申告する地方法人税、都道府県に申告する法人の道府県民税・事業税・特別法人事業税、市町村に申告する法人の市町村民税がある。
このうち、地方法人税は法人税と同じ用紙で申告するので特段意識することはない。また、会社によっては消費税、地方消費税を申告することとなる。これらの税金はそれらの申告のために作られた同じ申告書を使って申告する。
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文・中川崇(税理士)