食品産業新聞社
(画像=食品産業新聞社)

〈盆休み明け一時弱含むも、給食再開で上昇へ〉
例年、7月後半は学校給食が休みに入る関係で枝肉相場も値下がりに転じる。しかし、ことしは7月中旬までの税抜き800円台の相場から、7月3週目後半には600円台前半まで下げたものの、それも数日間で終わり、4週目後半には再び700円台半ばで上昇した。肝心の末端需要はそこまで強くはなく、依然スソ物中心で、中部位の動きは総じて弱いまま7月を終えた。結果、7月の月間平均相場(東京市場、以下、税抜き)は、上物で769円(前年同月比138円高)、中で747円(同130円高)、並で688円(107円高)、等外595円(64円高)と前年相場を大きく上回った。以前ならば7月後半には400円台の相場を付けた年もあり、末端需要が弱いなかで、中間流通にしてみれば、1頭で2頭分の枝肉を買っているような状況となった。

8月は盆休みの帰省などで地方需要を中心に底堅く推移するとみられるものの、この猛暑で食肉全体の消費に水を差す懸念がある。盆休み明け以降は節約意識が強まるため、単価の高いロースやバラよりも、安価なウデ・モモに消費がシフトする可能性が高い。そして、8月下旬には給食が再開するため、スソ物の引合いはさらに強まるとみられる。暑熱による増体不良や事故も懸念され、供給面でも相場の上げ要因となりそうだ。

8月の予想は非常に難しいが、8月2週目は上物で740円前後、盆休み明けは650円前後まで下げるも、後半にかけて再び700円台前半まで上昇するとみられる。

[供給見通し]
農水省が7月24日に公表した肉豚出荷予測によると、8月の全国出荷頭数はほぼ前年並みの129万4千頭としている。農畜産業振興機構の豚肉需給予測では、8月の豚肉生産量は同0.7%増の7万700tとやや上回ると予想している。市場関係者によると、暑熱による増体不良で出荷をキャンセルするケースが多かったものの、農場で滞留していた在庫の出荷がみられ、7月後半に比べると、少しずつ改善しているという。8月2週目前半は、盆休み需要に向けた手当てのピークを迎えるため、それなりの出荷・上場頭数が見込まれる。東京市場も5日は897頭、6日は1,100頭、また9日にも1,080頭の上場を予定している。とはいえ、依然として猛暑による出荷キャンセルや輸送時の事故の懸念も続いている。

これに対して輸入品は、機構の需給予測によると、8月のチルド豚肉の輸入量は前年同月比12.2%減の3万1,100t、フローズンは同31.2%増の5万400tと見込んでいる。輸入チルドのパーツの荷動きはスソ物中心だが、外貨高を反映して買付けを絞り込んでおり、月内は需給が締まった状況が続くとみられる。

[需要見通し]
末端消費は依然としてスソ物中心の荷動きとなっている。だが、さすがに学校給食が休みに入った影響は小さくなく、7月前半に比べると、足元のスソ物の荷動きは落ち着いた感もある。これに対して、中部位の荷動きが少しずつ良くなっているようで、カタロース、ロースは価格次第で量販店にハマるものの、バラに関しては各社販売に苦戦しているもようだ。

8月の盆休み期間中は地方へ人口が流出するため、都市部の末端需要はあまり期待できないが、冷しゃぶやトンテキ、スぺアリブなど国産豚肉の需要自体は底堅いとみられる。そして、8月下旬になると学校給食の再開でスソ物の需要が回復してくるものとみられる。

[価格見通し]
8月の豚枝肉相場は、盆休み需要と休み明けの反動、そして給食の再開といった要因に加えて、猛暑による出荷動向が相場にどう反映してくるか、予想が難しい。盆休み期間中の末端消費が予想以上に伸び悩んだ場合は、中部位を中心に在庫消化の動きも出てくる懸念もある。逆に、大貫物の相場は600円がらみの高値が継続するとみられる。このため、市場によって稼働日が異なる盆休み期間中と休み明けの8月3週目から4週目前半を除けば、8月上旬と下旬の枝肉相場は税抜き700円台前半を付け、月間平均でも720~740円と予想される。

〈畜産日報2024年8月5日付〉