3D-CAD/CAMを使いこなして精密な設計を行い、大型マシニングセンタをフル活用 ホームページ充実で新規受注も増加 サカニワ工業(群馬県)

目次

  1. スライド式になった棚や重い鋼板を反転させる反転装置を製造し企業の工場に設置する
  2. 大型の5面加工門形マシニングセンタを設置し精度維持のために空調や測定器を導入
  3. 3D-CAD/CAMを駆使して精密なデータを作成しマシニングセンタを動かして顧客が望む製品を作り出す
  4. BtoB企業だがホームページ構築に力を入れて製品や技術を伝え新規受注につなげている
  5. ドローンの発信基地や農業のリモート化に役立つ装置を開発して社会に役立つ企業を目指す
中小企業応援サイト 編集部
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重い金型を置いておく棚や、製造ラインの中で鉄板の向きを反転させる装置を製造しているメーカーが、群馬県太田市にある株式会社サカニワ工業だ。製品を納めているエンドユーザーには、聞けば誰でも知っている大手企業がずらりと並ぶ。「トップは自動車関係で、次が電機関係になります。鉄鋼や重工、建機、印刷なども入っています。何かを製造している会社は、だいたい取引先になっていますね」と、木村克光代表取締役。同社ではホームページの構築に力を入れて、見やすくてわかりやすいものにしている。(TOP写真:製品の製造に使う5面加工門形マシニングセンタの前に立つ木村克光代表取締役)

スライド式になった棚や重い鋼板を反転させる反転装置を製造し企業の工場に設置する

3D-CAD/CAMを使いこなして精密な設計を行い、大型マシニングセンタをフル活用 ホームページ充実で新規受注も増加 サカニワ工業(群馬県)
鋼材を加工して製品を製造しているサカニワ工業の工場

自動車なら、左右が対称となったドアの部品を製造する際に、重い鋼板を反転させる必要がある。人間が手で行おうとすると大変なこうした作業を、代わりに行ってくれる反転装置を同社で製造している。金型や治具、重量がある製品を収納しておくスライダーと呼ばれるラックも手がけている。スライド式になった棚を引き出した上で、保管しておく重量物をクレーンなどで持ち上げた上で載せ、元に戻して保管する。平台に並べておくだけでは場所を取るものが、スライダーを使って上に積み上げることで省スペース化を実現できる。

ものづくりを行っているメーカーにとって必要不可欠なこうした製品を、同社ではすべて自社内で設計から開発、製造を手がけ、販売や施工も行っている。そうすることで、「お客様の多種多様なニーズに細かく応えることができます。同じクラスの他社製品に比べて低価格で提供できるようにもなっています」(木村社長)。取引先の要望を細かく聞いた上で、それぞれの製造工程にマッチした製品を低コストで設計・製造・販売することで、同社は名だたる企業から強く信頼されるようになった。

結果、注文が途切れることがなく忙しい日々を送っているが、その上でさらに自分たちから新しいアイデアを形にしようと動いているから驚くばかりだ。何年か前に、5トンもの重量物を載せて、人の手で押して動かしていた台車に、電動のアシスト装置を取り付ける作業を行った。「取引先の担当者から、開発予算を付けるから、そうした装置は作れないかと頼まれました。耐久性が必要な上に、危険なスピードで動かないようにする必要があるので、いろいろと試して作り上げました」(木村社長)。この時は、12ボルトの電池で動く減速モーターを購入し、台車に取り付けてリモコンで動かせるようにした。「うまくいったのでホッとしていたら『2号機が欲しい』と言われて、去年作って納品しました」(木村社長)

他にも、さまざまなアイデアを製品に盛り込んで取引先から喜ばれてきたが、特許を取得して独占するようなことはしていない。「自分たちのように小回りが利いて何でも対応してくれるところはないので、他に持って行かれるようなことはないと考えています。そもそも他では真似できないのではないでしょうか」(木村社長)。常に相手が求める製品を作り、コツコツと積み上げてきた信頼が、強い自信につながっている。

大型の5面加工門形マシニングセンタを設置し精度維持のために空調や測定器を導入

3D-CAD/CAMを使いこなして精密な設計を行い、大型マシニングセンタをフル活用 ホームページ充実で新規受注も増加 サカニワ工業(群馬県)
工場内に置かれた5面加工門形マシニングセンタ。左端にあるのが高額の測定器

こうした依頼に対応できるのも、従業員が日々技術を磨いている上に、最先端の工作機械を導入して、あらゆる需要に対応できるように備えているからだ。少し前に導入した「5面加工門形マシニングセンタ」と呼ばれる機械は、コンピュータ制御によって一般部品加工から高精度加工まで、あらゆる部品の製造に対応できる能力を持っている。気温によって熱膨張が起きると精度が落ちるため、600万円ほどかけて空調を整備した。さらに、できあがった製品がしっかりとした精度を持っているかを確認できるよう、1000万円はする測定器を導入して据え付けた。「安くはないですが、こうした投資がセットになって初めて武器になります。惜しんではいられません」(木村社長)

この工作機械の性能を引き出すには、設計の段階から精密で正確なデータを作る必要もあった。そこで同社では、3次元CAD/CAM(コンピュータ支援設計/製造)のソフトを導入して、シミュレーションをしながら設計を行えるようにした。「手動でデータ入力できないことはないですが、間違いがあると機械が異常な動作をして故障する原因になります。CAD/CAMを使いコンピュータ上でシミュレーションを行いながらデータを作成することで、そうしたミスが減り、製品の不良率も下がりました」(木村社長)

3D-CAD/CAMを駆使して精密なデータを作成しマシニングセンタを動かして顧客が望む製品を作り出す

3D-CAD/CAMを使いこなして精密な設計を行い、大型マシニングセンタをフル活用 ホームページ充実で新規受注も増加 サカニワ工業(群馬県)
3D-CADによる設計を受け持っている木村裕孝さん

2次元のCADについては以前から利用していたが、3次元のCAD/CAMを使いこなせるようになったことで、より複雑な形状をした製品も作り出せるようになった。「まさしく鬼に金棒です」(木村社長)。次のステップとして、金型そのものを設計してマシニングセンタで削り出し、提供していけるようになればと考えているが、「すでにいただいている仕事が忙しくて、なかなか事業として展開できません」(木村社長)と、嬉しい悲鳴をあげている。

多忙なことは喜ばしいが、働き方改革が言われている中で効率化が必須となっていた。例えば勤怠管理。「タイムカードを使っていましたが、朝出社しても急いでいて押さなかったり、夕方に疲れていて押し忘れたりといったことがあったので、最近ICカードでサッと入力できるように変えました。納品で取引先に行っていることもあるので、出先からスマートフォンで入力することも可能になりました」(木村社長)。使い始めたばかりで、どれだけの効果があるかはこれから確かめていく予定だが、仕組みを一新したことで、従業員の勤務時間に対する意識は高められたようだ。

ICカードを利用した勤怠管理は、給与計算の簡略化にもつながった。「こうした仕組み自体が直接お金を生むことはありません。けれども、処理にかかる時間の効率化なり、働く人の意識改革なりを通して結果的に収益につながると考えています」(木村社長)。10年ほど前には、販売管理ソフトを導入して、伝票の入力をそれまでの手書きからパソコンへの入力に変えた。これも、作業時間の短縮やミスの軽減につながっている。「当社の場合、取引先からの注文が数年に一度といったことがよくあります。そうした以前の取引データが記録されているため、すぐに引っ張り出して確認できるのが電子化のメリットです」(木村社長)

BtoB企業だがホームページ構築に力を入れて製品や技術を伝え新規受注につなげている

3D-CAD/CAMを使いこなして精密な設計を行い、大型マシニングセンタをフル活用 ホームページ充実で新規受注も増加 サカニワ工業(群馬県)
株式会社サカニワ工業のホームページトップ

反転装置やスライド棚といった、無骨な上にエンドユーザーが企業の製造ラインといった一般の人の目には触れることのない製品を作っているメーカーでありながら、同社ではホームページの構築に力を入れて、見やすくわかりやすいものにしている。理由は、「ホームページからも注文があるからです」(木村社長)。最初にホームページを作ったのは20年ほど前のこと。「騙されるというと言葉が悪いですが、勧められて作ってみました。こんなもので物が売れれば苦労しないと思っていたのですが、結構反響があって驚きました」(木村社長)

これは使えると考え、しっかりとしたホームページにしていった。「新規のお客様はホームページから取引が始まったところが結構あります」(木村社長)。現在のホームページは2020年にリニューアルしたもので、スタイリッシュに切り替わるトップページの表示の中で、製品や技術をアピールして、新規顧客の獲得につなげている。「もっと更新頻度を上げたいところですが、仕事が忙しくて追いつきません。息子からはもっと充実させようと言われているので、何かやれればとは考えています」(木村社長)。従業員として働いている子息の木村裕孝さんには、すでに3D-CADによる設計を任せている。新規事業の開拓や顧客の獲得なども受け持ってもらい、事業継承につなげたいところだろう。

ドローンの発信基地や農業のリモート化に役立つ装置を開発して社会に役立つ企業を目指す

3D-CAD/CAMを使いこなして精密な設計を行い、大型マシニングセンタをフル活用 ホームページ充実で新規受注も増加 サカニワ工業(群馬県)
これからの事業展開について熱く語るサカニワ工業の木村社長

社長自身も、本業として培ってきた金属加工技術を生かして、新しい製品を生み出せないかと考えている。その一つがドローンの格納庫。コンビニエンスストアをドローンのポートにして、インフラの点検や災害対応に使おうという動きがある。他にも各所で進んでいるドローンの活用に向けて、「ドローンを格納して必要な時に発進させていくような装置を作れないかと考えています」(木村社長)。ほかにも、欧米に比べて低い日本の食料自給率を高めるため、農業の再構築につながるような事業に参画したいと話す。「ドローンを使って、農業の遠隔化を実現できないかといったことですね」(木村社長)

65歳になった今も、時間があれば、趣味のバイクを駆って山野を走り回るアグレッシブさで、次につながる事業にも逃げずに取り組み、成果を出していくことだろう。

3D-CAD/CAMを使いこなして精密な設計を行い、大型マシニングセンタをフル活用 ホームページ充実で新規受注も増加 サカニワ工業(群馬県)
株式会社サカニワ工業本社

企業概要

会社名株式会社サカニワ工業
本社群馬県太田市新田反町町90-3
HPhttps://sakaniwa.jp/
電話0276-20-8551
設立1996年12月
従業員数5人
事業内容金属製品製造業(スライド棚、簡易クレーン、反転装置、重量棚など)