ヘッジファンド
(画像=Natee K Jindakum/Shutterstock.com)
世古口 俊介
世古口 俊介(せこぐち・しゅんすけ)
株式会社ウェルス・パートナー代表取締役。1982年10月生まれ。大学卒業後、2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイス銀行(クレディ・スイス証券)プライベートバンキング本部の立ち上げに参画。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。保有資産数百億円以上の富裕層、未上場・上場企業の創業家の資産保全・管理、相続・事業承継対策、資本政策・M&Aなどの企業価値向上対策、ファミリーオフィスサービス提供に従事。

こんにちは。ウェルスパートナー代表の世古口です。みなさんはヘッジファンドという投資対象をご存じでしょうか。全くイメージがないか、もしくはリスクが高い、なんだか怖い、ハゲタカなど、どちらかというネガティブな印象をお持ちの方が多いかもしれません。

しかし、ヘッジファンドは海外の超富裕層や年金などの機関投資家、1,000億円以上の資産を運用する海外の大学や財団などの資産運用に必要不可欠な投資対象です。今回は世間から誤解が多いヘッジファンドを他のファンドと比較して、わかりやすく説明します。

代表的な3ファンド

世の中には大きくわけて3つのファンドが存在しています。まずファンドとは、多くの投資家からお金を集めて株や債券、不動産などのあらゆる対象に投資する手法です。ファンドのメリットはたくさんお金を集めて、いろんな資産に投資しているので、個人で直接投資するよりも、分散効果があります。そしてファンドはインデックスファンド、アクティブファンド、ヘッジファンドの3種類に大きく分類されます。

(1)インデックスファンド

まずインデックスファンドとは、S&Pや日経平均など指数に連動するように運用するファンドです。メリットは指数に連動するので、運用状況が把握しやすいことと運用コストが圧倒的に低いことです。年間の信託報酬は0.1%から高いファンドでも0.6%くらいでしょう。

(2)アクティブファンド

次にアクティブファンドは前述のインデックスファンドの運用指標であるS&Pや日経平均などのパフォーマンスを上回ることが目標です。ですので、日経平均が年間+3%だとすると+5%なら勝ちで、+1%なら負けということです。アクティブの難しいところは腕の良いファンドマネージャー(ファンドが何に投資するかを決める運用者)を見つけることです。多くのアクティブファンドがある中で、全てのパフォーマンスを平均化するとインデックスファンドに勝てないのが現状です。

なぜアクティブの平均がインデックスに勝てないかというと大きな理由は運用コストです。アクティブファンドの年間の信託報酬は1.5%から2%程度のものが多いですが、インデックスファンドは前述のように0.1〜0.6%程度になります。このコストの差がアクティブとインデックスの勝敗を決めていると言えるでしょう。

(3)ヘッジファンド

アクティブファンドに納得いかないという意見にはこういうものがあります。インデックスが年間−10%だとして、アクティブが年間−5%だとこのアクティブは勝ちということになりますが、「でも結局はマイナスですよね?」という感情です。どれだけインデックスに買っても、マイナスを受け入れたくないのが投資家の心理です。このどんなときでもマイナスのパフォーマンスを出したくないという投資家のニーズから生まれたのがヘッジファンドです。

どんなときでもプラスのパフォーマンスを出すことを「絶対収益」といいますが、ヘッジファンドはこの絶対収益を基本理念としています。コロナウイルスが蔓延しようと、リーマンショックが起ころうと、ITバブルが崩壊しようと、マイナスを出さないために徹底的に努力し、利益に執着します。

日本のアクティブファンドとヘッジファンドの大きな2つの違い