今回、地方自治体へNFTの導入を勧める東武トップツアーズ株式会社(以下、東武トップツアーズ) 全国支援室 専門部長の利重氏にインタビューをおこないました。
・地方自治体はどのようにNFTを導入しているの?
・どのような実績があるの?
・なぜ地方自治体はNFTを導入しているの?
・今後はどのような展開を考えているの?
などの疑問にお答えいただき、東武トップツアーズのNFTに関する取り組みの魅力をお伝えしていきます。
これからNFTを導入したい地方自治体の方、NFTを活用した新たな仕組みの構築に興味のある方、NFTのさまざまな活用方法を知りたい方はぜひ最後までご覧ください!
利重 和彦
東武トップツアーズ株式会社 全国支援室 専門部長 総務省 地域力創造アドバイザー 山形県西川町 政策アドバイザー 静岡県牧之原市シティプロモーションアドバイザー その他多くの地方自治体の委員などを委嘱されている。
地方自治体に「NFT」という選択肢を提供する
ーー東武トップツアーズの地方自治体へのNFTの取り組みについて教えてください。
利重氏:2023年から地方自治体がNFTに取り組む際の支援を強化しています。最初に着手したのは、山形県西川町のデジタル住民票NFTです。
こちらは2023年4月に1枚1,000円で1,000枚の抽選販売をおこなったところ、申込受付からわずか1分で発行枚数の1,000枚に到達し、最終的には13,440枚の申込がありました。
需要倍率は13.4倍と、期待を超える高倍率でした。
ーー13.4倍ですか、すごいですね。西川町のデジタル住民票NFTは、自治体側から相談があったのですか。
利重氏:いいえ、私が西川町にご提案しました。
東武トップツアーズは2022年8月に西川町と包括連携協定を締結しており、9月には私が西川町の政策アドバイザーに就任したんです。
官民連携で地方創生に取り組む中で、関係人口の創出をはかるべく、西川町以外に住む人をデジタル住民として迎え入れる提案をしたところ、新しい取り組みに積極的な西川町はご快諾いただきました。
ーーNFTは新技術でなかなか理解しにくい部分もあるかと思いますが、どのようにご説明されたのでしょうか。
利重氏:もちろん最初は西川町もNFTが何か分からなかったのですが、NFTについて丁寧に説明して、事例をお伝えすることでご理解いただくことができました。
ーーNFT事業に参入した背景を教えてください。
利重氏:2022年にNFTというものを知ったのですが、デジタル資産であるNFTを活用すれば地方自治体が活性化するのではないかと思い、興味を持ち勉強し始めました。
その後、山形県西川町をはじめとする自治体でプロジェクトをスタートしました。
全国支援室のWeb3チームが8人ほどおり、NFTだけでなくメタバースやChatGPT、ARなどの導入も担当しています。
日本初 自治体が発行する「デジタル住民票NFT」
ーー申し込みが発行枚数の1,000枚に達しないことも予測したと思いますが、1枚1,000円のデジタル住民票NFTを1,000枚発行するという目標はどうやって設定したのですか。
利重氏:もちろん申し込みが発行枚数の1,000枚に達しないことも少しは予測しましたが、むしろファーストペンギンの恩恵で1,000枚は軽く超えて10,000枚に到達するだろうと強気に考えていました。
弊社のNFT事業は、NFTマーケットプレイスのHEXAとの協業事業ですので、HEXAの代表者と、弊社のデジタル最高責任者(CDO)と、私の三人で話し合い、販売価格と発行枚数を決め、西川町に提案しました。
ーー金額設定はどうされたのでしょうか。
西川町はNFT事業で儲けようとは考えておらず、関係人口の創出が目的です。西川町は人口減少と高齢化が深刻で、関係人口を増やすことが将来的な移住や定住に繋がると考えているからです。
NFTの価格も1枚1,000円に設定し、特典をつけることでその価値を持たせました。
ーーデジタル住民票NFTの保有者は、どういう恩恵を受けられるのですか。
利重氏:大きく2つあります。
1つは、西川町に来ると受けられる特典です。例えば、温泉の無料入浴や道の駅での特産品の割引などです。これはお金儲けではなく、デジタル住民票を持つ人たちが西川町に遊びに来てほしいという想いから用意されているものです。
他の自治体だと、山口県美祢市の場合は、市が管理する鍾乳洞や化石館や温水プールなどの入場が無料になります。
2つ目の特典として、メタバース空間を使った交流会を開催しています。毎回全国からデジタル住民が参加しており、西川町の場合、保有者は西川町長も参加するオンラインコミュニティに参加でき、西川町のメタバース空間での交流やイベントに参加できます。
ーーメタバース空間での交流について、詳しく教えていただけますか。
利重氏:昨年度は、西川町は3回、美祢市は2回、首長も参加してデジタル住民のメタバース交流会を開催しました。当日は、デジタル住民に対して首長からメタバース交流会参加のお礼の挨拶から始まり、美祢市や西川町の〇×クイズなどで盛り上がりました。
さらに西川町は、東京でデジタル住民のリアル交流会も開催し、西川町長はじめ西川町の関係者とデジタル住民が交流を深めておりました。
NFTで人と人を繋ぐ仕組みの構築へ
引用:PR TIMES
ーー東武トップツアーズが提案したデジタル住民票以外のNFTをお聞かせください。
利重氏:たくさんあります(笑)。
1つは命名権付きNFTです。
西川町の道の駅の隣には、小さな公園があります。もちろん条例上の公園名はあるのですが、この公園に名前を付けることができる権利を特典としたNFTをオークション形式で販売したところ、49件の入札があり、最終落札価格はなんと130万円でした。
落札されたのは東京在住の方で、「フェリシア公園」という名前を付けていただきました。
この命名権付きNFTも、ファーストペンギンの恩恵を受けたケースです。
他にも、地ビールなどの特産品のNFTや、西川町長自身がデザインしたAIアートNFTなどを発行しました。
さらには、西川町のマスコットキャラクターのトレーディングカードNFTや、山菜をキャラクター化したトレーディングカードNFTなどを発行しています。
西川町は今後NFTを発行する際、公募で選ばれた13名の「西川町公認NFTクリエイター」にデザインを依頼します。
西川町公認NFTクリエイターの公募も、関係人口創出の一環でおこないました。
ーー今後のNFTの発行予定を教えていただけますか。
利重氏:西川町長や副町長が、西川町外でおこなう講演や相談を特典としたNFTの発行を予定しています。これは西川町長や副町長が「自分の知見や行動の対価が町の収入になるのならいくらでも働きます」との想いから、具体的な運用を検討しているところです。
また、昨年より取り組んでいるトレーディングカードNFTもバリエーションを増やしていきます。関係人口を増やし、将来的な移住や定住に繋げるため、プロ野球選手のカードのように、集める楽しさを提供したいと考えています。町や山菜のキャラクターを用いたトレーディングカードを発行し、地域の活性化に努めています。
以前、西川町ではマスコットキャラクターのトレーディングカードを無償で配布しました。その後、全国のNFTクリエイターから山菜のキャラクターを募集し、15のキャラクターを選出してトレーディングカードを作成。このクリエイターたちには西川町の公認NFTクリエイターという称号を与えたんです。
今後も第3弾、第4弾と続く予定で、町のマスコットキャラクターや名産品をテーマにしたトレーディングカードを発行していく予定です。また、町長の講演や相談をNFTとして販売し、町の財政に組み入れる試みもおこなっています。
ーー西川町が発行したNFTの売上総額はどのくらいですか。
利重氏:昨年度は約300万円です。今年度は500万円以上を目指しています。NFT発行で得た歳入は、町の福祉関係で活用すると西川町から聞いております。
最初に取り組んだデジタル住民票は1枚1,000円で販売し、100万円の売り上げを達成しました。その後、命名権NFTが130万円でオークション落札されるなど、これらの取り組みだけで230万円を超える売り上げを記録しました。
地方自治体が自主的に歳入予算を確保するための新しい手段として、NFTの活用が期待されており、ふるさと納税や中央省庁の交付金事業に加え、自治体が自らの努力で収益を上げることが求められています。
NFTで地方自治体を元気にする
引用:東武トップツアーズHP
ーー東武トップツアーズが地方自治体にNFTの発行を勧めるのは何故でしょうか。
利重氏:ズバリ、地域経済の活性化と関係人口の創出と自治体の歳入費確保にNFTが適していると考えているからですね。
一昨年まで西川町を知らなかった人たちが、NFTを通じて西川町の存在を知り、メタバース空間で町長とお話して、何人ものNFT保有者が実際に西川町を訪れています。
西川町訪問時に、町内で飲食したり買物したり温泉宿に宿泊したりするので、町内の民間事業者の売上に貢献します。人口約4,700人の町なのですが、X(旧Twitter)のフォロワー数が527名から1,214名と2.3倍(687名増)に拡大しました。
デジタル住民票NFTと公園の命名権NFTだけでも230万円の売上となっています。
ーーなかなかできるものではありません。どのような背景があるのでしょうか。
利重氏:東武トップツアーズは、会社のスローガンとして「日本を元気に、地域を元気に」を掲げていまして、日本が元気であるためには、全国の地方が一つ一つ元気でなければならないと考えているんです。
しかし現在の日本の現状を見ると、人は都市に集中し、地方では高齢化が進んで人口減少が問題となっています。そのため、特に地方を元気にするための取り組みに力を入れているんです。
ーー地方自治体が新たにNFTを発行するのに、費用はいくらかかるのですか。
利重氏:デザインを自治体が作成すれば、無料でスタートできます。歳出予算なしですぐに始められる点も、自治体がNFTを取り組みやすい理由の1つと考えています。
ーー最後に、これからNFT発行に取り組む地方自治体にアドバイスをお願いします。
利重氏:地方自治体の期中の歳入は、ふるさと納税や公募に採択されての交付金が主だと思いますが、地方自治体のNFTは予算がなくてもすぐに事業展開できて歳入費につながります。関係人口の創出効果があるので、その先の移住・定住までつながることを視野に入れています。
地方自治体が発行するNFTは、自治体もNFT保有者も地域住民も、全ての人を幸せにする地方創生ツールと考えています。関心のある自治体様は、ぜひ弊社までお問い合わせ下さい。
東武トップツアーズ株式会社
全国支援室Web3.0チーム担当
TEL:050-9014-8501
MAIL:cs_meta@tobutoptours.co.jp