食品産業新聞社
(画像=食品産業新聞社)

伊藤ハム米久ホールディングスの2024年3月期(23年4月~24年3月)における売上高は前期比3.6%増の9,555億8,000万円と増収、経常利益は前年並みに推移した。売上高については食肉価格の高止まりや、加工食品の価格改定などが増収に寄与した。

セグメント別では、加工食品の売上高が前年比4.0%増の3,913億3,600万円、経常利益が76.7%増の90億5,100万円と増収増益だった。

そのうち調理加工食品部門は、ピザ類やプラントミートなど消費者ニーズの多様化に対応した商品の拡販に努めたことに加え、外食向けの業務用商品の販売が伸長したことから、売上高が伸長した。ハム・ソーセージ部門は、TVCMの投入や消費者キャンペーンの実施により、家庭用主力商品の拡販に努めたほか、外食向けの業務用商品の販売が伸長した。

2025年3月期(24年4月~25年3月)の連結業績予想では、売上高は前期比1.5%増の9,700億円を見込む。

〈「中期経営計画2026」冷食はワンプレートとBtoC向け大袋商品に注力、売上目標200億円、現状の20%売上増を目指す〉 5月2日、同社では24年度を初年度として、2035年度に向けた「長期経営戦略2035」(以下、長期戦略)および直近3ヶ年における「中期経営計画2026」(以下、本中計)の策定を決議した。本中計のなかで、冷凍食品は売上目標として200億円、現状対比で20%の売上増を設定し、最終年度(26年)の到達を見込む。注力するカテゴリーとしてはワンプレートの弁当商品、BtoC向けとして業務用に近い形の大袋商品を挙げている。

長期戦略では▽国内バリューチェーン価値の最大化▽海外事業の成長加速・成長事業への展開を目指す。ともに投資金額は1,000億円、投資効果は50~100億円/年としている。

後者では海外事業や成長事業への投資を促進、伸長する需要取り込みによる利益拡大を目指すほか、長期的視点でのフードロス削減やたんぱく質の安定供給に向け、冷凍食品事業や未来の食の開発へ領域拡大を進める。

冷凍食品の事業展開としては、簡便調理ニーズへの対応やフードロス削減への貢献を目指し、同社工場における冷凍食品の製造ライン新設やM&Aを検討している。いずれも具体的なスケジュールについては未定としており、沼津の夢工場における製造ラインの稼働状況や、同社商品の動向などを見ながら進めていくという。

また長期戦略に向け取り組んできた「中期経営計画2023」を終えての課題として▽長期戦略による成長ストーリーの明確化▽本中計による基礎収益力の底上げ――の2点を挙げている。

これを受け今年度より取り組む本中計では、新規事業・市場への取り組みとして▽新規事業推進室の新設▽ワンプレート冷凍食品の市場投入▽ヘルスケア事業の拡大(ANZCO Foods)▽プラントベースフードの商品展開、培養肉事業への参画――などを掲げている。

本中計では商品の磨き上げとして冷凍・常温で新商品の継続投入を推し進める。また、全国規模のNBブランドである伊藤ハム・特長ある商品をそろえた米久のそれぞれの強みを生かした売り場のまるごと提案も行っていく。

〈冷食日報2024年5月8日付〉