プラスチック製包装資材の生産、加工に豊富な実績 ICTの活用でビジネスモデルの強化を図る 中央化成工業(香川県)

目次

  1. 数百種類を品ぞろえ 食品と雑貨向けが製造品目の7割を占める
  2. 消費者が商品を購入する上で重要な役割を担うのがパッケージ 商品の色彩をパッケージで忠実に再現することに細心の注意を払っている
  3. より迅速できめ細かいサービスを提供するため、グラビア印刷工場を買い取り
  4. 環境保護のため、バイオマスインキの採用、本社と工場の照明をLED化 SDGsの機運醸成に努める
  5. 20キロ離れた工場とのやり取りに、クラウドストレージ活用 打合せはWeb会議でスケジュール管理や工程管理がスムーズになった
  6. 自社で更新できるホームページ作成システムを活用し、自社商品の情報発信を機動的に行っている
  7. 今後5年間を「第二の創業期」と位置づけ、働きやすい環境づくりを目指してクラウドサービスやNASを導入
  8. 若手からベテランまでの幅広い年齢層が快適に働く環境整備と、ベテランから若手への知識・経験の伝承を図りたい
  9. ICTとデジタル機器を活用して、生産工程の改善やオリジナル商品の開発、インターネット販売等、時代の変化に対応して成長路線へ
中小企業応援サイト 編集部
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プラスチック製の食品用パッケージを中心とした多種多様な包装資材を製造、販売する香川県高松市の中央化成工業株式会社が、業務効率化、生産性向上、働き方改革、情報発信、人材育成といった様々な課題に対応するため、これまで段階的に取り組んできたICTやデジタル機器の活用を加速しようとしている。会社の組織力と技術力を強化することで、新しい可能性を切り開く。(TOP写真:中央化成工業株式会社が生産、加工している資材のサンプル)

数百種類を品ぞろえ 食品と雑貨向けが製造品目の7割を占める

プラスチック製包装資材の生産、加工に豊富な実績 ICTの活用でビジネスモデルの強化を図る 中央化成工業(香川県)
ホームページで紹介している中央化成工業の多彩な商品

1971年設立の中央化成工業株式会社は、四国を中心にうどん製麺会社やアメニティグッズ製造会社など多くの企業と長年にわたって取引している。食品と雑貨の包装資材が製造品目の約7割を占めている。食品包装資材では、ひも付きの手提げ袋、合掌袋、三方袋といった様々なタイプを品ぞろえ。そのほか、歯ブラシなどを包むアメニティ袋、クリアファイル、スライダーチャック付きのバッグなど数百種類の商品を扱っている。封筒の切り取り部分を取るとクリアファイルになるアイデア商品のほか、不織布を利用したバッグの加工、ビニール製のイベントグッズの制作も請け負っている。

プラスチック製包装資材の生産、加工に豊富な実績 ICTの活用でビジネスモデルの強化を図る 中央化成工業(香川県)
食品包装例
プラスチック製包装資材の生産、加工に豊富な実績 ICTの活用でビジネスモデルの強化を図る 中央化成工業(香川県)
クリアケース例
プラスチック製包装資材の生産、加工に豊富な実績 ICTの活用でビジネスモデルの強化を図る 中央化成工業(香川県)
A4ファイル例

消費者が商品を購入する上で重要な役割を担うのがパッケージ 商品の色彩をパッケージで忠実に再現することに細心の注意を払っている

プラスチック製包装資材の生産、加工に豊富な実績 ICTの活用でビジネスモデルの強化を図る 中央化成工業(香川県)
中央化成工業の森啓祐代表取締役

「パッケージは、商品を消費者にアピールして購買につなげる上で重要な役割を担っています。商品によってはパッケージで売上が大きく左右されることもあります。そのことを常に念頭に置いて日々の仕事に取り組み、環境の変化に応じて必要とされる商品、サービスを提供し続けていきたいと考えています」。高松市の中央化成工業の本社で、森啓祐代表取締役は日頃大事にしている思いについて話した。

「お客様からいただいたデザインの色彩をパッケージで忠実に再現することに細心の注意を払いながら、多様な用途のパッケージづくりに取り組んでいます。ラインナップにある商品以外でも、ご要望いただければしっかりと対応させていただきます」と森社長はにこやかに話した。

より迅速できめ細かいサービスを提供するため、グラビア印刷工場を買い取り

プラスチック製包装資材の生産、加工に豊富な実績 ICTの活用でビジネスモデルの強化を図る 中央化成工業(香川県)
中央化成工業のグラビア印刷工場

森社長は2016年、父親が創業した中央化成工業の社長に46歳で就任した。社長就任以来、蓄積された会社の技術、ノウハウ、取引先のネットワークを生かしながら新しい取り組みを進めてきた。社長に就任してから2年後の2018年には、パッケージのデザイン制作だけでなく製造にも対応できる体制を整えようと香川県木田郡三木町内のグラビア印刷工場を買い取った。印刷を外部に委託する必要がなくなったので、より迅速できめ細かいサービスを顧客に提供できるようになったという。

環境保護のため、バイオマスインキの採用、本社と工場の照明をLED化 SDGsの機運醸成に努める

プラスチック製包装資材の生産、加工に豊富な実績 ICTの活用でビジネスモデルの強化を図る 中央化成工業(香川県)
照明をLED化している中央化成工業の本社オフィス

攻めの経営姿勢とともに環境保護への対応にも力を入れている。本社と工場のすべての照明をLED化し、パッケージの印刷に使うインキは、環境に優しい植物由来の資源を用いたバイオマスインキを使っている。これら一連の活動の情報発信を通じて国連のSDGs(持続可能な開発目標)の機運醸成に取り組んでいる。

20キロ離れた工場とのやり取りに、クラウドストレージ活用 打合せはWeb会議でスケジュール管理や工程管理がスムーズになった

「ここ数年、コロナ禍を受けて社会でテレワークが普及するなどこれまで以上に時代の流れは大きく変化してきました。受注から納品までの所要時間の短縮につながる業務効率化、生産性向上、働き方改革、情報発信、人材育成といった様々な課題に取り組んでいくには、ICTやデジタル機器の活用が鍵を握ります。これまで以上にしっかりと考えていかなければならないと実感しています」と森社長は表情を引き締めて話した。

中央化成工業は、段階的にICTやデジタル機器の導入を進めている。その一つが、高松市内の本社と約20キロ離れた工場との情報共有に活用しているクラウドストレージサービスだ。工場は3色対応の印刷機と6色対応の印刷機を備え、5人の従業員が製造を担当している。受注案件の資料、印刷の工程表をクラウドストレージに保存し、必要な時はいつでも本社と工場に設置したパソコンから確認できるようにしている。「距離が離れていてもスケジュール管理や工程管理をスムーズに行うことができるのはクラウドストレージのおかげです」と森社長は話す。

距離が離れた本社と工場のコミュニケーションの手間をかけることなく円滑に行うために、ネットワークを活用したWeb会議システムにも注目している。電話でのコミュニケーションとクラウドストレージでの情報共有にWeb会議システムが加われば、本社の従業員が打ち合わせのために工場に赴く回数を減らし、その時間をほかの業務に充てることが可能になる。

自社で更新できるホームページ作成システムを活用し、自社商品の情報発信を機動的に行っている

プラスチック製包装資材の生産、加工に豊富な実績 ICTの活用でビジネスモデルの強化を図る 中央化成工業(香川県)
ホームページ作成システムを活用してホームページを編集する様子

中央化成工業は、2009年5月から豊富な商品ラインナップを写真付きで発信することを主な目的にホームページを開設している。更新作業を外部委託せず、自社で機動的に行うためにホームページ作成システムを活用している。プログラムや編集の詳しい知識がなくても簡単な操作で情報を更新できるのが大きな特長で、一回の作業でパソコンとスマートフォンの両方のサイトを更新する機能も備えている。閲覧者が見やすいホームページにするために定期的なリニューアルを心掛けている。

ホームページでは商品のラインナップや納入実績、人材の募集要項などを掲載している。「会社の取り組みを多くの人に知っていただく上でホームページは大きな役割を果たしてくれています。機能をフル活用することで情報発信を強化していきたい」と森社長。アクセス解析にも力を入れてホームページの内容に反映させていきたいという。

今後5年間を「第二の創業期」と位置づけ、働きやすい環境づくりを目指してクラウドサービスやNASを導入

プラスチック製包装資材の生産、加工に豊富な実績 ICTの活用でビジネスモデルの強化を図る 中央化成工業(香川県)
販売管理システムを活用する様子。クラウド化することで本社以外でも業務を行うことができるようになった

中央化成工業は、今後5年間を「第二の創業期」と位置づけ、既存事業の拡大や新規事業の創出を図るため、人材の採用と育成に力を入れている。働きやすい環境を作るためにICTとデジタル機器を積極的に活用していきたいという。2023年4月にはそれまで活用していた販売管理システムをクラウド化した。担当者が自宅など本社以外の場所から販売管理システムにアクセスして仕事をすることができるようになったので、ワークライフバランスの向上につながっているという。

2023年9月にはネットワークへの接続機能を備えたハードディスク、NASを導入した。現在は紙書類で保存している顧客、販売実績などの情報をデジタル化してNASに保存することで、営業で外回りをしている最中でも、パソコンやスマートフォンからアクセスして必要な情報の確認や更新ができるようになる。本社でなければできない業務を減らせば、その分、本社に戻る時間と手間が削減できるので、生産性の向上はもちろん柔軟な働き方も実現できる。

若手からベテランまでの幅広い年齢層が快適に働く環境整備と、ベテランから若手への知識・経験の伝承を図りたい

「これまでの仕事の進め方を大事にしながら、新しい技術をバランスよく活用することで、若手からベテランまで幅広い年齢層の従業員全員が、快適に働くことができる環境を作っていきたい」と森社長は話す。中央化成工業では、豊富な実績を持つ60代の3人のベテラン従業員が活躍している。更に営業力の強化を図ろうと2023年6月には30代・40代の従業員2人を新たに採用した。今後、ベテランから若手への知識、経験の伝承にもデジタル技術を活用していきたいという。

ICTとデジタル機器を活用して、生産工程の改善やオリジナル商品の開発、インターネット販売等、時代の変化に対応して成長路線へ

プラスチック製包装資材の生産、加工に豊富な実績 ICTの活用でビジネスモデルの強化を図る 中央化成工業(香川県)
中央化成工業の本社の外観

森社長は現在、グラビア印刷の技術を活用した新事業の開拓を検討している。「ICTやデジタル機器を活用して生産工程の改善やオリジナル商品の開発、インターネット販売にも取り組んでいきたい」と森社長は先を見据える。エコロジー素材や機能性が高い新素材の導入にも取り組んでいくという。

従業員に負荷をかけることなく事業を拡大し、その成果を給与増で還元する好循環を生み出すことを目指す中央化成工業。新しい挑戦にデジタル機器やICTは大きな役割を果たしてくれるに違いない。

企業概要

会社名中央化成工業株式会社
本社香川県高松市西ハゼ町127-3
HPhttps://chuo-kasei.com
電話087-867-2333
設立1971年10月
従業員数13人
事業内容プラスチック製品加工・販売、グラビア印刷