日本マーガリン工業会はこのほど4月度理事会を開催し、各委員会の活動内容を報告した。その中で、23年度の日本食品油脂検査協会への委託研究報告では、国内のマーガリン類、ショートニングのトランス脂肪酸含有量推移の取りまとめを行い、改めてトランス脂肪酸含有量は右肩下がりであり、技術的に限界に近いレベルまで低減されていることが確認された。
同報告書によれば、家庭用マーガリンのトランス脂肪酸含有量平均値は、1969年の15.0g(100g当たり)、1983年には9.1g(同)、2022年には0.7gと右肩下がりとなっており、パーム油への原料切り替えやエステル交換によるものだとする。
業務用ショートニングのみ3.7g(22年)となっているが、これは一部に部分水素添加油脂を使用したものが残っており、食感などの面から使用のニーズがあるためだと考えられるという。一方、平均値ではなく中央値では、業務用ショートニングも家庭用ショートニングや業務用マーガリンとほぼ変わらない数値まで低減されていることが示されている。
関連して飽和脂肪酸含有量については、家庭用マーガリンは07年から09年にかけて増加が見られ、部分水素添加油脂からパーム油などへの代替が推察される。09年以降は顕著な増加は見られないことから、近年のトランス脂肪酸低減の方法はエステル交換の利用などになっていると分析している。同工業会は改めて、「日本はWHOのトランス脂肪酸推の奨摂取量より相当低く、油脂業界の努力によりここまで低減されており、健康に悪影響与える水準ではない」としている。マレーシアのコーデックス油脂部会など海外ではトランス脂肪酸の上限値設定などが議論される流れにあるが、日本は摂取量の低さなどから国によって講じる措置に柔軟性が必要との意見を出しているという。
そのほか、食品産業センターが取りまとめる各団体の政策要望に対し、「食糧供給困難事態対策法案」に関して油糧種子も対象であることから、平時より国家間の関係や枠組み作りが重要だとし、インドネシアマレーシアなどパーム油生産国との間で定期的な意見交換などの関係構築を挙げた。
消費者庁の食品表示基準個別品表の見直しでは、例えば高齢者にとっては個別品表があった方が商品選択しやすいこともあり、業界の意見を反映してほしいとした。
また、24年物流問題の新たな法律(物資の流通の効率化に関する法案)が制定されれば各事業者が責務を負うことになる可能性があり、物流の実態を踏まえた運用を要望した。
日本マーガリン工業会とマーガリン公正取引協議会の24年度定時総会・理事会についても案内した。日本マーガリン工業会は5月15日午後4時から4時30分、公正取引協議会は同日16時30分から5時、千代田区大手町の「LEVELXXⅠシルバールーム」で開催する。
〈大豆油糧日報2024年4月24日付〉