三育フーズは2022年11月に植物たん白商品群の価格改定を実施している。最も売れているソーセージタイプの缶詰「リンケッツ」は値上げ幅が大きくなり、出荷数量にも影響が出たという。
パウチ容器の「大豆バーグ」や「大豆のボール」も同じ値上幅だったので影響が見られた。一方、業務用について平尾正弘社長は、「コロナの影響が一区切りしたので戻ってきている」と印象を語る。
卵乳菜食を掲げる 三育フーズは、使用する調味料を厳選しているが、海外工場の閉鎖により手に入らなくなった調味料もある。「限られた調味料の中で、使えないものが出てきてしまうのはかなり痛手だ」と述べる。入手が限られる調味料は、主力の「リンケッツ」や「コンベジ」にも使用している。「調味料を見直すとなると、開発のリソースが取られることになる」と課題を挙げる。
平尾社長は、2024年は商品仕様を見直し、付加価値を付けた製品づくりを目標に掲げる。「改定後の価格では消費者に受け入れられにくいことが分かったので作り直す必要がある」。付加価値を上げる方法の1つが、有機認証の取得だ。「有機認証は、原料ができるだけシンプルな方が取りやすい。植物たん白商品はさまざまな原料を使うが、『植物生まれのホワイトソース』は元々、有機のカシューナッツをメインに少数の原材料を使っているので、新たな有機製品にチャレンジしやすい」と説明する。「リンケッツ」や「ベジツナ」や「コンベジ」は使用原料が多く、有機化へのハードルは高いことから、価格に見合った付加価値を別の方法で付けていくことを目指す。
「植物生まれのホワイトソース」は2023年9月、フードアナリストが審査する「ジャパン・フード・セレクション」でグランプリを受賞した。「豆乳ではなく有機カシューナッツを使った植物性ホワイトソースで、ヴィーガン対応の点も評価された」。問い合わせが寄せられている業務用の開発も急いでいるという。
「コンベジ」は海外販売も視野に入れる。台湾では現「コンベジ」の「ソイーズ」を販売していた。それなりの出荷があったが、原料調達の問題で「コンベジ」にリニューアルした経緯がある。改めて台湾での販売も検討していくという。
〈大豆油糧日報2024年3月11日付〉