マネー教育
(写真提供=川口一晃)

先進国の中でも金融リテラシーが低いと言われる日本。子供のころからのマネー教育が欠けているのですからムリもありません。日本にもブタの貯金箱はありますが、米国のものは投入口が4つ。それぞれに「貯める」「使う」「増やす」「寄付する」と書いてあり、米国の子供たちは幼いころからこれら4つを意識しているそうです。

最近は若い世代や富裕層の中にも「寄付」に関心を持つ人が増えていますが、米国などと比べるとまだまだ寄付に関する意識は低いままです。前述した4つのキーワードから、わが子に伝えたいマネー教育を考えていきます。

お小遣いを4つの入り口から貯金する米国の子供たち

過去、日本でもロバート・キヨサキ氏の著書『金持ち父さん貧乏父さん』(筑摩書房)がミリオンセラーとなるなど、金融リテラシーへの関心は徐々に高まっています。ただ、子供を持つ親の世代が十分なマネー教育を受けてこなかっただけに、わが子へどのように伝えたらよいのかわからないのが現状です。

そこでヒントとなるのが、米国の子供たちが使っているブタの貯金箱です。日本でもブタの貯金箱はポピュラーですが、それは「お小遣いやお年玉を一生懸命貯めて、欲しいものが見つかったときに意を決してトンカチで割ってお金を取り出す」といったイメージではないでしょうか。

一方、米国のブタの貯金箱には投入口が4つあり、いつでも取り出せる仕組みになっています。投入口にはそれぞれ、「Spend」(使う)、「Save」(貯める)、「Invest」(増やす)、「Donate」(寄付する)と書かれています。

「Spend」(使う)は、欲しいものを買うためにお金を計画的に貯めるもので、これは日本の貯金箱と同様で、消費するためのお金です。Saveは貯めるという意味ですが、こちらは将来のための貯蓄を指します。Investは殖やす、つまり投資するための原資。そして、4つ目がDonateで、これは寄付を行うことで社会に役立つことを覚えるためのものなのです。つまり、子供にお小遣いを渡すときにこれら4つを意識させて、お小遣いを分散させるわけです。

日本人の金融リテラシー

早くから投資教育の重要性を説き、日本人の金融リテラシー向上に向けてさまざまな活動を行ってきた川口一晃さん(オフィスKAZ代表取締役)は言います。

「日本の金融機関も投資教育の重要性は十分理解しているはずです。その証拠に各金融機関も投資教育に関する小冊子などを積極的に作成しています。でも、銀行は貯蓄すること、生命保険会社は保険の重要性、証券会社は投資の必要性など、それぞれが自社商品に関連するものばかりでトータルで金融リテラシーに関して説いているものは非常に少ないのが現実なのです。

最近では、ネットバンキングやカード決済も普及してきたため、実際に現金を手にする機会も少なくなっています。それだけに十分なマネー知識のないご両親などは、わが子へのマネー教育に戸惑っているようです」

では、わが子に対して、まずはどのようなことから始めるのがいいのでしょうか?川口さんはフリーマーケットへの参加を進めています。米国では週末に家族が自らの不用品をフリーマーケットで売りに出します。値付けを子供と一緒に行うことで金銭感覚を身につけさせ、お金の流通の仕組みを理解させるのです。

「米国のフリーマーケットでは、子供が描いた絵を1ドルで売っていることもあります。大人たちはボランティアで買うこともあれば、センスのよい絵なら将来的な投資として購入してくれるかもしれません。そういう実践的なことでお金の仕組みを理解させるわけです」(川口さん)

ちなみに、日本でも「ふるさと納税」などにより年々寄付金額は増えていますが、米国に比べるとまだまだです。米国では年間30兆円以上(GDP費の1.44%程度)の個人寄付があるのに対し、日本は8000億円(同0.14%)にも届きません(文部科学省・寄付に関する基礎資料より)。

子どものころから始めるマネー教育

「小さなお子さん相手なら、絵本を使って経済を学ぶ手もあります。オススメは『レモンをお金にかえる法』(河出書房新社)という絵本です。これは、米国出身のアームストロング・ルイズとビル・バッソによる経済学をやさしく学ぶための絵本で、日本語訳も出版されています。

ある女の子がレモネード店を始めることで、市場価格や初期投資、ライバルの登場による価格競争、さらには労働者の不満に発するボイコットやストライキなど、ユニークなストーリーとイラストを通じて、気がつけば経済学を学んでいるという内容です」(川口さん)

日本人の美意識として、「お金のことを話すのは恥ずかしいこと」というのがあったとすれば、それはもう過去の話です。将来、わが子がお金に困らない生活を送るためにも、物心ついたときからお金の仕組みや使い方を理解させることが大切なのです。

文・THE OWNER編集部