矢野経済研究所
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2020年度の国内の屋内位置情報ソリューション市場は前年度比31.0%増の50億3,000万円に拡大と予測

~省力化や自動化、安全性向上などを目的に、製造業の生産現場や倉庫、オフィス、病院等での利用が進展~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内の屋内位置情報ソリューション市場を調査し、需要分野別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

屋内位置情報ソリューション市場規模推移・予測

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1.市場概況

2017年度には20億円程度とさほど大きくない市場であったが、2018年度の国内の屋内位置情報ソリューション市場(事業者売上高ベース)は前年度比41.6%増の28億6,000万円まで成長した。
現在、屋内位置情報サービス/ソリューションを活用している需要分野としては製造業やオフィス、病院などで、業務用途として生産現場や倉庫、オフィス、病院内で人やモノの位置を明らかにして、省力化や自動化、安全性向上などを目的に利用されている。2019年度の屋内位置情報ソリューション市場は、前年度比34.3%増の38億4,000万円に拡大する見込みである。 但し、市場は依然として黎明期に近い状況であり、市場への参入・撤退が活発に行われている一方で、継続して市場参入しているベンダーにおいても、着実に業績を拡大しているベンダーとこの数年間ほぼ横ばいのベンダーに二極化している状況である。

2.注目トピック

参入企業の動向について

市場は黎明期に近い状況にあり、ベンダー各社が幅広くさまざまな業種、業態にトライしている。各社が自社の強みを活かしながら、提供するサービス/ソリューションのターゲットを具体的に設定し、その需要分野に特化した展開を図る動きになってきていると言える。
中でも、中心となるターゲットは、主としてB2B、つまり業務用途が中心になってきている。特に製造業、オフィス、病院等である。一方で、数年前には大いに期待された大規模な商業施設や、駅や空港、市庁舎などの公共施設向けに注力しているベンダーは減少傾向にある。ターゲットの設定は、屋内位置情報などのイノベーティブなソリューションにおいては非常に重要であると考えられ、具体的なターゲットに向けた明確な投資効果を設定して訴求していくことによって、次第に市場に受け入れられるものであると考える。

3.将来展望

製造業の生産現場や倉庫、オフィス、病院などで引き続き利用が進むことから、2020年度の屋内位置情報ソリューション市場(事業者売上高ベース)は、前年度比31.0%増の50億3,000万円に達すると予測する。その後もベンダー各社の需要分野に特化し、展開を図る動きが順調に進展することにより、2025年度の屋内位置情報ソリューション市場は120億円まで成長すると予測する。