父と40年ぶりに会いたくてイタリアへ。国際映画祭で受賞した映画監督が伝えたい“家族愛”

武内剛さんは、日本人の母親とカメルーン人の父親を持つハーフで、アメリカ・ニューヨークへの留学時に演劇を学びました。帰国後に「ぶらっくさむらい」の名でお笑い芸人としてデビュー。R-1ぐらんぷりや歌ネタ王など、テレビやライブで活躍しました。独立後は講演やドキュメンタリー映画制作など多方面に活躍の場を広げる武内さんに、これまでの経緯や現在の活動について伺いました。

ニューヨーク留学が人生の転機に

私は現在、自分の人生の課題でもあった”生き別れた父親に会うこと”をテーマとして描いたセルフドキュメンタリー映画の監督兼プロデューサーとして、作品の全国公開に向け動いています。

父と40年ぶりに会いたくてイタリアへ。国際映画祭で受賞した映画監督が伝えたい“家族愛”

私は母が日本人、父がアフリカ人のいわゆる“ハーフ”で、名古屋市で生まれ育ちました。母は留学先でもあったイタリアにて、同じく留学生だった父と出会い、日本で私を出産したのですが、インターネットもない時代ですので遠距離での関係を続けるのは難しく、私が2歳の時にイタリアにて1度だけ父と会ったのを最後に、関係は途絶えてしまいました。

若い頃の私は、ハーフで見た目が人と違うことなどアイデンティティについて悩んでいました。高校卒業後は就職も進学もせず、しばらくダラダラしていたんですが、「どうしようもない自分を変えなければ!」と一念発起し、当時大好きだったアメリカの音楽やエンターテイメントを学ぶため、お金を貯めてニューヨークに留学しました。

ニューヨークは、ご存知の通り、“人種のるつぼ”で、誰も他人に干渉せず、自由で多様な価値観を皆が自然に受け入れている、私にとっては夢のような場所で、この時の留学が私の人生にとって大きな転機となりました。演劇学校に3年間通い、卒業後は役者として幾つかの舞台を踏み、2012年に帰国しました。

帰国してすぐに芸能事務所(SMA)に所属しお笑い芸人としてデビュー、テレビなどで活動しておりました。「エンタの神様」や「おはスタ」など有名な番組に出演させて頂いた経験は、後に大きな財産となりました。

その後、事務所をサンミュージックに移籍し活動していましたが、コロナウイルスの影響もあり2020年に退所。活動の幅を広げる中で、ずっとモヤモヤしていた父の存在が頭に浮かび、彼に会いに行くことを決意。そしてその様子を撮影して映画をつくろうと思い立ちました。

自主制作の映画が国際映画祭で受賞

父と40年ぶりに会いたくてイタリアへ。国際映画祭で受賞した映画監督が伝えたい“家族愛”

映画のことなど何も分からなかったので、とりあえずクラウドファンディングで130万円ほどの資金を集め、そのお金をもとに父がいるとされるイタリア・ミラノにカメラマンと共に出発、父の捜索と撮影を決行しました。

父に関する手がかりは名前と写真以外に殆どありませんでしたので、人口130万人を超える大都市ミラノでの捜索は難航しました。

資金の関係で滞在できる日数も限られていたなかで、ついに父と以前付き合いがあったという人物まで辿り着き、、、あ、ここから先は劇場にて本編をお楽しみください!

父と40年ぶりに会いたくてイタリアへ。国際映画祭で受賞した映画監督が伝えたい“家族愛”

自主制作映画という特性上、日本で配給、公開していくにあたっての、映画の価値を上げるための戦略として、ワールドプレミアの地をアメリカにしようと決めました。

そして2023年4月に作品完成後、ニューアーク国際映画祭で世界初上映。その際、昔の演劇仲間や、学校の先生が観に来てくれたことは忘れがたい思い出になりました。

ボルチモア国際映画祭では日本人監督として初の最優秀長編国際映画賞とオスカー・ミショー賞のW受賞に輝き、11月に行われたライジングサン国際映画祭でのジャパンプレミアにおいてもゴールデンサン賞を獲得。

父と40年ぶりに会いたくてイタリアへ。国際映画祭で受賞した映画監督が伝えたい“家族愛”

「さて、これで日本での公開に向け弾みが付いた!」というところで、また資金が尽きてしまったため、ここにきて再度、映画の配給宣伝費を募るためのクラウドファンディングを行うことにしました(CAMPFIREにて1/28まで実施中!)

悩みや問題を抱えている人に伝えたいメッセージ

父と40年ぶりに会いたくてイタリアへ。国際映画祭で受賞した映画監督が伝えたい“家族愛”

私は色んな複雑な気持ちを抱きながら今まで生きてきましたが、でもひとつだけ両親に言いたい事は、「僕を生んでくれてありがとう」です。

誰もが少なからず自分の家族について、悩みや問題を抱えているのではないでしょうか。

親子の関係とは何かを模索している人、心に蓋をしたままの何かを抱えている人、画一性を求められる社会で生きづらさを感じている人などなど…この映画が人生を動かす勇気を与えられたら良いなと思います。

また今回のクラファンでは支援金の一部を、面会交流支援活動をしている団体に寄付させていただきたく思っております。

『面会交流支援団体』とは、両親の離婚など、さまざまな理由で離ればなれになってしまった親子・家族が会って話したり、定期的・継続的に「家族の時間」を過ごす機会の提供をサポートしている団体で、ほとんどボランティアによって運営されているのが実情です。

親子の関係は社会の礎となるもので、特に子どもというのは社会の宝、未来です。子どもが幸せに育ってこそ、社会、国、そして世界が幸せになるのではないでしょうか。私の映画によってこうした団体の存在意義や親権にまつわる問題などがより広く周知され、色んな議論につながれば良いなと考えています。

笑いあり涙ありのポジティブで、幅広い層の人が共感できる映画が出来たと思っております。映画に興味を持っていただけるだけでも非常に嬉しい限りですので、もしよろしければ、映画「パドレプロジェクト」の応援のほど、何卒よろしくお願いいたします。
クラウドファンディング1/28まで実施中! ⇨ https://camp-fire.jp/projects/view/727123