世界トップクラスのシェアをもつデンマークの補聴器メーカーの日本法人GNヒアリングジャパンは、Bluetoothの最新規格「Auracast ブロードキャスト・オーディオ」に世界初対応した次世代補聴器「リサウンド・ネクシア」を1月30日から発売する。この発売に先立ち、1月16日に開催された記者勉強会では、新製品の概要について紹介した他、管理栄養士・医学博士の本多京子先生が、75歳まで現役で働くための「耳年齢」貯金という考え方について講演、また、Bluetooth SIG 取締役会メンバーの足立克己氏が、「Auracast ブロードキャスト・オーディオ」が拓く未来に関して講演を行った。
「GNヒアリングは、150年にわたりコミュニケーションと聴覚ソリューションの革新をリードしてきた。我々は、人と人を結び付けていくことを使命としており、一貫して補聴器装用者とその家族の利便性を向上させるため、新たなイノベーションをいち早く市場に提供してきた」と、GNヒアリングジャパン代表取締役社長のマーティン・アームストロング氏が挨拶。「今回、次世代補聴器の先駆けとして『リサウンド・ネクシア』を発売する。同製品は、補聴器史上最小サイズ(充電式RIE)を実現しながら、日常生活で高音質を体験でき、騒音下でも最高の聞こえを提供する。さらに、Auracast ブロードキャスト・オーディオによる次世代接続機能を搭載し、対応端末からのクリアな音声が直接耳に届く。これによって、装用者は多くのシーンでメリットを得ることができる」と、難聴者の人生を変える最高品質の補聴器が完成したと胸を張っていた。
続いて、管理栄養士・医学博士の本多京子先生が、「75歳まで現役で働くための『耳年齢』貯金という考え方」と題した講演を行った。「超高齢社会に入りつつある日本において、75歳まで現役で働くためには、『自立』『老い』『情報』の3つの要素がポイントになる。例えば自立では、自分のご飯を自分で工夫して食べること。そして、老いには抗わず、誰の話も丁寧に聞き、時代の変化を素直に受け入れて楽しむことが大切になる」と、人の話をよく聞いて変化を受け入れることが75歳まで働くためのポイントだという。「また、耳、目、歯などの定期健診に先端技術を取り入れ、50代から準備しておくことを推奨している。中でも一番気が付きにくいのが、ゆっくりと落ちる聴力の衰え。毎年誕生日に聴力検査をするなど定期的にチェックをしてほしい。聞こえにくくなると会話が減り、だんだん人と会わなくなり、ひきこもり傾向になってしまう」と、50代から聴力をケアして孤独なシニアにならないでほしいと訴えた。
「歳と共に体力は落ちていき、当たり前だが目も耳も能力は落ちていく。そこで、75歳まで元気で働くためには、普段の暮らしの中で3つの『貯金』が必要だと感じている。1つ目は『筋肉貯金』。あえて階段のある家に住むことで筋肉を貯金できる。2つ目は『手間貯金』。料理の下ごしらえなどは、まとめてやっておくと手間が省けて時短になる。そして、3つ目が『耳年齢貯金』。ラジオや朗読を活用することで、耳を使って聞き流しながら情報を得ることができる。聞くだけなら他のことも同時にできるので、時間を有効に使える」と、75歳まで働くための3つの「貯金」について教えてくれた。最後に本多先生は、手間貯金と耳年齢貯金を意識した“聞こえ”にいい簡単レシピとして、「冷凍ブロッコリーとツナ缶の簡単さっぱり和え」と「納豆のサクサク餃子」を紹介。「料理の美味しさの決め手の一つは、サクサク、カリカリなど骨の振動で伝わる骨導音だと思っている。また、食事だけでなく料理をするときも五感を刺激する。毎日の料理や食事で五感を使って、聴力を衰えを予防してほしい」とアドバイスしてくれた。
次に、Bluetooth SIG 取締役会メンバーの足立克己氏が、「Auracast ブロードキャスト・オーディオ」が拓く未来について説明した。「Bluetoothでは、より高性能なBluetoothオーディオ製品を実現する『LE Audio』を基盤として、Bluetooth補聴器向けの標準規格を策定している。これによって、Bluetooth補聴器の性能向上と共に、これまで限られていた製品の選択肢が豊富になり、グローバルな相互運用性も可能になった」と、Bluetooth補聴器の標準化の取り組みについて紹介。「そして、さらに魅力的で新しいオーディオ体験を実現するべく、新技術『Auracast ブロードキャスト・オーディオ』(以下、Auracast)を発表した。『Auracast』を活用することで、1台のBluetoothデバイスから範囲内にある無制限の数のデバイスに向けたオーディオ送信が可能になる。これによって、家族や友人とのオーディオ体験の共有や、公共の場にある無音テレビのミュート解除、オーディオのより良い聞こえを通じた生活の質向上が期待できる」と、新規格「Auracast」がもたらす新しいオーディオユーザー体験について解説した。「現在、オーディオエコシステムを構成する業界各社が『Auracast』の実用化に向けて連携している。将来的には、駅・空港・病院等の公共放送システムや、トレーニングジム・待合室等のサイレントスクリーン、博物館・美術館等のツアーガイドシステムなどに『Auracast』の対応を広げていきたい」と、今後の展開に意欲を見せていた。
次世代補聴器「リサウンド・ネクシア」の概要については、GNヒアリングジャパン マーケティング部プロダクトマネージャーの大久保淳氏が紹介した。「『リサウンド・ネクシア』は、世界で初めて『Auracast』を搭載した次世代のBluetooth補聴器となる。『リサウンド・ネクシア』の装用者は、『Auracast』の普及拡大にともない、補聴器を通して公共の場での重要なアナウンスを聞いたり、いつでも好きな時に音声をストリーミングしたり、家族や友人と音声を共有したりすることが可能になる」とのこと。
「また、『リサウンド・ネクシア』とあわせて、『Auracast』を搭載した新製品『TVストリーマー+』も用意する。『TVストリーマー+』をTVやオーディオ、パソコンに接続することで、『リサウンド・ネクシア』の装用者は、その音声を直接高音質で、複数人で楽しむことができるようになる」と、「リサウンド・ネクシア」と組み合わせて利用するAuracast対応のアクセサリー製品についても発表した。
「さらに『リサウンド・ネクシア』は、騒音下での会話が聞き取りにくいという従来の補聴器の不満を解消するため、4つのマイクでの両耳ビームフォームと無指向性モードを組み合わせることによって、様々な方向からの音を捉え、多様な状況において自動的に最適な聞き取りを可能にした。また、Bluetooth LE Audioに対応し、他の対応機器と複数同時接続やハンズフリー通話を可能にし、バッテリー消費を大幅に抑えながら高音質を実現する」と、補聴器の聞き取り性能がさらに進化したのだと力説する。
「製品のサイズは、業界最小の充電式外耳道内レシーバ耳かけ型(マイクロRIE)を実現し、スタンダード外耳道内レシーバ耳かけ型(RIE)よりも25%小型化している。マイクロRIEは、人間工学と機械工学を考慮して作り上げており、マイクロホンの性能と装着時の快適性を最適化する一方で、スタンダードRIEのすべての技術と機能を搭載している」と、業界最小サイズでありながら快適なデザインで、高度な技術と最先端の機能が凝縮されていると話していた。
[「リサウンド・ネクシア」製品概要]
発売日:1月30日(火)
耳かけ型:外耳道内レシーバ耳かけ型(RIE)
対応聴力(9/7/5/4の4クラス):
リサウンド・ネクシア マリー 軽度~中等度
リサウンド・ネクシア 軽度~重度
小売価格:
片耳 22万3000円~63万8000円
両耳 41万3000円~124万3000円
(すべて本体は非課税、バッテリー付き充電器(3万3000円・税込)を含む)
GNヒアリングジャパン=https://www.resound.com/ja-jp/