2024年以降の日本企業による対マレーシア投資予測
対マレーシア投資を語るうえで、今外せないキーワードは「ハラール(ハラル)産業」です。
特定非営利活動法人 日本ハラール協会のウェブサイトによると「ハラールとは、神さまと預言者ムハンマドが(クルアーンとハディースの中で)ムスリムに対して許可したもの」とのこと。つまり、「ハラール産業」は、イスラム教徒向けの商品やサービスなどに関わる産業を指します。
ディスカウントストアとして人気の「ドン・キホーテ」のパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスでは、昨今、海外版店舗とも言える「DonDonDonki」をASEAN地域にて破竹の勢いで拡大しており、マレーシアの店舗増加と共にハラール商品の取り扱いも増やしています。
これは、世界的に認められたハラール認証機関(JAKIM、マレーシアイスラム開発庁)を持つマレーシアを、巨大なイスラム市場へのゲートウェイとして本格的に活用し始めた日系企業の先駆的な取り組みのひとつと言えるでしょう。
また、マレーシアは国策としてハラール産業を推し進めており、JAKIMと相互認証をしているハラール認証機関は全世界で46の国と地域で84団体にまで上るそうです。
現在、マレーシア国内だけだと人口3,000万人程度のハラール市場ですが、全世界では2030年までに22億人まで増加すると考えられています。欧米先進国やアジア新興国など、ムスリムが多数派を占めていない国においても人口増加が予測されており、現在ハラール産業にてフロントランナーであるマレーシアにおいては、輸出品やインバウンド需要においても重要性がさらに増すと考えられます。 ※出典:レポート ハラール産業(SPEEDA)
ここで、M&Aに話を戻すと、この成長市場であるハラール市場において「ハラール × 日本食(製品)」という組み合わせでの需要は増加していくといえます。特に和牛などの肉製品はハラル認証を新たに取得する企業も増えてきており、日本からイスラム市場を擁する諸外国への輸出等も期待できます。それに付随して、食品卸等の流通、それに伴うコールドチェーン等への投資もますます進むものと想定しています。
また食品に限らず、医薬品やボディソープ等のトイレタリーもハラール認証製品は広がっており、今後ますますハラール関連の投資がマレーシアで活発になっていくと予想します。