【金融業界で話題】RWAとは?現実資産をトークン化するメリットや活用事例を紹介

RWA(Real World Asset)は、現実世界に存在する資産を指す言葉です。

現在のDeFi(ディーファイ)業界では、RWAに大きな注目が集まっており、今後のトレンドになっていくことが予想されます。また、資産の流動性向上や金融取引のコスト低下など、さまざまなメリットがあるのが特徴です。

本記事では、RWAを活用するメリットやRWAのトークン化について解説します。
RWAに興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

  1. RWA(Real World Assets)とは?
  2. RWA(Real World Assets)のトークン化が金融業界に与える影響
  3. RWA(Real World Assets)を活用するメリット
  4. RWA(Real World Assets)の具体的な事例
  5. RWA(Real World Assets)の将来性
  6. RWA(Real World Assets)のまとめ

RWA(Real World Assets)とは?

本項では、RWAの基本概念とRWAのトークン化のメカニズムについて解説します。

RWAの基本概念

RWA(Real World Assets)とは、現実世界に存在する資産を指す言葉です。

例えば、株式や債券、不動産、美術品などです。また、知的財産である特許や商標、企業ブランドなどの無形資産もRWAに含まれます。

近年では、ネットワーク上に存在する「デジタル資産」や「暗号資産」の発展により、RWAと暗号資産の区別が必要になってきた為、RWAのトークン化が進められています。

RWAのトークン化のメカニズム

RWAのトークン化のメカニズムは、基本的に、不動産、貴金属、美術品、収集品のような有形のものとリンクした「仮想の投資商品」をブロックチェーン上に作り出すことです。

つまり、有形のものが完全になくなるのでなく、所有権がオンチェーン化されることになります。これは個人間で直接取引することも可能で、分割化して多くの人に提供し、購入してもらうこともできます。

RWA(Real World Assets)のトークン化が金融業界に与える影響

RWA(Real World Assets)のトークン化が金融業界に与える影響は、大きく分けて以下の2点が挙げられます。

・DeFi市場への影響
・資金調達のハードル低下

それぞれ確認していきます。

DeFi市場への影響

DeFi(ディーファイ)とは、ブロックチェーン上に構築される金融サービスやエコシステムの総称です。

DeFiサービスで預け入れされている総資産は、2021年12月には約1,000億ドルとなり、2020年末の約4倍に達しています。総資産が大きいほど、その市場の関心度が高いと予想されます。

このように、DeFi市場をさらに拡大できる可能性があるのが「RWAのトークン化」です。これまで物理的な取引が主流であった金融とブロックチェーンが融合したことで、DeFiで取引されるようになれば、DeFiの市場規模はさらに大きくなるでしょう。

資金調達のハードル低下

事業主や企業が新規事業のために資金調達するには複数の手続きや審査が必要です。

この手続きには、時間や金銭的コストがかかる為、小規模事業者が大型資金調達を行うことは簡単ではありません。

しかし、RWAトークンを発行すれば、ブロックチェーン技術によって透明性を保ったまま、投資家から直接的な出資を受けられます。

また、証券会社をはじめ銀行や保険会社等を通じた資金調達よりも容易な資金調達が可能になるでしょう。

RWA(Real World Assets)を活用するメリット

RWA(Real World Assets)を活用するメリットは以下の3点が挙げられます。

・24時間365日取引が可能
・コスト削減
・透明性の向上

詳しく解説していきます。

24時間365日取引が可能

RWAをトークン化することで、24時間365日取引が可能です。

例えば、不動産売買の取引は不動産会社の営業時間内しか対応できませんが、RWAトークンだと好きな時間に取引できます。

RWAがトークン化されることで、暗号資産の性質上24時間365日、土日祝日も取引可能です。

コスト削減

RWAをトークン化することで、仲介業者(第三者)を媒介せず直接取引できます。

現実世界の資産を取引する際は、仲介業者を通した取引が多いです。例えば、不動産仲介や金融取引に関わる銀行・保険などです。

基本的に現実世界の資産は仲介業者が媒介しますが、RWAをトークン化することで個人間で取引できます。その為、これらの仲介業者に支払っていた「管理手数料」や「仲介料」などの各種コストを削減できます。

透明性の向上

RWAをトークン化することで、より透明性の高い取引が可能です。

現実資産をブロックチェーン上にトークンとして発行すれば、過去の取引履歴などが追跡・確認できます

現実資産を購入する際に過去の所有者や売買履歴の情報を把握するのは難しいです。例えば、美術品などの詳細な取引履歴を知るのはほぼ不可能でしょう。

しかし、RWAトークンであれば、過去の所有者などの情報を簡単に確認できます。これにより、不正な取引が発生しにくく、より透明性の高い取引ができます。

RWA(Real World Assets)の具体的な事例

本項では、RWA(Real World Assets)の具体的な事例とRWAトークン化の将来性について解説します。

実際の事例紹介

金利上昇が続く中で、「米国債のトークン化」市場が注目を集めています。

データサイト「RWA.xyz」によると、この市場のプロトコルに預けられた総価値は、年初の約1億ドルから10月30日時点には6億9800万ドル(約1050億円)まで成長しています。

RWAモニタリング・プラットフォームの「RWA.xyz」の共同設立者チャーリー・ユー(Charlie You)氏は、成長は既存プラットフォームの成長のみならず、新規参入によって拍車がかかったとニュースレターで述べました。

また、暗号資産投資プロダクトを手がける「21.co」はレポートで、トークン化資産市場は今後10年間で10兆ドル(約1500兆円)規模に成長する可能性があると述べています。
RWA(Real World Assets)の活用事例として、NOT A HOTEL株式会社が不動産を裏付けとするRWAトークン「NOT A HOTEL COIN(NAC)」の発行を検討しています。このトークンは、同社が開発する不動産に宿泊できる権利を提供するものです。

一方、シンガポールのWeb3スタートアップVELVETTは、NFTマーケットプレイスUnikuraをリリースしました。Unikuraでは、トレーディングカード、腕時計、現代アートなどのコレクターズアイテムの所有権をデジタル化し、NFTとして売買できます。

RWAのデジタル化とトークン化で、新しい資産管理と取引の形を示しているのかもしれません。

RWAトークン化の将来性と課題

暗号資産投資プロダクトを手がける「21.co」は、暗号資産や法定通貨、株式、国債、不動産などの伝統的なアセットクラスを組み合わせることは、前例のない成長を遂げていると述べています。

また、トークン化資産の市場価値は、2030年までに弱気シナリオで3.5兆ドル(約525兆円)、強気シナリオで10兆ドルになると推定していると述べました。

一方で、RWAトークン化の課題も問題視されています。例えば、RWAはオンチェーンでの交換や移転に際して、法的な制約や規制があります。また、高いコストや時間がかかることも考えられます。

RWAはオンチェーンでの管理や運用に専門的な知識や経験が必要なので、信頼できる資産発行者やサービスプロバイダーとの協力が不可欠です。

RWA(Real World Assets)の将来性

現在、RWAをトークン化する事例はさまざまありますが、その大半はステーブルコインです。ステーブルコインとは、取引価格が安定することを目的に、米ドルや金などの資産と連動するように設計された暗号資産の一種です。

今後は、現実資産である米ドルなどの法定通貨がトークン化されたステーブルコインの普及が進めば、誰でも簡単に取引できるでしょう。

また、ステーブルコインの普及により、RWAをトークン化する認知度が高まり、資産をトークン化することが一般的になっていくかもしれません。

RWA(Real World Assets)のまとめ

RWAのトークン化は暗号資産市場でも話題のトピックです。

資産運用会社もトークン化技術に注目しており、市場規模拡大が期待できます。また、金融業界を大きく変える可能性もあります。

実際に現実資産をトークン化することで、流動性やアクセス性、透明性などのメリットがあるでしょう。しかし、現状では法的な制約や規制があるのも事実です。

Web3は、発展途上のジャンルなので、ある程度長期的な目線で動向をチェックしていきましょう。