長時間労働の是正や多様で柔軟な働き方の実現に「取り組んでいる」事業所の割合は81%、同一労働同一賃金など雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保の実現に「取り組んでいる」事業所の割合は63%にのぼっていることが、厚生労働省の11月の労働経済動向調査で明らかとなった。

働き方改革は8割超、同一労働同一賃金の実現は6割超の事業所が着手

長時間労働の是正や多様で柔軟な働き方の実現に「取り組んでいる」事業所の割合は調査産業計で81%、「改善の必要がない職場環境である(長時間労働は行われていない、多様で柔軟な働き方をするような性質の仕事ではないなど)」で12%、「取り組んでいない」で6%となった。

「取り組んでいる」事業所について取組内容(複数回答)をみると、「業務の効率化を進める」が66%で最も割合が多く、次いで「時間外労働の事前申告制」が57%、「長時間労働抑制に関する数値目標の設定」が45%などとなった。

【長時間労働の是正や多様で柔軟な働き方の実現への取組内容トップ5】
業務の効率化を進める 66%
時間外労働の事前申告制 57%
長時間労働抑制に関する数値目標の設定 45%
省力化投資(機械化・自動化、IT化)を行う 43%
「フレックスタイム」等の柔軟な就業時間管理 32%

同一労働同一賃金など、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保の実現に向けて「取り組んでいる又は取り組んだ」事業所の割合は調査産業計で63%、「検討の結果、待遇の見直しは必要ないと判断した」で21%、「取り組んでいない」で7%、「異なる雇用形態が存在しない」で6%となった。

「取り組んでいる又は取り組んだ」事業所について取組内容(複数回答)をみると、「諸手当」及び「福利厚生」が55%で最も割合が多く、次いで「基本給」が51%などとなった。

2023年11月1日現在の正社員等の労働者過不足判断D.I.(「不足(やや不足、おおいに不足)」と回答した事業所の割合から「過剰(やや過剰、おおいに過剰)」と回答した事業所の割合を差し引いた値)は46ポイントとなり、2011年8月調査から50期連続の不足超過となった。

全ての産業で不足超過となっているが、特に「建設業」(60ポイント)、「運輸業,郵便業」(59ポイント)、「医療・福祉」(57ポイント)で人手不足を感じている事業所の割合が多い。

一方、パートタイムの労働者過不足判断D.I.は29ポイントで、2009年11月調査から57期連続の不足超過となった。

特に「宿泊業,飲食サービス業」(51ポイント)、「生活関連サービス業・娯楽業」(49ポイント)、「サービス業(他に分類されないもの)」(47ポイント)で人手不足を感じている事業所の割合が多い。

11月1日現在、未充足求人がある事業所は58%。産業別に見ると、「医療・福祉」(73%)、「サービス業(他に分類されないもの)」(69%)、「運輸業,郵便業」64%、「宿泊業,飲食サービス業」(64%)などとなった。

2023年7~9月に中途採用を実施した事業所は全体の63%となり、前年同期を2ポイント上回った。

産業別に見ると最も多いのは「医療、福祉」(80%)、次いで「サービス業(他に分類されないもの)」(73%)、「宿泊業・飲食サービス業」(71%)が続いた。

2023年10~12月に中途採用を予定している企業は61%で、前年同期と比べて2ポイント上昇した。

調査は、2023年11月1日現在の状況について11月1日~7日に実施し、主要産業の30人規模以上の事業所のうち5780事業所を抽出して、2764事業所から有効回答を得た。

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