親や配偶者、あるいはそれ以外の親族が亡くなったときも、大きな悲しみに包まれることでしょう。
しかし、悲しんでばかりはいられません。
身内の方が亡くなったと同時に、さまざまな手続きを行わなければならなくなるタイミングでもあるのです。
ここでは、身近な人が亡くなった場合に行わなければならない手続きの内容を解説します。
身内が亡くなった直後に必要となる書類
⑴死亡診断書・死亡検案書
亡くなった人がいると、その死亡を証明するために、亡くなった人の氏名やその死亡の原因などを記した死亡診断書や死亡検案書が必要となります。
<死亡届を提出する前後の流れ>
引用元:厚生労働省 平成31年度版死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル
死亡診断書
身内の方が病気やのために病院や自宅で亡くなった際には、その亡くなった瞬間に立ち会った医師やその死亡を確認した医師から死亡診断書を交付してもらいます。
死亡検案書
継続的に診療中の病気のために亡くなった場合は死亡診断書が作成されますが、それ以外の場合には死亡診断書を作成することはできません。
不慮の事故により亡くなったような場合は、医師によって遺体の検案を行わなければなりません。
検案によって異常死であると判断された場合には、警察署に届出をすることとなります。
この時、検案を行った医師によって死体検案書が交付されます。
死亡診断書や死亡検案書の交付
死亡診断書や死亡検案書は、亡くなったことが判明した当日か翌日に交付してもらいます。
なお、死亡診断書や死亡検案書に遺族の方が記載する項目はないため、そのまま使用することができます。
交付された死亡診断書・死亡検案書は後ほど市町村役場に提出しますが、別の手続で必要となる可能性があるため、その提出前にコピーをとっておくといいでしょう。
身内が亡くなった直後に必要となる書類
⑵死亡届
死亡届は、亡くなった人の戸籍を抹消するために、死亡診断書または死亡検案書と一緒に届出をする書類のことです。
亡くなった人本人が提出することはできないため、提出すべき人が決められているほか、その提出の期限などが定められています。
引用元:法務省 「死亡届」
死亡届の提出義務者
死亡届の提出義務者は、①同居していた親族、②親族以外の同居人、③家主や地主、その家屋や土地の管理人や後見人などが該当します。
①、②、③の順番が定められていますが、番号が若い人が必ず提出しなければならないわけではないため、①に該当する人がいても②や③の人が提出することも可能です。
死亡届の提出期限
死亡届は、提出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内にしなければなりません。
また、海外で死亡した場合には、その死亡を知った日から3ヵ月以内に提出しなければなりません。
死亡届の提出先など
死亡届は、①亡くなった人の死亡した場所、②亡くなった人の本籍地、③届出を行う人の現在の住所地のいずれかの市区町村役場に提出することとなります。
死亡届の用紙は、死亡診断書や死亡検案書と一体になっているため、通常、市区町村役場で書類を入手する必要はありません。
死亡届の記載事項を確認して、提出義務者が記入しなければならないこととされています。
また、提出義務者は死亡届への署名・押印を行わなければなりません。
また、死亡届の記入は提出義務者が行わなければなりませんが、実務上は、死亡届の提出と同時に埋葬許可申請を行うことが多いため、死亡届の提出は葬祭業者が行うことが多くなっています。
身内が亡くなった際に必要となる書類
⑶火葬許可申請書
亡くなった人を火葬・埋葬するためには、火葬許可証や埋葬許可証といった書類が必要となります。
そのため、最初に行うのが火葬許可申請書の提出です。
埋葬までの流れ
亡くなった人をお墓に埋葬するためには、さまざまな許可が必要であり、そのための手続きを行わなければなりません。
最初に、火葬許可申請書を市区町村役場に提出します。
通常は死亡届を退出するのと同時に行われますが、これは火葬許可申請書が死亡届と同じく、亡くなった事実を知った日から7日以内に提出しなければならないと定められているためです。
火葬許可申請書を提出後、市区町村役場で適正に処理されると火葬許可証が交付されます。
この許可証は、火葬場で遺体を火葬する際に必ず必要となる書類です。
火葬場で火葬を行う際に火葬許可証を提出し、実際に火葬が行われると、埋葬許可証が交付されます。
この埋葬許可証は、墓地に埋葬を行う際に必要となるものです。
実際に埋葬までの時間はあっという間に過ぎてしまいます。
また、身近な人が亡くなった直後ということで精神的にショックを受けることもあるでしょうし、遺族として葬儀の準備などほかにしなければならないことも多いため、実際には火葬許可申請書の提出は葬祭業者によって行われ、その後の手続についても葬祭業者から詳しく説明があるケースが多いようです。
火葬許可証の必要性
火葬許可申請書を提出するのは、市町村役場から火葬許可証をもらうためです。
この火葬許可証がなければ火葬場で火葬を行うことはできません。
ところで、火葬許可証が火葬に必要なのはなぜなのでしょうか。
それは、火葬に関する法律の規定に関係しています。
「墓地埋葬等に関する法律」には、亡くなった後24時間を経過してからでなければ火葬を行うことはできないと規定されています。
この法律ができた背景には、死亡判断の技術がまだ未整備だった昭和20年代、亡くなったと思われた人が蘇生することがあったため、そのような死亡の判断ミスを防ぐ狙いがあったといわれます。
現在では死亡したとする判断は正確なものとなっていますが、この法律は残されたままとなっており、間違いなく死後24時間を経過してから火葬を行うために火葬許可証が必要とされるのです。
まとめ
亡くなった人がいる場合に必要となる書類は、いずれも死後すぐに必要となるものばかりです。
実際には病院や葬祭業者などがその書類を入手するためにいろいろと手配をしてくれるため、自分で何もかもする必要はありませんが、いずれの手続も重要なものばかりであるため、忘れてしまうことのないよう気を付けましょう。
(提供:相続サポートセンター)