イーサリアム規格のERC721Aとは?仕組みやERC721との違いについて解説

ERCはEthereum Request for Commentsの略称で、イーサリアムブロックチェーン上で構築されるトークンの標準規格です。

有名なERC規格は2015年に誕生した「ERC-20」です。ERC-20は、各トークンの核となる機能を標準化しています。

ERC20は「代替可能なトークン」で一般的に通貨や資産として使用される一方、ERC721は「非代替可能なトークン」で、ユニークなアイテムやコレクションを代表するのに使用されます。

本記事では、イーサリアム規格の「ERC721A」と「ERC721」について解説していきます。イーサリアム規格に興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

  1. ERC721Aとは?ERC721との違いを紹介
  2. ERC721AはERC721からどう進化したか
  3. ERC721Aの今後や将来性
  4. まとめ

ERC721Aとは?ERC721との違いを紹介

本項では、ERC721・ERC721Aについて解説します。

そもそもERC721とは

「ERC721」とは、Non-Fungible Tokens(NFT)に対する標準規格です。
ERC721規格のトークンは、ERC20規格のトークンと異なり、「分割不可能」という特性を持っています。

例えば、ERC20規格のトークン(USDTなど)は、1USDTを0.1USDTや0.01USDTといったように細かく分割して送ることができます。しかし、ERC721規格のトークンは分割することができません。
この「分割不可能」な特性が、NFTの基本的な技術となっています。この規格によって、NFTの偽造・複製が不可能になっています。

ERC721は、一つひとつのトークンに「トークンID」を割り振ることで、トークン同士の区別がつけれます。また、イーサリアムチェーンを用いて作られたDAppsゲームにおいて、キャラクターやアイテムなどの「価値」を表現できるのも特徴です。

ERC721Aとは

ERC721Aは、「CryptoPunks」「BAYC」に並ぶ大ヒットNFTプロジェクト「Azuki」によって独自開発されました。
一度のトランザクションで複数のNFTを効率的に購入できるのが大きな特徴です。ERC721Aが開発されたことにより、ユーザーの利便性が向上し、NFTの取引がスムーズになりました。

NFTの代表的な規格である「ERC721」は、高いガス代(取引手数料)の発生が課題とされてきました。しかし、新たなテクノロジーである「ERC721A」によって、ガス代(取引手数料)の削減を可能にしています。

新たに開発された「ERC721A」がNFT市場における新しいスタンダードとなりつつあります。

ERC721AはERC721からどう進化したか

本項では、ERC721の基本と両規格の違いについて解説します。

ERC721の基本

ERC721は、NFTを発行する際によく利用される規格です。
トークンの基本機能には、「所有」や「転送」などの最低限の機能が実装されています。

両規格の違い

「ERC721A」は、まとめ買いが可能な点や、取引の効率性が向上している点で、「ERC721」との違いがあります。

「ERC721」では、複数のNFTを発行する場合、毎回トランザクションを通さないといけません。しかし、ERC721Aだと、まとめてNFTを発行できるので、ガス代(取引手数料)が安く済みます。

ERC721Aの今後や将来性

「ERC721A」は、複数枚まとめてNFTを発行しても、ガス代(取引手数料)を安く抑えられるメリットがあります。

一回のトランザクションで、大量にNFTを発行したいジェネラティブプロジェクトでは重宝されるでしょう。
しかし、ERC721Aには、トランスファーのガス代(取引手数料)が高くなるというデメリットがあり、懸念材料として挙げられます。懸念材料があるからこそ、今後も「ERC規格」を満たす実装が増えてNFT市場は、イノベーションが起こると予想できます。

なお、「ERC721」には拡張機能として「ERC721Enumerable」があります。
ERC721Enumerableには、トークン参照のためのデータをストレージに保存することで一覧情報を参照できるメリットがあります。

しかし、ERC721に比べて、余分にストレージを利用するため、ERC721Enumerableを組み込む場合は、NFTの発行やトランスファーに必要となるガス代(取引手数料)が高くなるので注意が必要です。

まとめ

「ERC721A」は、NFT市場における取引の効率化や利便性の向上に寄与する規格で、今後の普及が期待されています。しかし、前述したとおり、「ERC721A」にもデメリットがあるのも事実です。

デメリットがあるからこそ、今後のNFT市場はイノベーションが起こると期待できます。