相続サポートセンター
(画像=相続サポートセンター)

「配偶者が亡くなり、親一人と子どもだけになってしまった」または「両親が共に不慮の事故で亡くなり、子どもだけが残されてしまった」―もし、その子が18歳に達していない児童等であれば、世話をする親や養育する者に多大な負担がかかることになります。

また、その負担を子の養育する者だけに押しつけるのは社会の公平に反します。

このような場合に対処するため、児童扶養手当という制度があります。

ここでは、児童扶養手当の請求方法と支給額について解説していきます。

児童扶養手当とは

まず、児童扶養手当について見ていきます。

この手当は父または母が亡くなったというような相続の場合に限らず、他にも該当する事情があれば支給が認められるものですが、本記事は相続を中心に取り扱っていますので、親が亡くなったような場合に限定して解説していきます。

児童扶養手当とは、父または母が死亡した、あるいは両親が共に亡くなった児童を養育している場合に、児童の健やかな成長等を考慮して支給される手当です。

支給をするのは市区町村などの地方自治体です。

支給を受けるには申請が必要で、支給が決定されると4月・8月・12月と年に3回、指定の金融機関の口座に前月分までが支給されます。

対象者と所得制限

この手当を受けるためには、各自治体に申請する必要があります。

それではどのような条件があり、どのような書類が必要になるのでしょうか。

ここでは、その手続的な面について見ていきます。

A.対象者

①父または母、あるいは父母両方が死亡している
②下記の者を養育している
・18歳に達する日以降の3月31日までの間にある者
・20歳未満で一定の障害のある者

ただし、支給要件に該当していたとしても時効により申請できない場合があります。

受給できない条件

児童

・①日本国内に住所がない
・②児童福祉施設などに入所が決まったような場合

父または母、養育者

・①日本国内に住所がない
・②婚姻届は出ていないが、事実上の婚姻関係にある(養育者は除く)

B.所得制限

この手当を受給するには、一定の所得制限があります。

以下、表で見ていきます。

扶養親族 受給者の所得 扶養義務者の所得
手当の全額が
受給できる限度額
手当の一部が
受給できる限度額
0人 19万円未満 192万円未満 236万円未満
1人 57万円未満 230万円未満 274万円未満
2人 95万円未満 268万円未満 312万円未満
3人 133万円未満 306万円未満 350万円未満
それ以上 1人増につき38万円増

C.必要書類

・請求書
・請求者及び児童の戸籍謄本
・請求者名義の預金通帳と印鑑
・世帯全員の住民票
・年金手帳
・請求者のマイナンバーカード
・請求者の本人確認書類

※戸籍謄本・住民票等の書類は交付を受けた日から一定の期間が経過した書類は差し替えを求められる場合があります。

また、場合により、他に必要となる書類があります。

自治体により運用が異なる場合がありますので、申請する前に自治体のホームページか窓口で確認して下さい。

D.書類の提出先

住所のある市区町村役場の窓口

児童扶養手当の支給額

児童扶養手当の申請が終わり、支給が決まると上記のように年3回に分けて、前月までの4ヵ月分が支払われることになります。

ただ、物価の変動等で金額は変動する可能性があります。

参考に支給額を月額基準で記載します。

児童の数 全部支給の手当の額 一部支給の手当の額
1人 42,290円 所得に応じて月額42,280円~9,980円の範囲で決定
2人 児童1人の額に9,990円を加算 所得に応じて月額9,980円~5,000円の範囲で決定
3人以降 1人増えるごとに月額5,990円加算 所得に応じて月額5,980円~3,000円の範囲で決定

手当月額=41,010円-(受給資格者の所得額-所得制限限度額)×0.0181098

現況届とは

この児童扶養手当の受給が開始すると、一定の期間ごとに現況届を出す必要があります。

この現況届とはどのようなものでしょうか?

この手当は申請さえ出せばよいというものではなく、申請を出すと役所の審査を受けることになります。

公費を使うのでもっともな話とも言えます。

そして、公費を支出している以上、その現状を把握したいと考えるのも合点のいく話です。

それが現況届です。

毎年8月に発送されますので忘れずに提出するようにしましょう。

この書類を2年続けて(つまり2回連続)提出しないと、受給資格を失ってしまいますので注意して下さい。

おわりに

ここでは児童扶養手当について見てきました。

この手当は親の一人(または両方)が亡くなった、所得が低い、遺族年金が受給できない、でも児童を見ていかなければならないといった場合の最後の砦とも言える制度です。

うっかりして時効にならないように、そして現況届を出し忘れて受給資格を失うということがないようにして、大切に受給して欲しいものです。

(提供:相続サポートセンター