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(画像=PIXTA)

エム・アンド・エー(M&A)の失敗事例は、枚挙に暇がない。しかし、M&Aの件数は年々増加傾向にある。株式会社レコフデータの調べによれば、日本企業のM&Aの件数は、2011年度は1,678件だったが、2017年度は3,050件と飛躍的に増加している。

昨今エコノミストたちが指摘する国内市場の限界を考えれば、資金に余裕のある企業が事業拡大の手段として会社買収を検討するのは当然だろう。

しかし会社買収は、失敗すれば取り返しのつかない大損失を生み出す可能性がある。事業を拡大するために買収した企業に問題が見つかれば、本体の事業にも悪影響を及ぼすおそれがある。

それを防止するためには、会社を買収する前に失敗事例を学ぶべきだ。この記事では、M&Aの失敗事例から得られる5つの教訓をもとに、会社買収における注意点について解説する。

目次

  1. 【教訓1】仲介業者の意図を見抜け!
  2. 【教訓2】デュー・デリジェンスの裏付けを確認する
  3. 【教訓3】売り手が第三者と結んでいる契約書をチェックする
  4. 【教訓4】隠された簿外債務に注意!
    1. 1.退職給付債務
    2. 2.役員退職慰労引当金
  5. 【教訓5】従業員のアフターフォローを忘れずに
  6. 会社を売る側の動機を考える
  7. 事業承継・M&Aをご検討中の経営者さまへ
  8. 監修者紹介

【教訓1】仲介業者の意図を見抜け!

第1の教訓は、仲介業者の意図を見抜くことである。仲介会社・アドバイザリー会社の選定ミスによって、M&Aが失敗に終わるケースは多い。

M&Aの成約には高度な専門知識が必要で、複雑な業務が伴うため、売り手と買い手だけで売買が完結するケースは少ない。仲介会社・アドバイザリー会社のビジネスが成立するのは、そのためだ。

仲介会社・アドバイザリー会社の多くは、「成果主義」だ。担当者はM&Aを成約させない限り、高給取りにはなれない。営業成績が上がらなければ社内競争で生き残れないため、必死に結果を出そうとする。

もちろん、双方の利益を見出してM&Aの交渉を進める実力者もいる。しかし、M&Aの成約を目的とする担当者は少なくない。そのような担当者は、情報の非対称性を利用して契約に支障をきたすようなリスクを買い手に共有しないことがある。そんな時は、仲介会社・アドバイザリー会社を思い切って変えたほうがいい。

そのためには、アドバイザリー契約を結ぶ際に、仲介会社・アドバイザリー会社との契約を解除しやすい内容に定めておく必要がある。M&Aの交渉過程において、仲介業者の担当者がどこに優先順位を置いているのか、その意図を見抜くことが失敗を未然に防ぐリスクマネジメントの基本だ。

【教訓2】デュー・デリジェンスの裏付けを確認する