高速道路を利用する際、ほとんどの場合料金所を通過します。日本の高速道路は有料区間が多く、高速料金徴収のためにインターチェンジの出入口や高速道路上に料金所が設置されています。
料金所は、複数のレーンとブースに分かれていて利用車はいづれかを通過する必要があります。高速道路上では料金所が近づくと、料金所までの残り距離をアナウンスする看板が出てくるので、それをみれば、料金所の場所を把握していなくてもまもなく料金所があることがわかります。
料金所通過は、通常の高速道路での走行とはまた違った走行方法や気をつけるべきポイントがあります。私は、ほぼ毎日高速道路を利用していますが、意外と料金所通過のルールやマナーを守れていない車が多い気がします。
みなさんどうしても、通常の高速道路の走行の流れやインター入口手前の一般道の流れで料金所に進入するため、流されやすい部分はあるのですが、料金所通過は高速道路の走行でも大事なポイントになるため、安全かつスムースに走行しなくてはいけません。
今回は、そんな料金所を通過する際のポイントをお話ししていきます。また、料金所通過の際に使えるテクニックもお話ししていきますので、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
目次
ETCカードの差し忘れや有効期限切れに注意
日本では、高速料金の支払いをETCでするのが主流になっています。ETCは、電子徴収システムのことで、2000年前後から広まりはじめ2023年11月現在、約9割の方がETCを利用しています。
ETCは車にETC車載器を装着して、そこにETCカードを挿入することで利用ができます。以前は、高速道路に乗る際に通行券を取って、出口の料金所の係員の方に通行券をみせて、現金で支払いをするシステムでしたが、ETCが普及したことにより係員の方を通さないで高速道路に出入りができるようになりました。
ただし、ETCならではの気をつけなくてはいけないことがいくつかあります。当たり前のことですが、まずは料金所通過の際にしっかりとETCカードをETC車載器に挿入することです。挿入していないと通過ができません。
また、ETCカードはクレジットカードのように有効期限が決められています。有効期限切れのETCカードでは料金所の通過ができないため、ETCカードの有効期限は利用する度に確認する必要があります。
ETCカートの入れ忘れや有効期限切れで料金所を通過しようとすると、ブース内の電光掲示板に「STOP」の文字と停車の理由が表示されます。また、停車の場合はブース出口に設置されているバーが開かないため、通過できないしくみになっています。
停車した場合は、係員の方と直接かインターホンでやりとりして、停車理由が解決されればバーが開き通過することができます。とはいえ、ブース内で停車すると、後続車の流れを悪くしてしまいます。料金所通過前にETCを通過できる準備ができているか、確認するようにしましょう。
料金所通過は時速20km以下で
ETCレーン利用の場合は、ノンストップで料金所を通過できるメリットがありますが、それゆえ気をつけないといけない点もあります。それが、料金所を通過する際の速度です。
料金所通過は車が密集しやすいこともありますし、何かしらの理由でETCバーが開かない可能性もあります。そのため、どのような状況でもすぐ停まれる速度で通過する必要があります。
理想的な速度は、時速20km以下になります。一般道の路地を徐行するくらいの速度になりますが、高速道路利用前後、速い速度で走行する前、速い速度で走行した後に通過するため、かなり減速しないといけず、感覚的に停まっているくらいに感じるかと思います。
料金所手前で一気に速度を落とすのは、後続車のことを考えるとよろしくないので、料金所が近づいてきたら、徐々に減速してブース内では時速20km以下になるように、上手に調整しましょう。
料金所通過前と通過後は周囲の車の確認を徹底する
料金所通過時以外にも、料金所通過の手前と通過してすぐは周囲の車の存在をかなり意識しながら走行することが求められます。料金所周辺はレーンへの出入りが激しいため、これを意識していないと安全に料金所を通過するのが難しくなります。
インター出入口でも高速道路上でも基本的に片側1〜3車線の道路のところへ、料金所が近づくとブースの数に応じて、いきなり車線が広がりをみせます。そして、料金所通過少し間は広がりが続き、だんだん狭まって通常の車線数にもどります。
つまり、料金所手前の広がりのラインから一気に運転手の選択肢が増えることになります。そうすると、自分の行きたい方向や意志はわかっていても他の車の行きたい方向や意志はわからないため、危険な状況が生まれやすくなるのです。
そのため、料金所のブース内だけでなく料金所の前後でもしっかり減速して走行することに加えて、周辺の車を確認しながら走行する必要があります。ミラーや目視をめいいっぱい使用して、周囲にいる車を見逃さないようにすることが大事です。
基本的には、通常の走行時と同様に思いやりや謙虚な気持ちをもって走行すれば、安全に料金所前後を走行することができます。料金所の手前から意識しはじめて、料金所通過後もしばらくは気を張り続けるようにしましょう。
一般レーンではクレジットカード支払いもできます
ETCを利用できない車は、一般レーンを通過する必要があります。一般レーンは、インター入口では通行券を取るための機械が設置されており、高速道路上やインター出口では基本的に係員の方とお支払いのやりとりをします。
支払い方法は現金以外にも、近年ではクレジットカードでもできるようになりました。ただし、クレジットカード支払いは現金同様、休日割引や深夜割引のようなETC限定の割引を受けることはできません。
また、最近流行りのデビットカードや交通系ICカード、QRコード決済などには対応していません。そのため、高速道路に乗る前に現金かクレジットカードを準備する必要があります。(近年はサービスエリアに銀行ATMを設置しているところもあるため、そちらで現金をおろすことでも対応できます)
ETCの普及により、料金所もETCレーンが多くなりました。それでも最低1カ所は一般レーンがある料金所がほとんどです。ただし、近年は首都高などの都市高速を中心にETC限定の出入口も増えてきています。ETC限定の出入口では、現金やクレジットカードでの通行はできませんので、他の出入口を利用しなければいけません。
ETCレーンが混雑している場合に使えるテクニック
こちらはちょっとしたテクニックになりますが、料金所の前後の区間の交通量が多いと料金所通過のための渋滞が発生することがあります。また、状況により料金所の通過可能なレーンが少なかったり、料金所手前の交通量が多かったりすると、やはり渋滞になることがあります。
近年の高速道路は、ETC利用車がほとんどのため料金所でもETCレーンを利用する方が大半をしめ、渋滞の際もETCレーンは混雑していて一般レーンは空いているということがよくあります。その場合、ETCカードをETC車載器から取り出して一般レーンに進入し、係員の方にETCカードを渡せば、お支払いすることができます。これにより、渋滞を多少回避することができるのです。
ただし、ETC割引のなかにはETCの無線システムを通過する必要がある割引もあるため、一般レーンでETCカードを渡してお支払いすると、割引の対象外になってしまうことがあります。また、首都高など現金とETCでの料金形態が異なる地域や区間を走行する場合、一般レーンでETCカードを渡してお支払いすると、現金での料金形態のお支払いになることもありますので、気をつけなくてはいけません。
料金所を上手に通過して、安全なドライブを
料金所を上手に通過するためには、まずは料金所の前後は通常の走行とは違うことと、気をつけるポイントがいくつかあることを認識する必要があります。
速度をおさえめにして周囲の確認を徹底することと、ゆずり合いの精神があるだけでも、料金所通過の安全性はかなり高まります。近年は、高速道路ネットワークが急激に発達してきたため、それに伴い料金所を通過する機会も増えてきています。
私も料金所を通過する度にかなり気を使うようにしています。みなさんも、より料金所通過安全にかつスムースに通過できるように、努めていただければと思います。
■この著者のプロフィール、これまでの記事はこちら:https://www.mobilitystory.com/article/author/000017/