株式会社日本М&Aセンター工事業界担当の松島です。 当コラムは日本М&Aセンターの管工事チームのメンバーが業界情報を執筆しております。 今回は松島が「空調工事業界の動向と課題」についてお伝えします。
空調工事業の経営者の悩みや経営課題
私もこの数年経営者の方々に話を聞くと、主に下記のような悩みを抱えています。
人的な課題
「仕事はあるが、人が足りていない」 「若い従業員の育成ができない。」 「苦労して採用したがすぐやめてしまう。」 「工事の需要の波で、人を抱えきれない」 「後継者がいない」
今後の先行き不安
「ガス空調、電気空調、両面への対応」 「ほかの工事に進出したいが単価が合わない(外注費・材料費の高騰)」 「育つと一人親方として独立してしまう」 「協力外注先が、廃業やM&Aで不安定になっている」
採用、教育、定着、高齢化など社内のことだけでなく協力先や販売先など外部の変化や不安定な状況にも対応していかなくてはなりません。
- 人材採用の強化・充実
- 仕入れコストの削減
- 工事スキルの向上
- 施工エリアの拡大
上記を自前で対応していくのか、M&Aを検討していくのか経営者様の判断が必要になってまいります。
そのような中、近年特に工事業界のご相談が非常に増えています。 ご相談の結果この数年では、毎年20~30ほどの空調・管工事の企業様のM&A成約実績がございます。
空調工事業界M&A実績が多数
年間1000社を超える事業承継・M&Aの成約実績をもつ当社の空調及び管工事業界のM&A実績を分析していきましょう。
成約実績分析
上記図のとおり、1億円以上~3億円未満の割合が51%と過半数を占めています。 ただし、近年10億を超える会社様からの相談も非常に増えており、今後増えてくる可能性が高いです。
同県同業のケースが少ない
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同じ県内で顔見知りの会社が多いので、県内で探しにくい。 知り合いの会社に、譲渡を検討しているということを知られたくない。 そういったことにも真摯に対応し、マッチングを進めております。
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シナジー効果の期待値に満たないケース 同エリア内で、同業種の会社の場合ですと、新たなシナジー効果や経営者のニーズを満たさないことが考えられます。 例えば、新規エリアや施工能力の強化など様々な目的をもって、マッチングのご要望をいただいております。
約8割は隣接業種・異業種と提携
同業の成約ケースの目的としては主に下記のような目的をもっています。
- 人材確保
- エリアの拡大
- 販売先の多角化 公共なのか、民間なのか、取引先が偏っていることを課題に感じている会社様も多いです。 そういったことで、人や販売先の経営課題解決としてのM&Aが多くなっています。
隣接業種のケースの目的はどのようなものがあるのでしょうか?
「内製化」と「ハンマープライス」
別の設備工事業をやっている会社様が、空調工事の部分だけ外注しているケースで、「外注費の削減」「内製化」としてM&Aを検討するケース。 または、一緒になることで一括受注体制の構築し、「ハンマープライス」で受注できる体制が重要だと感じられている経営者様が増えている印象です。
建設・ゼネコン、土木工事→専門工事の内製化
建設やゼネコンなど土木工事をされている企業様は、専門工事を外注が多いので、そこを一緒になることで利幅を多くとれるようになること。 また、譲渡側の企業様にとっても営業状況の波、受注残金額の大幅な変動を抑えられることに魅力を感じられる経営者様もいらっしゃいます。