廃食用油の継続的な供給および利用についての基本合意書を締結
(画像=廃食用油の継続的な供給および利用についての基本合意書を締結)

日清医療食品と日揮ホールディングス、レボインターナショナル、SAFFAIRE SKY ENERGY(サファイア・スカイ・エナジー)の4社は11月8日、日清医療食品の本社(東京都・千代田区)で、病院や介護施設の食事提供で使用した油(廃食用油)を、SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料(サフ))として再資源化することを目指し、廃食用油の継続的な供給および利用についての基本合意書を締結した。

SAFは、化石燃料以外を原料とする持続可能な航空燃料であり、石油、原油など従来の航空燃料と比べてCO2排出量を84%削減するという。航空機は自動車などと違い、電気や水素などの燃料では代替しにくいことからSAF利用によるCO2排出削減が世界で求められている。しかし、SAF製造プロジェクトは欧州、米国企業が先行しており、未だ国産SAFの大規模生産は事業化されていない。

基本合意による各社の役割は以下のとおり。日清医療食品は、受託している約5,500件の病院や介護施設、保育園等の厨房から出る廃食用油をSAFの原料として、レボインターナショナルに供給。日清医療食品の病院給食の受託市場における企業シェアは業界トップの33%。今回の取り組みによる廃食用油の供給量は年間最大約120万ℓを見込んでいる。

レボインターナショナルは、全国の日清医療食品受託施設より収集した廃食用油を、サファイア・スカイ・エナジーが運営するSAF製造装置向けとして、引き渡す。

サファイア・スカイ・エナジーは、レボインターナショナルから引き取った廃食用油を原料としてSAFを製造する。現在、大阪府堺市に、日本初となる国産SAFの大規模生産プラントを建設中で、2024年末には工事を終え、2025年度初頭に生産を開始する予定。本取り組みによる廃食用油から年間最大約100万ℓのSAF製造を見込んでいる。

日揮HDは、廃食用油を原料とするSAF製造事業に関するサプライチェーンの全体構築を主導する。この取り組みによるCO2削減量は年間約2,700トンを見込む。

〈SAF認知度向上を期待-立林勝美社長〉
基本合意書調印式であいさつに立った日清医療食品の立林勝美代表取締役社長は、「廃食用油の利活用という課題は当社単独では進められなかった。パートナーシップ構築により、一歩前進できて嬉しい。これまで当社は、ヘルスケアフードサービスを通じて、日本の医療・福祉の向上に資することこそが社会貢献であると考えていた。しかし、当社事業あるいは個人として生活する上では、これまでの経験則では計れない様々な課題が浮上している。食料の安定確保や甚大な被害をもたらす水害等には、気候変動が大きく影響しているのは明らかだろう。これら課題を傍観しているわけにはいかない。大きな目標に向かっての第一歩として、パートナー企業の指導をいただきながら、取り組んでいきたい」と述べ「当社が参画することにより、SAFの認知度が高まってほしい」と期待をかけた。

日清医療食品 立林勝美社長
(画像=日清医療食品 立林勝美社長)

日清医療食品は、2023年4月から神奈川県でトライアルを行い、そのうち8割の事業所で実施できることを確認。全国展開できると判断した。今後は、同社だけでなく、一冨士フードサービスなど関連会社にも取り組みを拡大させる考えだ。

〈「Fry to Fly Project」参画企業は66社に〉
国内廃食用油を原料とするSAFで航空機が飛ぶ世界を実現するプロジェクト「Fry to Fly Project」は2023年4月17日、29の企業・団体が集まり開始した。その後参画企業が増え10月末時点で66社が加盟している。食品業界では、日清医療食品、グリーンハウス、コロワイド、トリドール、FOOD&LIFE COMPANIES、日清食品ホールディングス、アサヒユウアスなどが参画している。

「Fry to Fly Project」
(画像=「Fry to Fly Project」)