土木工事業界を取り巻く経営課題

新設工事から維持修繕工事への転換

高度成長期以降の1960年代~1970年代は急ピッチでインフラを整備してきました。その後2020年代に入り、築50年超となり老朽化してきています。維持修繕には、近接目視による点検や診断の必要性が高まる一方で、人材不足も相まって、将来的にますます維持修繕に取り組むことが難しくなるという経営課題が発生しています。

人材不足・高齢化で持続可能な体制が取れない

建設業界の就業者数の減少 建設業界の総就業者数はピーク時(1997年)に比べて約29%減少しています。 具体的にどのくらいの人数化といいますと約200万人で、おおよそ長野県の人口くらいの人数がピーク時に比べて減っています。 求人倍率の上昇止まらず、採用難 求人倍率は全産業が約1.6倍に対して、建設業界はさらに高い約3.5倍となり、いくら求人を出しても人が集まりづらいという状態に陥っています。 高齢化による技術承継も表面化 業界全体の就業者の3割が55歳以上、29歳以下は1割程度という状態となり、若年層への技術承継の問題も表面化してきています。

【2024年問題】2024年に迫る土木業界の働き方改革

2024年に「時間外労働の上限規制」が設けられます。(それまで5年間は猶予期間) 経済産業省「建設工事における適正な工期設定などのためのガイドライン」には下記の通り設定されています。 こちらへの対応が急務となっており、非常に建設工事業の経営者の方々のなかでも重要課題という認識が強い項目です。

・適切な工期設定 ・施行時期の平準化 ・必要経費へのしわ寄せ防止の徹底 ・生産性向上 ・下請け契約における取組み ・適正な工期設定に向け発注者支援の活用 ※内容を一部抜粋

建設業許可業者数に対して1社あたりの売上高減少

この数年の建設業許可業者数は増加傾向にあります。 バブル後の1999年度は60万980社ありました建設業許可業者数ですが、 2017年度には46万4889社まで減りましたが、そこから2021年度には47万5293社と約1万社増加しました。 一方で、建設投資額は、バブル期以降下降気味の傾向にあるものの、上記の建設業許可業者数の減少幅よりも大きくなっているため、併せて売上や利益率の低下の傾向となっています。更に、建設資材の高騰による原価増加、利益圧迫もあわせて重要な要素といえるでしょう。