キャップの握り方
(画像=キャップの握り方)

伊藤園は10月17日、鹿児島大学医学部と共同で、地域在住の高齢者がペットボトルを開栓する動作を評価することにより、筋力低下のサインを簡便に把握できる可能性があると発表した。この結果は、学術雑誌「Geriatrics & Gerontology International」で9月11日に発表されたもの。

2022年の国民生活基礎調査(厚生労働省)によると、介護保険法により要支援と認定された人の主な原因は、「関節疾患(19.3%)」「高齢による衰弱(17.4%)」「骨折・転倒(16.4%)」と続いており、加齢に伴う筋力の低下が原因の一つと考えられるものが上位を占めている状況だ。

そこで伊藤園と鹿児島大学医学部は、筋力低下のサインを早期に認識するために、ペットボトルの開け方(開栓動作)によって簡単に把握できるかを検証した。ペットボトルの開け方は個人によって異なるため、この開け方によって筋力低下を把握できる可能性があると仮説を立てたという。

この仮説を元に、ペットボトルの開け方と筋力低下の関係性を科学的に検証するため、特にキャップを開ける際の握り方と筋力低下の関係を調査した。

その結果、高齢者において「『逆筒握り』でペットボトルを開栓していること」が、筋力低下のサインとして有用だと確認したという。これにより、「ペットボトル開栓の困難さを感じること」に加え、「開栓動作パターンを評価すること(「逆筒握り」か否か)」で筋力低下のサインを簡便に把握できる可能性が示唆されたという。

今後伊藤園は、筋力低下のサインを簡便に把握できる方法として、ペットボトルの開栓動作が「逆筒握り」か否か評価する方法を推奨し、健康長寿に向けたフレイル(加齢により心と体の働きが弱くなってきた状態)予防活動に寄与するとした。

【試験の方法について】
2021年に垂水研究(鹿児島大学と垂水市が協力して行っている研究)において、地域在住の65歳以上の高齢者336人(平均年齢74.6歳±5.9歳、女性58.3%)を対象としたコホート研究を実施した。

参加者には、未開栓のペットボトル製品(「お~いお茶 緑茶」525mlペットボトル)を着席した状態で通常の方法で開けてもらい、開栓の動作を観察し、キャップの握り方を側腹つまみ、逆筒握り、筒握り、3指つまみの4パターンに分類。その結果、「側腹つまみ」が248名(73.8%)、「逆筒握り」が55名(16.4%)、「筒握り」が20名(6.0%)、「3指つまみ」が13名(3.9%)となった。次に、筋力は利き手の最大握力を測定し、性別ごとに第1四分位値(=データを小さい順に並べた際の初めから数えて25%の位置にある値、今回の試験では男性27.8kg、女性18.4kg)をカットオフ値とし、カットオフ値以下を「筋力低下」としている。

これらをロジスティック回帰分析(複数の要因から2値の結果が起こる確率を予測する統計手法)した結果、「逆筒握り」は「側腹つまみ」と比較して、筋力低下との有意な関連が認められたという。このことから、地域在住高齢者において「逆筒握り」でペットボトルを開ける動作を行うことが筋力低下と関連することが示唆され、ペットボトルの開栓動作パターンと筋力低下が関連することを確認したとする。一方、「筒握り」「3指つまみ」では、筋力低下と有意な関連は認められなかったとしている。