風力発電の2030年度累計導入容量は12.7GWを予測
~ 陸上風力は社会共生・社会受容性の確保など、洋上風力は基地港湾面積の整備などが課題~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内風力発電市場を調査し、現況やセグメント別の動向、参入企業動向、今後の課題、将来展望を明らかにした。
風力発電の累計導入容量の予測
1.市場概況
2023年度の風力発電の累計導入容量は6.1GW(リプレース事業を除く)を見込む。このうち、陸上風力の累計導入容量は5.8GW(中型・小型を含む)、洋上風力の累計導入容量は0.3GWと推計した。
青森県における陸上風力等の稼働開始したものに加えて、稼働計画及びFIT(固定価格買取制度)申請や環境アセスメントを行った案件の導入容量の運転開始時期をもとに推計した。
2.注目トピック
風力発電の拡大のための課題
国の第6次エネルギー基本計画のなかでも、再生可能エネルギーの拡大が掲げられている。その中でも、ベースロード(※注)としての役割を担うのが風力発電であり、今後も再生可能エネルギーのなかでも注目される電源である。
脱炭素化の流れのなか、社会全体で再生可能エネルギーを導入し活用する段階において、風力発電が担う期待も大きい。その一方で、拡大するための課題として、環境アセスメントやウインドファーム認証等にかかる時間を適切に短縮したり、系統の配電設備の増強などの課題点もあるが、徐々に対策が講じられてきている。
※注:季節や時間帯にかかわらず最低限に維持・供給される発電量
3.将来展望
2030年度の風力発電の累計導入容量は12.7GW(リプレース事業を除く)で、このうち陸上風力は累計9.1GW(中型・小型を含む)、洋上風力は累計3.6GWの導入容量を予測する。
陸上風力は、環境アセスメントの過程において地元との合意形成は必要であるが、一部では反対などもあり、2030年度までに計画通りに運転を開始することができるかは不透明である。また、洋上風力は、再エネ海域利用法に基づいた促進区域内で、事業者が選定される導入見込量に加えて、導入までのリードタイムや基地港湾を複数案件で同時使用することが難しい等の要因を鑑み、2030年度の風力発電累計導入容量は現時点での実現可能な導入容量として予測している。
調査要綱
1.調査期間: 2023年5月~7月 2.調査対象: 風車メーカー、陸上風力発電事業者、洋上風力発電事業者、EPC(設計・調達・施工)事業者、O&M(運用・保守)事業者等 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail等によるヒアリング調査および文献調査併用 |
<風力発電累計導入容量について> 本調査における風力発電累計導入容量は、陸上風力発電、洋上風力発電を対象とし、陸上風力発電には中型及び小型風力の導入容量を含む。なお、中型風力は定格出力20kW以上1,000kW未満、小型風力は定格出力20kW未満の風力発電システムを指す。また、2030年度までの風力発電累計導入容量は資源エネルギー庁公表の事業計画認定情報を基に、稼働計画及びFIT(固定価格買取制度)申請や環境アセスメントを行った案件の導入容量の運転開始時期を加味した矢野経済研究所の推計値である。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 陸上風力発電、洋上風力発電、中型風力発電、小型風力発電 |
出典資料について
資料名 | 2030年の再生可能エネルギーマーケット ~風力発電編~ |
発刊日 | 2023年07月31日 |
体裁 | A4 164ページ |
価格(税込) | 209,000円 (本体価格 190,000円) |
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