全国納豆協同組合連合会(納豆連)は9月21日、4年ぶりに青年同友会研修会を都内で開催し、業界動向を共有した。同日、ミニ鑑評会も実施した。
冒頭、野呂剛弘会長の挨拶が代読され、「政府は、農林水産物の食品輸出目標額として、2030年に5兆円、2025年に2兆円の中間目標を設定している。農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略の改定が行われ、輸出促進法に基づき輸出重点品目は15品目7団体が認定されている。納豆は未認定となっており、納豆連では認定に向けて、農水省の指導を受けながら前向きに活動している」と報告された。
続けて、「2023年6月の農林水産物・食品の輸出額は、前年比7.3%増の1,258億円と5カ月連続で前年同期を上回った。2023年1~6月の累計では9.6%増の7,144億円と上期の過去最高を更新した。昨今の日中の政治的対立の不和要因を除けば、我が国全体で勝機の担い手を海外に求め、功を奏している。参列者には自治体やジェトロに相談するなど、積極的に海外市場への一歩を踏み出していただきたい」と促した。
さらに、「青年同友会は、納豆業界の未来を担う若手経営者が中心の委員会だ。私たちは新しい風を吹かせ、納豆の購入者に驚きと喜びを提供する使命を担っていると考える。その使命を胸に刻み、共に発展を目指す同胞たちと、今より強い経営基盤を築くための貴重な情報交換を積極的に行ってほしい。納豆業界には、持続可能性と社会的責任に対する期待や要求がある。私たちの企業活動が人や環境、社会に与える影響を意識し、持続可能なビジネスモデルを共に模索する必要がある。この模索作業こそが、将来の業界発展と、業界内の多様性の存続を実現可能にすると強く思う」と語った。
〈ミニ鑑評会、うま味があるものや適度な柔らかさ、粒感がある納豆が高得点に〉
研修では鈴与工業、福島紙器製作所、朋和商事、シンコーフーズ、原田産業、野村綜合商事、ユニ・フードの7社によるプレゼンが行われ、各企業の事業内容や、海外から見た納豆の印象や食べ方、納豆を輸出する際の流れなどが紹介された。
このうち朋和商事は、納豆輸出の可能性についてプレゼンした。独立行政法人統計センターによると、2019年度の納豆生産量は34.2万t、50gのパックに換算すると68.4億食分が生産され、推定市場規模は2,200億円以上だという。
一方、2023年上半期の納豆の輸出量および金額は、中国に約535t輸出し2.5億円強、米国に約381t輸出し2億円弱、総数量は輸出量が約1,589t、輸出金額が8.8億円強となっており(財務省貿易統計)、年々増加傾向になっている。人口においても、日本の人口が1.2億人に対し、先進国の総人口が7.7億人であることから「海外市場はブルーオーシャンが広がっている」と指摘した。
そのほか、茨城県産業技術イノベーションセンターの野口友嗣技術支援部フード・ケミカルグループ主任が、同センターで取り組んでいるウイルス感染疑似細胞モデルの開発と、納豆菌による抗ウイルス作用の調査について紹介した。
プレゼンに先立ち行われたミニ鑑評会では33品が出品され、見た目や香り、味、うま味、柔らかさ、粘りといった観点から参加者が5点満点で鑑定した。
総評では、うま味があるもの、適度な柔らかさ、粒感がある納豆が高得点を獲得した一方、色が暗い、苦味がある、柔らかすぎるものは点数が低くなる傾向にあったことが示された。
〈大豆油糧日報2023年9月27日付〉