はじめに
昨年の年金2,000万円問題を契機として、ドルコスト平均法を活用した投資信託など金融商品への長期積立投資による老後資金形成の重要性が国民的な議論として活発化しています。
金融商品へ長期投資することの優位性は過去の統計実績等を見ても疑う余地はありませんが、唯一残念な点は少額から始められる反面、潤沢な自己資金がないと投資規模を大きくしにくいことから、短期的な資産形成には向いていないということです。現に金融商品投資で若くして資産形成に成功しているのはデイトレーダーなどごく一部の人に限られています。
一方、不動産投資に目を向けると「サラリーマン大家」はじめ「〇〇大家」などの若くして経済的自由を手に入れた専業大家といった、元々資産家ではない方が短期間に不動産投資によって大きな資産形成に成功している例が後を絶ちません。なぜこのようなことになっているのかをサラリーマン大家の顧客を多数抱える税理士が解説します。
不動産投資が唯一絶対おすすめの理由1-「時間と手間がとられない」
そもそも投資を事業として考えてみると株式投資を事業としているデイトレーダーという方々は、名前の通り相場の動きを日々監視し続けなければなりません。つまり専業となってしまうのです。
一方不動産投資はよく「不労所得」と言われることもあるほど時間と手間をとらない投資ということができます。そのため副業としてされている方も多いため、まずはサラリーマン大家として投資を開始してみて、ある程度の経験や規模になった段階で本格的な投資または事業として取り組むという進め方までもが可能となるわけです。
本業をやめてまで取り組まずに済む、という点でもリスクを取りすぎない優れた投資ということができます。
不動産投資が唯一絶対おすすめの理由2-「レバレッジが効き続ける」
株式や投資信託では(株の信用取引など例外を除き)、基本的に自己資金で投資を行うため、購入する不動産を担保に金融機関から融資を受けて投資を行う不動産投資に比べて投資規模を大きくすることが難しくなります。それに比べて不動産投資では、自己資金は出さず、購入資金は物件を担保にして金融機関から融資を受け、物件から得られる家賃収入を融資の返済に充てます。
現在たとえば都市部で築浅のRC造の表面利回りが6%の収益不動産を購入するとして、元本返済を3~4%、利息支払い0.5~1%程度しか支払わないため、家賃収入で返済はおろかキャッシュフロー自体がプラスにできてしまう場合もある、という不動産投資にとってはかつてないほど都合の良い環境が続いています。
金利に至ってはバブル期には7%以上あったものが21世紀になってからは一貫して2%を下回る水準で推移し1999年には史上初のゼロ金利となり現在に至っていて、どうも当面は大きく上がりそうにもありません。
そのため元本と利息を合わせた金融機関への返済額よりも家賃収入が大きければ、理論上は自己資金を使わずに投資を拡大し続けることが可能。次から次に不動産が購入できるといったまさに「レバレッジが効き続ける」サイクルに突入していくのです。
このような投資手法に気づいた投資家が〇〇大家という不動産のレバレッジ経営を実践されている方たちなのです。
不動産投資が唯一絶対おすすめの理由3-「資産としての強み」
どのような資産のポートフォリオにするべきか、これが資産形成を目指す際によく議論される基本的なポイントです。株式や投資信託は自国にいながらにして全世界的な経済成長のファンダメンタルを取り込めるという長所がある反面、自国以外での経済危機や地政学リスクといった国際的な外部環境の変動を受けやすい弱点をもっています。
かといって自国の株式だけに投資範囲を留めると低経済成長下では高成長や大きな利回りを見込むことは難しい。かかる状況下我が国では一見安全にみえる預金比率が高まる一方ですが、預金はインフレに圧倒的に弱いという決定的な弱点を持っています。このように国が2%のインフレ目標を掲げている我が国で「預金を持つことのリスク」を意識しないわけにはいかなくなっています。
その点不動産は
- 1.現物資産でインフレに強い
- 2.価格変動リスクも少なくはないが、国際的な外部環境の変動の影響は受けにくい
- 3.物件選定さえ間違えなければいまだにキャピタルゲインを得ることさえ可能なほど資産価値の目減りが少ない
この点に関しては将来の人口減少で不動産価格が一気に下落するとみる向きもありますが、そこに関しては「都心回帰」ということがキーワードとなります。高度成長の時代に全国各地で山が切り開かれ都心から離れたエリアで宅地開発がなされてきましたが、これからはその逆になるというイメージです。ですから駅近の土地など誰もが住みたがるエリアの土地はいまだに上がり続けているのが現状です。
それに加えて日本は外国人によるインバウンド需要が続いています。東京や大阪はもちろん、例えばニセコや京都、沖縄など外国人から見て魅力的な観光資源を有するエリアではこれからもインバウンド需要による地価の下支えが見込まれます。
不動産投資が唯一絶対おすすめの理由4-「税務面の優遇」
最後に不動産投資が他の投資と比べて有利な点はなんといっても税務面の優遇です。
その他の投資や副業では法人で取り組むことは意外とハードルが高いのに比べて、不動産投資では多くのサラリーマン大家の方が資産管理会社という形態の経営方式を採り、所得税ではなく法人税が課税されることのメリットを享受します。
というのも我が国では所得税は最高税率55%に対し、法人税は中小企業であれば30%弱(どちらも住民税等を含む)、というように法人税は国際的な均衡を考慮せざるを得ませんので、これからも下がる一方と考えられます。それに反比例して税収財源確保の観点からも所得税は今後も上がっていくことが予想されます。そして税率での優遇だけではなく法人にすることによって、
- 1.役員報酬がとれる
- 2.役員退職金がとれる
- 3.保険を活用することができる
- 4.通常の法人と同様の各種福利厚生を受けることができる
などあらゆる節税策をフル活用することにより資産形成のスピードを加速することができるのです。
また「タワマン節税」なる言葉で一躍有名になったように相続税が課税される際にも、賃貸不動産の時価と税法上の財産評価額による評価減の差を取り込むというメリットを受けることができるため、事業継続の観点からも有利となります。
まとめ
以上のように我が国で資産家でない方がベンチャー起業家のように自ら事業を興して上場させる、といった方法以外の方法で「短期的に」資産形成をしていくにあたっては、現在の我が国を取り巻く課題や環境の観点からも、金融機関の融資方法や国の課税手法からも不動産投資が唯一絶対おすすめである理由がお分かりいただけたかと思います。
資産形成には目標設定が重要となりますが、長期分散投資だけではそもそも目標設定が難しい場合もあります。目標設定の仕方によっては短期的な資産形成は不動産投資で行い、長期的な老後資金は金融商品での長期分散投資で行うといった組み合わせも検討してみることが必要かもしれません。
(提供:税理士法人M&Tグループ)