経営者であれば、「写真」を趣味に選んでもあまりメリットがないと感じる人も多いかもしれない。人脈作りにもつながる「ゴルフ」や、さまざまな知識が得られる「読書」と比べた場合、経営者がわざわざ写真を趣味にする意味があるのだろうか。
結論から書くと「ある」。写真という趣味は常に「観察」を伴う。この観察は企業経営者にとって必要なスキルや姿勢の一つだ。また、写真撮影のためにさまざまな場所を訪れるという行為も、経営者に新たなインスピレーションをもたらしてくれることがある。
目次
経営者にとって重要なこと
冒頭に触れた写真を趣味にすることのメリットの1つ目、すなわち「観察」に関してもう少し詳しく説明しよう。
経営者であれば、社会を「マクロ的」に俯瞰することや、またはマーケットを細かく分析する「ミクロ的」な視点が求められる。写真という趣味は、時にはマクロ的に、時にはミクロ的に被写体と向き合う。経営者が持つべき姿勢と、写真家が持つべき姿勢には、重なりあう部分があるというわけだ。
写真を撮るという行為は「観察」から始まる
写真を撮影するという行為は、必ず観察から始まる。そして、よりよい被写体や画角を追求する中で、写真の撮影技術は向上していく側面がある。
ただし、写真の撮影技術が向上したからと言って、それがイコール経営能力の向上に結びつくわけではない。
しかし、写真を趣味にする中でマクロ的もしくはミクロ的な視点で撮影するという行為が、「さまざまな視点から観察するということは、企業経営においても非常に重要だ」という基礎的な要素を、頻繁に思い出させる。この点は特筆すべきことと言えるだろう。
また、観察力が上がると、日ごろから目にしている何気ない風景が、実は多くの魅力に満ちあふれていることに気づくことがある。このような気づきは経営にも生きる。「実は自分の身の回りにも大きなビジネスチャンスがあるのではないか……」。そのような視点を持つことにつながる。
写真を撮影しに「出掛ける」という行為のメリットも
写真を趣味にするもう1つのメリットは、よりよい作品を撮影することを追求していくと、自分が知らない場所に出向く機会が増えるという点だ。
経営者として成功を収めた人の中には、その成功にしがみつく、もしくは安住しようとするあまり、新たな挑戦や知見を得ることに対して貪欲ではなくなっていく人もいる。要は「腰が重くなってしまいがち」というわけだ。
そのような人を、自分が知らない場所にいざなってくれたり、見たことない風景に触れさせてくれたりする中で、新たなインスピレーションをもたらしてくれることもあるのが、「写真」という趣味である。
社会は常に変わり続け、消費者のトレンドも変化し続ける。その中で自社の事業を維持し拡大するためには、常に自分をアップデートしていく必要がある。
「写真」を趣味にするための準備
写真を趣味にするための準備についても説明しておく。
カメラ選び
ある程度本格的に取り組みたいなら、「デジタル一眼」がおすすめだ。大きて重いといったデメリットもあるが、レンズのラインアップは豊富にある。ただし、手軽に持ち歩きたいなら「ミラーレス一眼」も選択肢の一つだ。
周辺機器・機材選び
手ぶれの要素を排除し、高画質な写真を撮影したいなら、「三脚」はマストなアイテムである。また、できれば外部フラッシュ(ストロボ)も用意したい。内蔵フラッシュと比べると作品の出来にはっきりと差が出る。
服装・バッグ選び
写真撮影に適したカメラマンジャケットや、カメラを収納しやすく防水性にも優れたバッグが、多数販売されている。特に、足場が悪い場所や天候が悪い日でも撮影をしたい場合は、ぜひ検討したい。
楽しさを最大化するために
続いて、写真を趣味にしてその楽しさを最大化するには、どのような方法があるかを紹介しよう。
SNSでの共有
InstagramやFacebook、X(旧Twitter)などのSNSで共有して「いいね」やコメントが付くと、満足感を得られやすい。ぜひ積極的に写真を投稿してみてはどうか。
社内カメラマンとして活躍してもいい
企業経営者自らが「社内カメラマン」になって、従業員たちが頑張って働いていて輝いている姿などを撮影してそのデータを渡せば、喜ばれることもあるはずだ。撮影して喜ばれることは、写真家の醍醐味の一つといえる。
写真サークルなどに所属する
地域のアマチュア写真家のサークルなどに所属すると、同じ趣味の人と交流できて楽しい。機材や撮影場所に関する情報交換もでき、有意義な時間を過ごせるはずだ。
お金の使い甲斐がある趣味
写真という趣味は「お金が全て」ではないが、ある程度予算をかけて機材にこだわると、画質などの面で綺麗な作品を残しやすい。経営者であれば趣味にある程度お金をかけやすいため、そういう意味で写真という趣味との相性もいい。これから新たな趣味を始めるなら、おすすめだ。
文・岡本一道