始まりは、地元建設会社の地域貢献から。耕作放棄地を集約し農業生産法人で「稼げる農業」へ。支えるのは、人のつながりとデジタル ファームかずと(長野県)

目次

  1. 地元のお困りごとに応じ、建設業から参入した農業部門。農業生産法人として独立し、耕作放棄地の活用でトウモロコシを生産
  2. 農業機械を駆使した大規模農業を学ぶため北海道の農業高校へ進学。地元は「北海道にはほど遠い」と実感し「稼げる農業」に向けて動き出す
  3. 弟は北海道で農業生産、姉は夫婦でイタリアンレストランを開業。それぞれが目指す道を法人として束ね、相乗効果を生む
  4. 取り扱う物量が増え、事務所が伝票であふれかえっていた。事務所内でしか使用できない販売管理システムでは作業効率が悪い
  5. ネットワーク上のクラウドにすべてのデータを一元管理。どこからでも情報にアクセスでき、伝票や書類の検索が容易になった
  6. 一次産業側がもっと優位に立てる状況になるべき。そのためにもSNSを活用し、販路や生産者のネットワークを広げていきたい
  7. 土地の集約をさらに進め、地域に貢献をしていきたい。旧来のやりかたにとらわれず、若手の育成にも積極的に取り組んでいく
  8. 地域の循環経済を実践 もっと強化したい
  9. 激甚化する気候変動に人間は無力だ。しかし人間同士のつながりとICTの活用で、自然に挑む若手経営者の柔軟で強靭な力に期待
制作協力
産経ニュース エディトリアルチーム
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生産者の高齢化によって農業の担い手が減り、日本各地で耕作放棄地が急増している。親の農地を継承し、会社勤めの傍ら農作業を行う兼業農家が多くを占める現状だが、その生産者もおおむね高齢だ。田植えの時だけ家族親戚が手伝いに集まる光景は、いずれ見なくなるだろう。各県では新規就農する若手人材を後押ししているものの、耕作放棄地の解消にはほど遠い。さらに追い討ちをかけるのが獣害だ。人の入らなくなった里山林から猪や猿などが出てきては農作物を荒らすことが頻繁となり、生産者のやる気を削いでゆく。自らの田畑を人に貸して耕作ができるならまだいい。しかし、集落の住民全体が高齢化していてはどうにも難しい。何か打つ手はないのだろうか。

そうした状況で期待が寄せられるのが、新たに農業生産法人を立ち上げ「稼げる農業」を目指す若手生産者の存在だ。今回紹介する事例は長野県北信濃地域で建設土木業を行う株式会社タケウチ建設の農業部門が2008年に独立した農業生産法人「株式会社ファームかずと」。同社では地域の耕作放棄地を集約して大規模耕作を進め、地域特産品のトウモロコシで収益を上げている。

取引量の増大に伴い負荷がかかっていたのが、商品の販売管理や社員・パートの勤怠管理などバックオフィスの業務。従来家族で担ってきた事務作業だが、組織的に販路を拡大すると情報量がオーバーフローするのは必須だった。そこで同社は、こうした課題をICTの技術によって解決すべく積極的に導入し、地域課題の解消と農業経営を両立。地域に貢献する家族農業の新たな形に取り組んでいる。(TOP写真:代表取締役 竹内寿斗氏と妻の博佳さん、長男・長女。株式会社ファームかずとの母体である株式会社タケウチ建設と共に事務所を置く本社前にて)

地元のお困りごとに応じ、建設業から参入した農業部門。農業生産法人として独立し、耕作放棄地の活用でトウモロコシを生産

始まりは、地元建設会社の地域貢献から。耕作放棄地を集約し農業生産法人で「稼げる農業」へ。支えるのは、人のつながりとデジタル ファームかずと(長野県)
「ファームかずと」のある信濃町から望む黒姫山。この地域では甘みの強いとうもろこしが特産品となっている。

長野県と新潟県の県境に程近い長野県上水内郡信濃町。黒姫山を含む五つの火山に囲まれたこの地域は、高原地帯の寒暖差がある気候や山から湧き出る水、水はけのよい火山灰土の土壌が豊かな農産物をもたらしてきた。とりわけ、この地域から産出されるトウモロコシは甘味が凝縮されていて人気が高く、信濃町のブランド農産品となっている。収穫期の夏には信濃町の道沿いにトウモロコシを販売する露店が立ち並び「もろこし街道」とも呼ばれている。

今回紹介する農業生産法人「株式会社ファームかずと」もこの地域の標高900メートルでトウモロコシを中心にジャガイモ、ニンジンなどを50ヘクタールの圃場(ほじょう)で作っている。同社の代表取締役は竹内寿斗氏、26歳。竹内社長は21歳の時、父から代表取締役を引き継いだ。

始まりは、地元建設会社の地域貢献から。耕作放棄地を集約し農業生産法人で「稼げる農業」へ。支えるのは、人のつながりとデジタル ファームかずと(長野県)
甘味が凝縮した採りたてのトウモロコシ
始まりは、地元建設会社の地域貢献から。耕作放棄地を集約し農業生産法人で「稼げる農業」へ。支えるのは、人のつながりとデジタル ファームかずと(長野県)
圃場では様々な野菜が作られている

ファームかずとは異業種からの参入だ。母体は地元で1968年に創業した株式会社タケウチ建設で、当初は同社の農業部門としてスタートした。「農業の担い手は60~70代が中心。村の会議では耕作放棄地の話題がよく出ていて、そのお困りごとを引き受ける形で父が始めたんです」と話す竹内社長。建設会社は地域インフラなど基盤整備を担う存在であり、土木工事から山林の伐採、さらに、雪深いこの地域では除雪作業にも従事する。父は地域の「困りごと」に対して協力を惜しまなかった。

やがて専業農家が「食べていけない」といって次々に辞めていく中、耕作放棄地の利活用を果たすべく、同社の農業部門は2008年に農業生産法人として設立。2018年に竹内寿斗氏が代表取締役に就任し、現在に至る。

農業機械を駆使した大規模農業を学ぶため北海道の農業高校へ進学。地元は「北海道にはほど遠い」と実感し「稼げる農業」に向けて動き出す

始まりは、地元建設会社の地域貢献から。耕作放棄地を集約し農業生産法人で「稼げる農業」へ。支えるのは、人のつながりとデジタル ファームかずと(長野県)
「ファームかずと」が生産する人気のトウモロコシ。パッケージにあしらわれたイラストは、イラストレーターの安齋肇氏によるものだ

竹内社長は子どもの頃から農業に親しんでいた。「学校から帰るとランドセルをぶん投げて畑に行っていました。農業機械に乗せてもらえることもあったし、畑での手伝いが遊びでしたね」と振り返るように、竹内社長は父親に相当仕込まれていたようだ。なにしろ、農業生産法人の名称に当時11歳の息子の名前をつけたのはほかでもなく父であったのだ。その期待が叶い、竹内少年はやがて北海道の農業高校に進学する。いったいなぜ北海道の農業高校に進学したのか。

「大規模な農業に関心があったんです。手作業より農業機械を使った方が効率的な農業ができると思って」と動機を語る。「北海道の十勝でファームステイしましたが、そこでは家族経営で普通に年収4~5千万円稼いでいて、すごいなって思ったんです」と現地の印象を振り返る。こうして北海道での体験を重ね、同地で大学に進んだものの、実家からの要請で手伝いのために頻繁に帰省していた竹内社長。北海道と長野県との往復が負担になり、卒業を待たず家業に入ることになった。ちなみに、妻の博佳さんとは大学で出会った。神奈川県出身の博佳さんは酪農学科で学んでいたという。

家業に入社し、「手伝い」だった農業を「仕事」として担うことになった竹内社長。改めて地元を見つめ直したが、地元で大規模な農場を手掛ける生産者はおらず「北海道とは程遠い」と改めて感じたという。しかし、竹内社長はいずれ自らが経営を手がける時を見据えていた。信濃町の耕作放棄地の多くはもともと水田だったが、竹内社長は当初から稲作をやるつもりはなかった。「米づくりは手間のかかるわりに安すぎて収益も出ません。だから、信濃町でブランド品として認知度の高いトウモロコシを作ることにしました」。その一方で、「まだまだ耕作放棄地は増えていますから、いずれはもっと集約して畑作できるようにしたいのですが、コメを作りたい人には貸してもいいと考えています」と柔軟に構えている。

弟は北海道で農業生産、姉は夫婦でイタリアンレストランを開業。それぞれが目指す道を法人として束ね、相乗効果を生む

始まりは、地元建設会社の地域貢献から。耕作放棄地を集約し農業生産法人で「稼げる農業」へ。支えるのは、人のつながりとデジタル ファームかずと(長野県)
生産者と直接取引し、新鮮な野菜をふんだんに使ったレストラン「NICOLI」の料理

竹内社長は姉1人、弟2人の4人姉弟だ。すぐ下の弟も同じく北海道の農業高校に進学し、2年前から北海道で牧場の跡地200ヘクタールを借り、ソバと菜種の栽培を手がけている。この圃場はファームかずとの北海道拠点として、もう一つの重要な役割がある。それは気候変動におけるリスクヘッジとしての農地の分散化だ。気候変動がこのまま進行すれば、今長野県で栽培している作物が育たなくなる可能性もある。いつか訪れる「その時」に竹内社長は備えている。

また、竹内社長の姉は調理師専門学校を卒業後、東京の店で修行を重ね、2018年にファームかずとのある信濃町でイタリアンレストラン「NICOLI」を開業。郊外の田園地帯という立地にもかかわらず、遠方から訪れる客で賑わっている。この店の開業は竹内社長が社長に就任した時とタイミングが重なったため、竹内社長は姉のバックアップを決断。現在ファームかずとのレスラン部門となっている。この「NICOLI」は2021年に長野駅前にも支店を出しており、こちらも好評を博している。農業生産法人が農村レストランを出店する事例はあるが、このNICOLIの場合は地域振興ではなく、純粋にレストランとして「質の高い食の提供」が目的だ。黒姫山を望む田園地帯というロケーションも都市部の消費者のニーズに合致しており、NICOLIの人気は結果的にファームかずとへの評価にもつながっているようだ。

取り扱う物量が増え、事務所が伝票であふれかえっていた。事務所内でしか使用できない販売管理システムでは作業効率が悪い

始まりは、地元建設会社の地域貢献から。耕作放棄地を集約し農業生産法人で「稼げる農業」へ。支えるのは、人のつながりとデジタル ファームかずと(長野県)
収穫期には毎日のように大量の伝票を処理する事務の業務。さらにタケウチ建設での現場管理台帳作成用の写真整理業務も行っており、大量のデータの保管も必要となる

信濃町の本社に加え、北海道拠点(積丹支店)とレストラン部門を抱えると、扱う伝票や帳簿などはかなりの量になる。しかし、従来本社の販売管理システムで処理できる伝票は、本社事務所のパソコンで起票できるものに限られていた。しかし、同社の選果場・北海道拠点・レストラン事業は場所が離れているため、帳簿書類はその都度郵送で本社に送るしかなく、起票する手間が生じていた。他の拠点から本社のシステムにアクセスできれば、この問題は解消する。さらにインボイス対応や電子帳簿保存法にも未対応だったこともあり、同社はバックオフィスの全面的な見直しをすることにした。しかし、一番大きなきっかけは子どもたちの存在だったという。

「うちの子に加え、レストランのスタッフの子どもも事務所で預かっていたのですが、床のフローリングがはがれて危険だったので、床の張り替えをすることになり、それなら伝票であふれかえっている事務所も一新しましょう、ということになったんです」と話す妻の博佳さん。子どもたちが引き出しを開けて書類を散らかすこともあるため、データはすべて電子化するほうが安心だった。

ネットワーク上のクラウドにすべてのデータを一元管理。どこからでも情報にアクセスでき、伝票や書類の検索が容易になった

始まりは、地元建設会社の地域貢献から。耕作放棄地を集約し農業生産法人で「稼げる農業」へ。支えるのは、人のつながりとデジタル ファームかずと(長野県)
床材が張り替えられ、デスクやテーブルなどの什器も一新した事務所。あふれかえっていた紙の伝票類もなくなり、すっきりとした

改修工事では床の張替えに加え、ミーティング用テーブルや椅子なども一新。さらに、これまでの販売管理システムに替え、クラウド型の販売管理システムを導入した。これにより、データがどこからでも確認可能になり、探すのも容易になった。さらに、土地売買契約書や出荷契約書、検査関係書類などすべての情報はスキャンしてデータ化し、クラウドストレージにすべてのデータを一元化した。結果的に紙の伝票類は減り、事務所から伝票の山が消えた。また、子どものイタズラによる書類の滅失も回避できた。

「今後はスタッフの勤怠管理のシステムを導入したいですね」と話す博佳さん。農場に直行直帰する人もおり、これまでの勤怠管理では各自に出退勤時間の確認をする手間が生じていた。これらをクラウド型の勤怠管理システムに変え、タッチ式ICカードによる認証を行えば、厳密な出退勤時間の記録ができ、自動で給与計算することも可能だ。繁忙期にスタッフが増えて手が回らない、という状況を回避できることもメリットになるだろう。

さらに事務所ではタケウチ建設の事務業務も手掛けている。とりわけ公共工事である道路工事や除雪、山林伐採の現場では工事前後を写真で記録し、管理記録表に記載する義務がある。現状ではこれを現場作業者がデジタルカメラで撮影し、帰社後、事務スタッフがパソコンに写真データを取り込む。そして、どこの現場かを経験則で判断しながらピックアップするという作業で、属人的かつ相当手間を要する作業だった。

「現場で撮影した写真をリアルタイムに事務所と共有できれば、オンタイムで作業を進められますよね」と博佳さんは期待を寄せる。現在、タブレット端末で撮影してリアルタイムで工事台帳を作成するソフトウェアも存在する。きっと遠からず実現できるだろう。

バックオフィスの作業効率化が着々と進んでいる同社だが、今後もIT補助金等を活用してICTの導入を進め、より一層効率化を進めていきたいと竹内社長は意欲を示す。

一次産業側がもっと優位に立てる状況になるべき。そのためにもSNSを活用し、販路や生産者のネットワークを広げていきたい

始まりは、地元建設会社の地域貢献から。耕作放棄地を集約し農業生産法人で「稼げる農業」へ。支えるのは、人のつながりとデジタル ファームかずと(長野県)
事務所では竹内夫妻の子どもたちも一緒に過ごしている

農業、とりわけ米作りについては、減反調整により国が主導的役割を果たしてきた。しかし、その一方で補助金ありきの農業は市場競争を生みにくい土壌を作ってきたともいえる。その構造的な課題が「価格を自分でつけられない」という一次生産者の苦悩に象徴されている。

「これからは、作物を作る側が優位に立てるような状況をつくっていかないとダメだと思うんです。売る側だけが強くなってもいけないし、補助金も競争力を生まないからあまり意味がありません」と竹内社長は現状を憂慮する。しかし、そうした状況でも経営努力によって、突破口を開こうとするパイオニアたちも存在する。「やはり、差別化のできる『売り』を持っていると自分から値段をつけることができるんです。品評会で賞を取っている人はうまく経営しています」と続ける竹内社長。さらに、こうした人は、販路拡大や生産者同士の情報共有にSNSなどを上手に活用していると指摘する。

実際、ファームかずとでも中古の農機具売買のグループや建設関係のグループ、稲作、畑作グループなどさまざまなグループとFacebook上での交流を行っており、そのつながりは全国に及ぶ。地域課題の解決のために、全国規模での交流が助けになる状況がすでに現実のものとなっているのだ。とりわけ、デジタル技術の発展とともに成長した竹内社長のようなミレニアル世代の人たちは幅広い情報を見聞きして育ち、情報感度も高い。こうした広い視野と柔軟性が新たな販路や情報ネットワークを開拓していることは想像に難くない。

土地の集約をさらに進め、地域に貢献をしていきたい。旧来のやりかたにとらわれず、若手の育成にも積極的に取り組んでいく

始まりは、地元建設会社の地域貢献から。耕作放棄地を集約し農業生産法人で「稼げる農業」へ。支えるのは、人のつながりとデジタル ファームかずと(長野県)
選果場で作業を行う生産部の竹田和也さん。ファームかずとに欠かせない一員だ

信濃町でも今後高齢化が加速し、後継者が減ることは確実だろう。「信頼できる人に農地を託したいという人は多い」と竹内社長は言う。それに応じるべく「これからも耕作放棄地を集約していきたいと考えています。当社はせっかく大規模耕作用の農業機械を持っていますので、それを生かして耕作し、地域に貢献したい」と意欲を示す。さらに、もう一つ力を入れたいことがあるという。

「若手人材の育成です。コロナ禍で一時できませんでしたが、農大生のインターンシップを積極的に受け入れたいですね」と前向きだ。近年農業に関心を持つ若い人も少なくないというが、実際にはどんな様子なのだろうか。「やってみたいという子はけっこういます。でも長く続かない子もいるし、適性もあります。そもそも、やってすぐに結果が出る仕事ではないのでしかたありません」と腹を据えて取り組む構えだ。

地域の循環経済を実践 もっと強化したい

また、地域の生産者とも積極的に連携していこうと努めている。その事例の一つにキノコ生産者が収穫後廃棄するおがくずの買取がある。ファームかずとではこれを堆肥(たいひ)の材料として活用しているという。「キノコ屋さんはお金を払って産業廃棄物として捨てなきゃならないので困っていました。私のほうも化学肥料の価格が高騰していたので、廃オガを買い取れればお互いに好都合でした。農業って地域のつながりの中でできているんです」と話す竹内社長。かつては酪農業を営む生産者がいたため、牛糞(ふん)の堆肥が手に入りやすかったが、今では生産者の減少により入手が困難だという。そんな地域循環にも寄与すべく、「いずれは牛を飼いたい」と構想を温めている。

始まりは、地元建設会社の地域貢献から。耕作放棄地を集約し農業生産法人で「稼げる農業」へ。支えるのは、人のつながりとデジタル ファームかずと(長野県)
農閑期の冬場はスノーモービルを駆使してさまざまな仕事にあたる。スノーモービルのレースにも参戦し、輝かしい戦歴を持つ。雪の積もった畑が練習場だ

激甚化する気候変動に人間は無力だ。しかし人間同士のつながりとICTの活用で、自然に挑む若手経営者の柔軟で強靭な力に期待

農業は一年に一作限り。今年ダメならまた来年に希望を託すという忍耐を要する生業だ。また、どんなに農業技術が進化しても激甚化する自然災害や気候変動に対して人間は無力だ。しかし、自然を相手に一喜一憂しながらも、どうにかして乗り越えようとする人間同士の助け合いが連綿と続いてきたのもまた事実だ。今、その助け合いにICTの技術が大きく貢献している。

始まりは、地元建設会社の地域貢献から。耕作放棄地を集約し農業生産法人で「稼げる農業」へ。支えるのは、人のつながりとデジタル ファームかずと(長野県)
子供たちもすくすく育っている
始まりは、地元建設会社の地域貢献から。耕作放棄地を集約し農業生産法人で「稼げる農業」へ。支えるのは、人のつながりとデジタル ファームかずと(長野県)
羊も幸せそうな表情で近づいてきた

地域を超えたつながりは、小さな集落の農業を変えるかもしれない。竹内社長は人手を要していた農作業にも大型農業機械の導入やICTを活用し、これまで日本になかった発想で挑もうとしている。若き経営者の柔軟かつ現実的な対応力には驚くばかりだ。この美しい山麓(さんろく)の田園風景が永遠に続くために、地域に必要とされる存在であることはいうまでもない。

企業概要

法人名農業生産法人株式会社ファームかずと
所在地長野県上水内郡信濃町大字大井262-1
電話026-255-5578
HPhttps://farmkazuto.com
設立2008年
従業員数12人
事業内容農産物の生産・販売、レストラン事業