「和子牛生産者臨時経営支援事業」全国平均売買価格を下回ったブロックへの支援
(画像=「和子牛生産者臨時経営支援事業」全国平均売買価格を下回ったブロックへの支援)

農水省は9月25日、和子牛価格下落の臨時対策として措置した「和子牛生産者臨時経営支援事業」を見直すと発表した。

7月から12月までの期間、黒毛和種の四半期ごとのブロック別平均価格が全国平均売買価格を下回った場合にも、その差額の4分の3を新たに支援するもの。

7月から出荷された子牛(黒毛和種)が対象で、ブロック別の価格公表は10月中旬、補てん金支払いは早くて11月末を予定している。この決定を踏まえ、農畜産業振興機構では、同事業の実施要綱を改正し、速やかに実施できる体制を整えていく。

「和子牛生産者臨時経営支援事業」は、市場などで取引される和子牛のブロック別の平均売買価格(黒毛和種は北海道、東北、本州関東以西・四国、九州・沖縄の4ブロック、褐毛和種、その他肉専用種は、全国1ブロック、平均売買価格は黒毛和種と褐毛和種が四半期別、その他肉専用種は年間)が、発動基準を下回った場合に、平均売買価格と発動基準の差額の4分の3を支援するもの。

黒毛和種の場合は、四半期のブロック別平均価格が発動基準の60万円を下回った場合に支援されるが、55.6万円の保証基準価格を下回った場合は、「肉用子牛生産者補給金制度」で支えることを想定していた。しかし、現在も子牛価格が短期間で大幅に下落し、生産者の経営環境が急速に悪化、生産者の意欲低下によって肉用牛生産基盤の弱体化が懸念される状況から、今回、この臨時経営支援事業を拡充することを決めた。

この結果、7月から12月までの間、四半期ごとの全国平均売買価格が保証基準価格(55.6万円)を下回り、かつ肉用子牛生産者補給金が発動した場合、ブロック別平均価格が全国平均売買価格を下回った部分にも、差額の4分の3を支援する。逆に、生産者補給金が発動しない場合には、60万円とブロック別平均価格との差額の4分の3が支援される。褐毛和種とその他肉専用種は、全国1ブロックで算定するため、今回の拡充の対象にはならない。

野村哲郎農水大臣は8月25日の閣議後会見で、「和子牛生産者臨時経営支援事業」を「子牛価格下落の対策の第3弾と位置づけ、農家が安心して経営できることを目指す」とした。同事業については、「子牛価格の下落で生産農家、繁殖農家の意欲低下により、子牛資源が枯渇してしまう危惧があるため、盛り返しを図り、子牛価格に限定して検討した」と説明した。

臨時経営支援事業の実績は、肉用子牛生産者補助金は1~3月が実績なし、4~6月は東北ブロックで2.6万円、九州・沖縄ブロックで1.5万円を発動しており、現在この2ブロックでの子牛価格の下落は著しい状況にあるという。

〈畜産日報2023年8月28日付〉