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限られた資源の中でいかに効率良い経営で利益を出せるかが、企業の成長と持続性に直結するため、経営者にとってROEは非常に重要な指標になります。
本記事では、ROEを最大限に活用するための具体的な手法や、注意すべき点を詳しく解説していきます。

ROE(自己資本利益率)とは

ROE(Return On Equity)は自己資本利益率、株主資本利益率と呼ばれ、企業がどれだけ効率的に資本を利用して利益を上げているかを測る指標です。
企業の収益力を判断するための重要な財務指標の一つとして近年重要視されており、株主資本利益率とも呼ばれます。

自己資本とは

会社の資本には、「自己資本」と「他人資本」があります。

自己資本は、株主などから出資を受けたお金や利益余剰金など、企業が調達した資金のうち、返済義務のない資金を指します。一方、他人資本は、銀行など金融機関などから借り入れた、返済しなければならない資金(負債)を指します。

ROEは、この自己資本を企業がいかに効率的に活用し、利益をあげているかどうかを測ります。

ROEの計算方法

ROEは、すべての収益から費用を引いた純利益を自己資本で割って算出します。

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ROEからわかること

ROEの比率が高い場合「効率的に高い利益を生み出している」と評価され、株主にとってより高いリターンが期待できると解釈されます。

一方、ROEの比率が低い場合は「経営効率が悪い」と見なされ、投資家等からの資金調達が難しくなる傾向にあります。

ROEの一般的な目安としては10%以上あれば良いとされ、20%を超えると投資する価値がある優良企業と言われています。
ただし、日本企業の平均値は5%程度であるため、一概に投資価値がない企業と判断することはできません。また、負債が多い企業はROEの値が高くなる傾向があるため、注意が必要です。

ROEとROA

ROEに似た指標として「ROA(Return On Asset):純資産利益率」が挙げられます。

ROEは「自己資本」に対して、ROAは「総資産(自己資本+他人資本)」に対しての利益率を表すという違いがあります。

ROAは以下の計算式で求めます。

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ROAは自己資本だけでなく他人資本、つまり金融機関から借り入れた負債なども含めた、企業が保有する「すべての資産」をどれだけ効率的に活用しているかを示す指標といえます。

業種によってROAの平均は異なるため、業種別の平均値を知ることでROAの目安が判断できます。

ROEの注意点

ROEを見る際の注意点をご紹介します。

ROE単体で判断しない

前述の通り、ROEの比率が高いと株主からの期待が高まりますが、ROE単体だけではなくROAなどの他の指標も考慮する必要があります。

以下2つの会社を例に見ていきます。

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A社とB社は総資産と当期純利益が同じですが、総資産の内訳が異なります。

ROEの比率だけを見ると、A社の方が経営効率の良い優良な企業に見えますが、財務の健全性という点では他人資本の比率が低いB社の方が、経営基盤が安定しているとも言えます。このようにROE単体ではなく他の指標も合わせて分析することが大切です。

他人資本が大きい=リスクとは限らない

借入など他人資本の割合が大きい場合、=経営リスクというだけではなく、他人資本を積極的に活用しており「財務レバレッジ」が働いているとも評価できます。

財務レバレッジは、借入金や社債などの負債を使うことで、企業の総資産が自己資本の何倍となるかを表した数値です。財務レバレッジが高いと経営リスクも高まりますが、低すぎると、十分に投資が行えていない=積極的な経営が行えていないとも考えられます。

このようにROE単独ではなく、他の財務指標を併用しながら、同業他社の数値もふまえて検証することが大切です。

ROEを高める方法

ROEを高める方法として主に以下の3つの要素があります。それぞれについてご紹介します。

①収益性の向上

収益性を向上させるには、売上を増やす、もしくはコストを削減するのいずれか、または両方を行う必要があります。
売上増加を目指す場合には、例えば新製品の導入、プロモーションや価格戦略の見直しなどを行います。コスト削減には、例えばサプライチェーンの最適化、効率的な人員配置など行い、経費を削減します。

②総資産回転率の向上

総資産回転率は、使用している資産でどれだけの売上が上げられるかを示す指標です。この数値を向上させるには在庫削減や無駄な資産の削減が挙げられます。

在庫を抱えすぎると資本が固定されてしまうため、在庫を効率よく管理し、必要なものだけを保有することで資産回転率を高めます。また、使用していない機器や土地など、活用されていない資産は売却することで、効率的な資産管理につながります。

③財務レバレッジの向上

財務レバレッジは前述の通り、他人資本を活用し、自己資本のリターンを高める手法です。具体的には金利が低いときに資金を借り入れ、それを投資やビジネス拡大に使います。
ただし、リスクをあらかじめ評価し、計画的に借入を行う必要があります。

これらの要素は独立しているように見えますが、相互に関連しています。例えば、収益性が向上すれば、総資産回転率や財務レバレッジも効率的に活用できるようになります。

反対に、資産や負債の管理が悪いと、収益性がどれだけ高くてもROEは低くなってしまいます。これら3つの要素をバランスよく管理することが、ROEを高める鍵となります。

終わりに

以上、ROEについてご紹介しました。ROEは重要な財務指標ですが、あくまで指標の一つとして、投資や企業の経営状況を判断する際は他の指標も含め総合的に判断するようにしましょう。

また、ROEは「高ければ高いほど良い」というわけではありません。極端に高いROEは、リスクを取りすぎている可能性も指摘されるため、バランスが必要です。業界や市場環境によっては、一般的にROEが低い場合もありますので、自社のビジネスに最も適したROE水準を理解することが重要です。

経営者自らがROEを正確に理解し、戦略的に活用することで、企業の成長と持続性を高める道を開くことができます。

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著者

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M&A マガジン編集部
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