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企業型確定拠出年金をテーマにした連載コラム、第5回では過去にご支援した導入事例をご紹介します。

導入事例①|求職者や従業員のニーズに対応するため導入を決めたA社

A社は、2009年に設立され、今急速に成長している企業です。人事総務の担当者は、採用面接の際や従業員から、確定拠出年金について聞かれることが多くなってきているのを実感していました。

A社は革新的なサービスを扱っており、将来上場を視野に入れているため、大企業からの転職志望者も多い会社でした。大企業においては、企業型確定拠出年金を導入済みの企業が多いため、すでに確定拠出年金として資産を保有している人が大半です。

面接時に求職者からの質問で「御社は、企業型確定拠出年金を導入していますか?」という質問をされ、「導入していません」と答えると、「なぜですか?」と聞かれ、担当者が答えに困ることもあったそうです。

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また、従業員からも「iDeCoをやりたい」という問い合わせが増えてきており、確定拠出年金への関心の高まりを感じていました。

いろいろと調べていく中で、おそらく時代の流れとして「今後確定拠出年金について聞かれることが、ますます増えてくるのではないか」と人事総務の担当者は感じていました。

そんな状態のときに、A社の顧問会計士より私の会社(株式会社Financial DC Japan)にご紹介がありました。

人事総務の担当者は、企業型確定拠出年金について知ってはいましたが、実際に導入するとなると「どのような手続きを踏めばいいのか」「どのような流れになるのか」などはわからないという状況でした。

また、社内での決議を取るために、経営陣にどのように伝えていけばいいかもわからず、日々業務多忙な中で、企業型確定拠出年金については後回しになっていました。

そこで、まず役員を含めた企業型確定拠出年金に関する社内勉強会を提案しました。経営陣に企業型確定拠出年金の理解を深めてもらい、人事総務担当者が感じていることを伝える機会を作りました。

企業型確定拠出年金は、上場を目指すうえで必要不可欠

すると、ある役員から、こんな感想をいただきました。
「今後、時代の流れ的に確定拠出年金への関心はより高まっていくだろうね。そんな中で、当社として企業型確定拠出年金を導入していないというのは、かなり時代遅れな気がする。 仕事では最先端のことをやっているのに、そんな会社が企業型確定拠出年金をやってない、となると、イメージ的にマイナスだよね」

その後、社内で企業型確定拠出年金の導入に向けての議論が進み、導入していただくことが決まりました。無事年金の導入が完了した後、人事総務担当者は、こんな話をされました。

「これで採用面接のときに、企業型確定拠出年金の質問をされても困らないですね。以前、ありますか、と質問されて、ありません、と答えたとき、求職者の方の何とも言えない反応が忘れられなかったんです。えっ、ないんですか……みたいな、ものすごく微妙な反応されたので(笑)」

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「あと、社内の人たちもすごく喜んでくれました。もともとiDeCoに関心があったり、すでに自分で始めていた人も多かったので、企業型確定拠出年金を導入して、口座管理料等は会社側にやってもらえるというのは反響が良かったですね」

経営陣も、企業型確定拠出年金を導入したことで採用力アップ、従業員の満足度向上につながっていることを実感していただいています。

「今後、上場を目指していく上では、欠かせないピースの一部」とまで言っていただいています。

導入事例②|自立した従業員育成のために導入したB社

B社は2011年に設立され、急速に成長している企業です。働き方もユニークで、オフィスなし、ほぼ全ての従業員が完全リモート、全国各地にいるという形です。

個々が独立して仕事を受注してくるというスタイルで、管理者もおらず、一人一人が経営者のような感覚を持って働いている会社です。一人一人が独立した意識を持ち、生産性の高い仕事をしているのは、この会社の強みでした。

社長は、今いる優秀な従業員の定着率アップのため、そして、今後もいい人材を獲得していくために、今までなかった退職金制度を検討しはじめていました。

そんな折、B社の顧問税理士からのご紹介で当社とご縁をいただきました。

社長は、保険、中小企業退職金共済、確定給付年金、そして確定拠出年金など、さまざまな選択肢を比較されていました。一つ一つの違いを説明していく中で、最終的に企業型確定拠出年金の導入を決断されました。

その理由を聞いてみると、社長からは次のような言葉が返ってきました。

「企業型確定拠出年金の導入を決めたのは、資産運用を含めた人生のセルフマネジメント力を身につける機会を、社員に提供したいと考えたからです。お金のこと、資産運用のことは、これからの人生を生きていく上で必要なことです。そこに対するコストを会社が持って、社員の福利厚生の充実を図りたいと思います。」

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「これからの時代は、会社が何でもかんでも与えてあげるのが福利厚生なのではなく、生きる力を高めるサポートをする方が福利厚生になると考えます。魚を与えるのではなく、釣り方を教える。当社が企業型確定拠出年金を導入しようと思ったのはそういう理由です」

私は社長の言葉に感銘を受けました。おっしゃる通り、何でもかんでもやってあげることが善ではないと思います。

自分自身で拠出する金額や運用商品を決めなければいけない、という確定拠出年金の特徴は、従業員の自立を促すことにもつながります。

導入のパターンは、従業員の給料から拠出する選択制での導入にすることになりました。 それには、こんな明確な意図がありました。

「会社が一部出してあげることも選択肢でしょう。ただ、それだと受け身の部分が残ってしまう。会社としては、老後資金を効率的に作っていける機会は提供する。その機会を活用するかしないか、それ自体は社員が自由に選択していくべきだと考えました。」

「当社は頑張れば給料が上がっていく仕組みです。給料を上げて、その給料を今使うか、確定拠出年金で老後に備えるか。そこまで踏み込んで考えていくことを社員に期待しています。だからこそ、あえて選択制での導入なんです。これが当社の社風に合っています」

日本は諸外国に比べて生産性が低いと言われています。 一人一人が自分自身の人生をしっかりと考えて、自分自身の人生に責任を持つ。そのような人が一人でも多くなれば、日本はより活気のある国になるのではないでしょうか。

以上、企業型確定拠出年金の特徴をうまく活かし、従業員の自立を促進していこうとする素晴らしい事例をご紹介しました。

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皆さまのご参加をお待ち申し上げます。

著者

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岩崎 陽介(いわさき・ようすけ)
株式会社Financial DC Japan 代表取締役社長/1級DCプランナー

兵庫県西宮市出身。一橋大学商学部卒業。野村證券株式会社にて総額100億円の資産運用アドバイス業務を経験。社長賞をはじめとして数々の賞を獲得。海外留学生に選ばれ留学。帰国後、IFA(独立系資産運用アドバイザー)として独立。
その後、確定拠出年金に特化した株式会社Financial DC Japanを創業し、企業型確定拠出年金の普及に尽力している。独立系企業型D C導入会社中、導入実績全国No.1。著書「頭のいい会社はなぜ、企業型確定拠出年金をはじめているのか」は累計1万部突破。
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