ケンコーマヨネーズ 島本社長
(画像=ケンコーマヨネーズ 島本社長)

2023年6月28日、ケンコーマヨネーズ(株)の代表取締役社長に就任した島本国一氏。1988年入社後、商品開発畑を歩み続け、業務用市場の細やかなニーズを捉えた商品を多数開発、提供してきた。「ケンコーマヨネーズが販売する商品は全て知っている」と胸を張る。23年間トップを務めた炭井孝志前社長(現会長)からバトンを引き受け、いかに采配を振るい、食品業界の新時代に挑戦するのか。島本新社長にインタビューを行い、就任の抱負と今後の計画を詳しく聞いた。

――就任の意気込みを

ケンコーマヨネーズは1958年創立から65年を迎え、歴史と伝統ある会社だ。原料高とエネルギー高で厳しい環境ではあるが、経営基盤を盤石にしなければいけない責任がある。お客様から信用され、信頼され、かつ自分たちの意思で存続し続けられる会社を目指したい。

そのためにも、お客様とのつながりを大切にしたい。今もごあいさつで全国を回っているが、業務用メーカーだからこそ、これまでのお客様との関係性を維持しながら、会社を継続、発展させていく。

当社の企業理念は、「食を通じて世の中に貢献する。」と「心身(こころ・からだ・いのち)と環境」の2つだ。心を豊かに、体を健やかにして命を守る。かつ今は環境を大切にしないといけない。これらに対して、ケンコーマヨネーズは、「食を通じて世の中に貢献する。」という企業理念で実践する。

食を取り巻くものには、商品があれば、情報もあれば、サービスもある。そうした食の様々な要素を総合的に提供することで、お客様の満足を得られる会社を目指していきたい。

――商品開発へのこだわりを

新入社員で入社してから35年間、ずっと商品開発に携わってきた。ケンコーマヨネーズが販売する商品は全て知っていると自負している。

商品開発で良かったことは、特注品の依頼をたくさんいただけたことだ。お客様の声から、世の中のトレンドや市場の動きを知ることができ、お客様がどのような考えで当社に発注しているのかも理解できた。

これまで、お客様からいろいろな情報をいただき、自分たちで商品を作り、成長してきたが、それは今後も継続していかなければならない。例えば、2023年2月には、卵を使用せず、豆乳や大豆ペーストなど、植物性原料を中心に仕上げた『大豆で作ったカスタードフィリング』など新しい商品も作り、鶏卵価格高騰・鶏卵不足の中でお役立ちする商品としてアピールした。

お客様のためにも、働いている社員・従業員の意思で成長する会社でありたいと思う。

――ケンコーマヨネーズの強みは

一番は、全国展開できる原料購買と工場生産と販売を持っていることだ。

じゃがいも、ごぼう、かぼちゃといった野菜を確実に仕入れて、社内で独自の商品開発を行い、それを全国の工場で生産する。国内だけでなく、認証を取得して海外にも輸出できる工場も持ち、品質管理も自社で行っている。また、ECサイトを強化するなど自分たちの商品を自分たちで売る取り組みにも注力している。

つまり、原料からお客様に届けるところまで、一貫して自社でできることが最大の強みと考える。なお、お客様に届ける際に、メニューを開発する部隊がある。

サラダ調味料は調味料単体で商談してもなかなか売れない。メニュー提案でアレンジして食べてもらった後に「実はこの調味料を使っている」と言えば、説得力が出る。今後もメニュー開発に磨きをかけることで、サラダの可能性を広げて、サラダというい切り口で市場を演出していきたい。

――コロナ禍を振り返って

コロナ禍では大きく、2つの気付きを得た。1つ目は、末端まで裾野を広く商品を提供いただいている問屋さんは強いことを改めて実感したことだ。2つ目は、コロナ禍までは業務用食品は1kgの規格が当然と思い込んでいたが、外食のお客様がテイクアウトや宅配に移行すると、より小型の商品が求められることに気付いた。環境が変わればお客様の提供サービスも変化する。その変化に対して、自分たちの商品を柔軟に変えられたのはとても良かったと考えている。

――経営戦略と重要課題は

今年度は中期経営計画『KENKO Transformation Plan』の最終年度である。〈1〉BtoBtoC〈2〉イノベーション〈3〉構造改革〈4〉グローバルの4テーマと、サステナビリティ方針を念頭に置きながら利益回復に努め、連結売上高874億円、連結経常利益13億円を必達目標に掲げている。

利益確保のための重要課題は次の3つだ。

1つ目は、価格改定。7月からロングライフサラダ類と和惣菜の価格改定を行った。原料高とエネルギー高を踏まえた適正な価格で販売を行うことで、利益を確保していく。

2つ目は、商品の統廃合。お客様の「こういう商品が欲しい」というご要望に応えてきたが、商品数が多いと負担も大きくなる。お客様が本当に欲しい商品は何かを考え商品の集約をすすめて、生産効率を高め、管理コストを下げて利益を生み出したい。

3つ目は、徹底した効率化。業務効率を高めるため、基幹システムの入れ替えを行い、今後5年で連携できる部分はすべて連携するよう計画している。そのためにも、今年2月末には、無駄な仕事をしていないか、慣習でやっている仕事はないか、社員に業務整理をお願いした。業務の棚卸をしっかりすることで、自分の業務を見直す機会にして欲しい。

効率化は生産現場も例外ではない。関東ダイエットクック工場にはお惣菜を盛り付けるロボットを農水省の補助事業で試験的に導入している。

――チャレンジしたいことは

中長期的に会社の今後について考えている。全国にある工場も、老朽化しているからといってそのままなくすのではなく、資金面を考えながら計画的に着手し、利益を出せる工場にしていくことを検討している。また、グローバルも強化したい。北米、ヨーロッパ、東南アジアとさらに輸出先を増やすとともに、インドネシアに合弁会社があるが、生産拠点の増加も検討していく。

特に、人材育成は大切だと思っている。昨年はこれまでの階層別研修だけでなく、女性のキャリアプラン設計について研修を行った。来年4月には人事制度を更新する。働きがいがあり、努力が反映されるものにするため、検討を進めている。

――商品戦略は

商品開発が長かったのでこれからは、若い人に積極的に取り組んでもらうために、私は口を出すことはしないつもり。ただ、プラントベースフードについてはこれから取り組んでいきたいことがある。

当社には、乳製品や卵、肉類を使わず、植物性原料を中心に仕上げたプラントベースフードシリーズ「HAPPY!! with VEGE」がある。これまで『やさいと大豆ミート』シリーズや『豆乳ホワイトソース』など8品を展開している。ただし、日本人が長年食べてきた精進料理や郷土料理について考えると、お肉が入ってなくてもおいしいものがいっぱいある。肉の代わりにがんもどきやお豆腐、お麩をうまく使った料理もある。こうした和惣菜は植物性原料で作られており、これもプラントベースフードと言えるのではないか。

そうした観点から、日本の和食料理に着目したプラントベースフードを「WABI-DELI」(わびでり)として販売を計画している。冷凍で保存期間を長くすることで、海外輸出も想定。日本の郷土料理、和惣菜を世界の皆さんに食べて欲しいと思う。

――冷凍食品の新商品は増えるか

おいしく食べていただける温度帯が、これまではチルドだった。しかし、冷凍技術と解凍技術は年々進歩しており、冷凍の方がおいしく食べられるのであれば、そこも狙っていかないといけない。だから「WABI-DELI」は冷凍で検討していく。

また、販売を強化したいのが、じゃがいもの冷凍品だ。温めるだけで、じゃがいもの風味やホクホクとした食感をまるごと楽しめる『冷凍北海道産S玉皮付きポテト』や、皮付きのままスライスしてこんがりと焼き上げ凍結した『ベイクドスライスポテト』などは外食・給食市場で評判がいい。コロナが落ち着くなか、販売を拡大したい。

――サステナビリティな取り組みは

商品の賞味期間を長くする試みをこれからも継続していく。7月には、賞味期間を90日間としたロングライフサラダの新シリーズ「FDF (ファッションデリカフーズ)Plus」を外食向けに立ち上げ、ポテトサラダ、 マカロニサラダ、スパゲティサラダの3 品を発売した。 これまで冷蔵未開封で15~60 日間の賞味期間だったところ、従来のおいしさはそのままに、当社のロングライフサラダの中では初めてとなる90 日間という最長の賞味期間を実現した商品だ。

また、食品ロス削減の観点で言えば、子会社のダイエットクック白老では、普段商品には使われないキャベツの芯を使ったコールスローのサラダを販売しており、さらに取り組みを拡大できないかも検討している。

その他、商品パッケージの厚みを薄いものに変更し樹脂量を抑えることや、製造工程の見直しで環境負荷軽減を図る取り組みも行っている。

【プロフィル】

島本国一(しまもと・くにかず)

1965年12月16日生まれ。57歳。長崎県出身。長崎大学水産学部卒業後、88年に入社。商品開発にてロングライフサラダの開発を中心に総菜分野で開発リーダーとして従事。2011年に取締役(商品開発部門 部門長)、その後、購買本部や生産部門などを経て、21年6月に取締役商品開発本部担当に就任し、23年6月から現職。主な開発商品に、同社が発売以来トップシェアを誇るロングライフサラダのブランド「ファッションデリカフーズ®」の『パンプキンサラダ』や外食産業向けのサラダ「レストラン」シリーズ、和惣菜などがある。